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【アカテガニ】満月の夜に魅せる産卵行動

この映像をみると、いつも感動するんだよね〜
人生で一度は見てみたい光景の1つ。

先日、「すさみ町立エビとカニの水族館」が、次のようなツイートをしていた。

8月13日の大潮の夜に、アカテガニやベンケイガニ、クロベンケイガニの産卵行動が観察されたという。

これらのカニは全て「ベンケイガニ科」に属する似たカニの仲間だ。

「ベンケイガニ科」に属するカニは、満月の夜に集まって一斉に産卵する習性をもつカニだ。

この光景は、1年で1度しか見られない光景であり、生き物の不思議を強く伝えてくれる。

今回は、「ベンケイガニ科」の中でも代表的な「アカテガニ」に注目した。

1. アカテガニ:森の中に生息する陸上のカニ

「アカテガニ」は、赤いハサミが特徴的なカニだ。

多くのカニは海や川の周辺に生息しているが、この「アカテガニ」は森の中で木の下や土に穴を掘って生息している。

陸上に適応した、変わった習性をもつカニだ。

2. 満月の日に見られる産卵行動

陸上で生活することに適応した「アカテガニ」が、1年で唯一水辺まで降りて来る日がある。

7月か8月の「満月」の日だ。

この日は、普段、森の中で生活している「アカテガニ」が一斉に海辺に降りてきて、「アカテガニの赤ちゃん」を海に放出する日だ。

この満月の日は、「アカテガニ」のみならず、「ベンケイガニ科」のベンケイガニやクロベンケイガニも一斉に「赤ちゃん」を海に放出する。

「カニの赤ちゃん」は海辺に住む魚たちにとっては、格好の餌だ。そのため、この満月の日はカニだけでなく、ボラやハゼなどの小魚も大量に集まり、お祭り騒ぎとなることが知られている。

「カニの赤ちゃん」を一斉に放出することで、魚たちに食べ尽くされることを回避する狙いがある、と考えられる。

非常に神秘的な行動で、子供の頃からこの光景は、人生で一度でもいいから、みたいと思っている光景だ。

3. 人間の開発によって大きく数を減らすアカテガニ

以上のように、非常に変わった産卵行動をすることで知られる「アカテガニ」は、絶滅が危惧されているカニでもある。

例えば、関東では、「アカテガニ」が生息しているのは、神奈川県三浦半島の「小網代の森」が唯一の生息場所だ。

他の県を見ても、それぞれの県が管理するレッドリストに登録されるなど、「アカテガニ」は絶滅の危険が非常に高いカニでもある。

原因として考えられるのは、「森林伐採に伴う生息域の減少」や「道路建設による海へのルートの断絶」などだ。

「アカテガニ」は海と森を繋ぐ生活をしているため、開発に伴う環境変化には、明確な影響を受けることが知られている。


すでに私が子供の頃から、「アカテガニ」は絶滅が非常に心配されていたカニだ。

今後も、「アカテガニ」を代表とする「ベンケイガニ科」の産卵行動が絶えないことを祈っている。そして、そろそろ自分の目でこの産卵行動を見てみたいな〜

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