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韓非 ~ 「秦の始皇帝」の思想に大きな影響を与えた男 ~

映画「キングダム」の第2弾が公開されたね〜
春秋戦国時代の中国がこんなに盛り上がるなんて、想像できなかったな〜

さて、「キングダム」でも主要な登場人物である秦王「政」(のちの秦の始皇帝)だが、その秦王「政」が政治思想で大きな影響を受けた人物がいた。

その人物の名前を「韓非」(かんぴ)という。

「韓非」は、まだ「キングダム」の本編でも名前しか登場していない。
だが、その政治思想はこの後の「政」に大きな影響を与える重要人物だ。

「韓非」とはどのような人物で、「政」にどのような影響を与えていくのか?

今回は今後の「キングダム」で、重要人物となる「韓非」を取り上げる。

1.「法治国家」を国家の理想に掲げる「韓非」の思想

「韓非」は「秦」の隣国、「韓」の公子として生まれたとされる。
年齢は、秦王「政」より20歳ほど年上だったらしい。

「韓」の公子として育った「韓非」は、当時の有名な学者で、性悪説を唱えたとされる、「荀子」を師匠としながら、独自の政治思想を形成し、「韓非子」という書籍を記している。

「韓非」の思想は、「法」によって世の中を治める「法治国家」の思想だ。
(厳密にいうと現代の「法治国家」とは少し違うけど)

この考え方は、当時大きな勢力になりつつあった儒教に対立する考え方だ。

儒教は「徳治主義」を掲げ、古代中国の理想的な時代を取り戻すことを理想とする思想体系だ。一方で、「韓非」の掲げる「法治国家」は法による厳格な管理を理想とする。

この考え方に対し、秦王「政」は非常に感動し、「韓非」に師事しながら、自らの政治組織の構築を進めるようになる。

2. 痛烈に儒学者を批判した「韓非」

「韓非」の「法治国家」の理想に対し、最も対極な存在だったのが、「孔子」を始祖とする儒教の学者たちだった。

古代中国の伝説を政治の理想とする、儒教の学者に対し、「韓非」はその書籍「韓非子」の中で「守株」という話を書いている。

守株(しゅしゅ)
いたずらに古い習慣を守って、時に応じた物事の処理ができないこと。兎うさぎが走って来て木の切り株に当たって死んだのを見た宋の農民が、仕事を投げ捨てて毎日切り株を見張ったものの、ついに兎は捕れなかったという「韓非子」の故事による。株くいぜを守る。

デジタル大辞泉「守株」 より

「守株」という話は、「過去に理想を求める儒教の学者たちは、仕事を放り出した農民と同じだ。」と儒教の学者を痛烈に批判する話として有名だ。

ちなみに、この話は作詞:北原白秋、作曲:山田耕筰の童謡「待ちぼうけ」の元の話としても非常に有名な話だ。

私も小学生時代、この話を聞いて、非常に印象に残っている話でもある。

3.「法治国家」に向かう過程で起きた悲劇~焚書坑儒~

「法治国家」思想の影響を受けて、秦王「政」はその実現へ、邁進した。

「韓非」自身は、「秦」国内の政治闘争の中で獄死してしまったが、秦王「政」による「法治国家」は着実に完成に向かっていく。

その過程で起きた悲劇が「焚書坑儒」(ふんしょこうじゅ)と呼ばれる事件だ。

「焚書坑儒」は秦王「政」の政治に対して、批判的だった儒教の学者を弾圧し、多くの学者を生き埋めにするとともに、儒教の書籍を大量に焼いた事件だ。

秦王「政」の政治の中でも、悪名高い事件の1つとして知られている。

この事件の原因としては、儒教に批判的だった「韓非」の影響があったことは間違いない

漫画「キングダム」を呼んでいると、「法治国家」という理想を秦王「政」が語っているが、この事件の描き方は、歴史好きとして非常に興味深い場面だ。



今回は、今後の「キングダム」で最重要となる「韓非」という男を紹介した。

秦王「政」の評価が分かれる理由に、この「韓非」の存在があることは間違いない。

「キングダム」で「韓非」がどのように登場するのか、少しワクワクしながらみていきたい。

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