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「Google Japan Shibuya」            ~現代版、高校生による会社の洞窟探訪説話~  

高校2年生である私は、2024年3月に「Google Japan Shibuya」を訪問。絹糸を手繰り寄せるようにしてつかんだこの体験をフラットに書き記していきたいと思う。ここで疑問、今まで「Google Japan」を訪問した高校生はいたのだろうか?いや、、、

受付の象徴的なロゴ

「Google Japan Shibuya」は渋谷駅から徒歩約3分、35階建ての渋谷ストリームに居を構える。受付は5階。カフェに入ったような感覚でとても会社のオフィスのようには感じられない。象徴的な壁のロゴマークに圧倒される。改札を通るかのようにオフィス内に入っていく社員たち。スイス出身の社員サンシャインさんの案内の元、奥へと進む。

35階まであるエレベーター

受付を通過して最初に驚くのはエレベータ―。35階まであり、犬OKのものとそうでないものがある。ちなみに犬以外の動物はダメらしく、犬が集まるフロアはドッグランのようなのだとか。バリアフリーにも配慮されていて、あまり重力を感じないエレベーターである。全フロアの入り口にはセキュリティーがあり、社員がカードをかざすとドアが開く仕組みだ。横スライド型ではなく手押し扉のように開くのが驚きだった。セキュリティは最高レベルである。
 
 最初に案内されたのはジム。奥までは立ち入りが許可されなかったが、社員同士が楽しそうにトレーニングを行っていた。人体模型があるのを確認。近くの壁にはなぜか信号機。スナックを食べられる場所があり、食べ放題で飲み放題。この場所はフルーツ、ドライフルーツが主でカロリーメイトやプロテインバーもあった。産地はベトナムやアメリカ等様々。ドロイド君がお出迎え。

壁画

階段の前に現れる壁画。オフィス内の所々に出没。そのすべてが日本をモチーフにしていてこの画像のように色鮮やかで創造的なものが多い。正確には覚えていないが7人ぐらいのアーティストが壁画を担当したとのこと。他にも寿司をロケットに見立てたり、ゴジラが引く空飛ぶ人力車などの壁画があった。壁画からもGoogleの気風が読み取れるようである。私が一番いいと思ったのは鳥居に書いてある文字が「G」ではなく、「グ」でもない、「ぐ」であること。

ドラムをモチーフにした日本語入力キーボード

通路で目に留まったのがこちら。これはドラムをモチーフにした日本語入力キーボード。上には机の端っこに置けるようにと考えた細長い一列のキーボード。横の棚にも頭にかぶれるキーなどがある。一見してばかばかしい珍道具のようなこれらは、社員がエイプリルフールに考案したものであり、すべて何かに特化しており、実際に使用することができる。この取り組みには非常に感動した。クリエイティビティを引き出し、新規商品の開発にも役立つ。他にもこのように独特な取り組みがあるのか尋ねると、TGIF等は有名であるが、毎週様々なイベントを楽しんでいて直近ではAGTをまねたGGTなるものを行ったらしく、写真を見た限り、背景のスクリーンも凝っていて完成度の高さがうかがえた。NGボタンは無いらしく、それがまたGoogleらしい。訪問日もイベントの開催日だったようで準備が進められていた。お酒まで準備していたのが衝撃である。

キッチンの様子


 Google内にはたくさんのカフェやレストランがあるが、こちらはその一つである。写真を見れば設備のレベルが伺えるだろう。向かいには多くのテーブル席があり、社員が仕事をしている。壁は一面がガラス張りで開放感がある。観葉植物やインテリアも多く、リラックスできる雰囲気だ。このキッチンは社員も自由に使用することができ、バレンタインで一緒にチョコを作る社員もいるらしい。ベジタリアンや宗教に配慮された食事もある。場所別にアジア風や西欧風の料理を提供していて、期間限定で様々な国の料理を提供することもあり、食文化の交流も行えているようだ。

卓球台とビリヤード

 ここでは卓球とビリヤードが行える。エクササイズとリフレッシュ、コミュニケーション、健康…と様々な効果が期待できる。勤務後にみんなでここで楽しむのが好きだというサンシャインさん。他のフロアにもスイッチなどのビデオゲームやサッカー盤、ボードゲームなど楽しめるものが多くある。これらは24時間使用できる。

社員の交流の場所

こちらはオフィスの一角である。見ての通り、大人数でかけられるようになっており、スクリーンもある。社員で集まって映画を見たりもするそうだ。こちらでサンシャインさんに数多の質問を投げかけた。これはGoogle社員に共通して言えることであるが、全員がポジティブで親切であるということだ。サンシャインさんも根気強く付き合ってくれた。質問とその回答の一部を以下に紹介したい。ただし英語での説明が多かったため、誤解を含んでいる可能性があることに留意されたい。「()」は筆者の補足である。
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Q, 男女比、日本人と外国人の割合はどれくらいか。
A, 体感で男女比は50:50、日本人と外国人は60:40ぐらい。(訪問時の体感では年齢層は低め。平均して35~40歳くらい?)

Q, Googleは他社に比べて評価が厳しいと聞くが実際はどうか。
A, 評価は自分(サンシャインさん)の場合、月に3回ほどある。しかし評価自体はマネージャーと和やかな雰囲気で、タスクをこなせているか確認するぐらい。ただしできてない場合は結構怒られる。他社のような「上司っぽさ」というのはGoogleにはあまりない。

Q, 勤務形態を教えて下さい。
A, 一応は週に40時間働くことになっている。しかしオフィス内ではいつ仕事をしても、くつろいでもいい。基本的に割り当てられたタスクを達成していればいい。早めに帰るのもOK。残業という概念は存在しない。

Q, Google Japanの施設について教えて下さい。
A, ジムや図書館、カフェ、レストラン、VRルーム、ゲーム、マッサージ、ミュージックルーム、貸出パソコン、ラボ等様々。社員はすべて無料で使用できて食事も三食無料。友人を呼ぶこともできる。ラーメン専門の店もある。

Q, 障害者雇用について教えて下さい。
A, あまりわからないが障害のある人も働いていてカフェには難聴の従業員がいる。施設はバリアフリーにも配慮されている。

Q, サンシャインさんが入社した経緯について教えて下さい。
A, もともとスイスにいてイラスト・アニメ等の会社にいたが、日本が好きなので移住した。保育園の先生やイベント会社で働いたのち、入社した。理由はイベント会社がつまらなくてGoogleが面白そうだったから。

Q, Googleでは希望すれば他国のオフィスに移れると聞いたがその際のサポートはあるか。
A, 例えば物件探しの手伝いや、役所への紙の作成を手伝ってくれる。

Q, Google社員のマインドセットについて教えて下さい。
A,  常にポジティブなのが一つ。常にプラス思考で上昇を続ける。会社として重要視しているのは「DE&I(Diversity・Equity & Inclusion)」。(この項目のそれぞれに関する社員の主張が書かれたパネルがその社員の影姿と名前ともにオフィスの一角に掲示されている)
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上に挙げたのはあくまでも質問の一部である。以下は私の感想である。

今回の訪問で感じたGoogleの一番の強みは会社側が最高の労働環境を提示でき、社員がその恩恵によって創造性をはじめとしたさまざまな能力をフルに発揮できていることである。しかしこれはよく考えれば当たり前のことではないだろうか。
 
 なぜ世界で奴隷が解放されたのかを考えてみてほしい。人権意識の高まりや大量生産した商品の消費者とならないなどももちろん挙げられる。しかし大きくかかわっている事実は奴隷は生産性が低いということである。明日を生きることだけを目的に仕事をしていたのでは意欲は生まれない。これは多くの日本企業にも言えるのではないだろうか。俗にいう「ブラック企業」の従業員は生活をするためのお金を稼ぐことにのみ執着し、休みなく、長時間働く。これでは生産性も創造性もあがるわけがない。会社と従業員の間にある関係は「金を媒介にした主従関係」でよいのだろうか。もちろん、その答えがイエスであるはずがない。Googleとグーグラーの間にあるのは「スイミーと赤い魚」なのである(レオ・レオニ「スイミー」より引用)。スイミーは経営者であり、上司であるが決して奢らず、従業員である赤い魚に「いつまでも、そこにじっとしているわけにはいかないよ。なんとか考えなくちゃ。」といったように皆を引っ張っていく。そしてスイミーが目となって赤い魚とともに大きな魚となって大きな魚を追い払うという偉業を成し遂げる。まさに全員が一つとなって大きな目標へ向かうのである。
 
 Google Japanに入ってすぐにはGoogleが特殊なのだと思い、いつでも休憩できるのなら生産性は上がらないのではないかと思っていたが、訪問が終了するころには本来会社というものはこのようなものであるべきなのだと気づくことができた。いたるところに張り巡らされた工夫。ただただ脱帽するばかりであった。

今回訪問ができるように取り計らってくれた方々と案内してくださったサンシャインに深く感謝申し上げる。



 



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