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wevox values cardを使った、チーム対話を促進する「自己紹介ワーク」

こんにちは。DONGURIでデザインシンキング・コンサルをやっています、矢口泰介(@yatomiccafe)です。

私はDONGURIにおいて「リサーチャー」という肩書を持っていますが、「組織開発」の性格をもった案件に関わることがあります。

「採用活動がうまくいかない」「新規事業がうまく立ち上がらない」など、必ずしも「組織開発的」ではない相談から、その根っこが組織的な課題に行き着く場合、最終的に「組織開発的」な性格を帯びる案件に収斂していく、というケースが多いです。

私の関わり方としては、課題のリサーチ(インタビューや観察といった定性リサーチ)と、課題解決のための伴走、という形になります。
課題とその発生原因は、多くの場合、構造的な問題になり、傾向性があるのに対し、課題がつかめたとして、「さて、ここからどうしようか?」といったときの課題解決のための伴走については、決まったやり方はないようです。

一人として同じ人間がいないように、人間の集まりである組織・チームも、同じものがないため、どうしても個別解として取り組むことになります。 

そのとき、まず何から手を付けるか、を考える場として「ワークショップ」を計画・実施するケースも多いです。
前提としては、ワークショップはあくまで「きっかけ」であり、経営者をはじめとした組織のメンバーが、主体性的・継続的に取り組めるかどうかが、組織開発の上では重要になります。

それを前提として、メンバーの皆様に主体的・継続的に実施してもらえそうなワークを企画して、お渡しすることもあります。

例えば今回紹介するような「自己紹介」ワークです。

なぜ「自己紹介」が重要なのか?

「たかが自己紹介でしょう?」と思われるかもしれませんが、「自己紹介」を「自己開示」として捉えると、けっこう重要だと思います。

その理由は3つあります。

(1) チーム・組織は人の集まりだから
基本的なことですが、チーム・組織は人で構成されています。
したがって「ここにいるのはどんな人なのか?」という理解は、メンバーがそれぞれ共有すべき情報として、重要だと考えられます。

(2) 「価値観」と「認知の仕方」を知ることが重要だから
「なぜこの人はこんなことを言うのか?」「なぜ、この人はこんなことをするのか?」など、人の言動や行動が生まれる原理がわからないことが、ストレスになり、悪い衝突を生むことがあります。

人を理解しようとするとき、その人の「価値観」と「認知の仕方」(物事をどう認知しているか)を知ることは大事です。なぜなら、その2つこそが、その人の言動と行動を構成しているからです。

「エンジニアリング組織論への招待」の前半にも、価値観と認知の仕方を知ることの重要性が述べられていました。

ただ、これらは目に見えないので、ワークを通じて開示してもらい、理解をお互いに深めることが重要になります。

(3) 自分のことは意外と自分で説明できないから
とはいえ、自分の「価値観」や「認知の仕方」というものは、フリーハンドで説明しようとしても、なかなかできないし、伝わりづらいものです。
また、すぐに心をオープンにできる人と、なかなか打ち解けられない人がいます。

そういう「バラのトゲのような、小さいけれど無視できない伝達の困難さ」に対して、「自己紹介ワーク」という仕掛けを作ることは有効だと考えられます。

ワークには「wevox values card」を使います

本ワークショップでは、アトラエさんが開発した「wevox values card」を使います。

「wevox values card」は、価値観を表す単語が書かれたカードですが、なんと総枚数が89種類(!)もあります。
一応、基本の遊び方があるのですが、今回は、私がカスタマイズした方法をシェアいたします。気になった方は、ぜひ上のリンクからチェキラ&購入してください!

「自己紹介ワーク」の進め方① 前提

前提
・このワークは基本的にファシリテーターが進めます。
・参加人数は〜5人までがベストです。
・最終的に、手元のカードと自己紹介シート(下の画像のもの)を使って、自己紹介をしてもらうことを目指します。

自己紹介シート

今回紹介する「自己紹介シート」の項目は、比較的初期のチーミングを想定しているため、チームの特色や、フェーズに応じて変えてもOKです!

「自己紹介ワーク」の進め方② ワークの手順

(1) ファシリテーターがカードを5枚ずつ配ります。余ったカードは、山としておいておきます。

(2) 配られたら、参加者はカードを見えるように表にして並べます。
※通常の使い方では、バリューカードは答えを伏せて進めますが、このやり方では最初から自分のカードを開示しておきます。

(3) ファシリテーターが、残ったカードの山からカードを一枚ずつめくります。

(4) 参加者は、ピンときたカードが出てきた場合、手を上げて、手元のカードから、一枚を捨てて、交換してください。その際、「なんのカードを捨てて」「なんのカードを取る」かを宣言してください。

(5) カードの山がなくなるまで続けます。参加者は、自分の手元のカードがベストな状態になるまで、交換をし続けてください。

(6) カードの山がなくなったら、参加者は、自己紹介シートに記入し、5つのカードを使って、自分を説明します。

★その他の補足
(1) 一枚のカードに複数人の手が上がったら、じゃんけんで決めます。

(2) 他の人が捨てたカードを宣言して、もらうこともOKとしました。(そのチームのルールでOKNGを決めてもいいです)

「自己紹介ワーク」のメリット

このワークは、wevox values cardの通常の使い方と比較して、ゲーム性はやや薄れるものの、ワークを通じて、以下のような「徹底的な可視化」ができる点がメリットです。

・最初からカードが開示されていることで、誰がなんのカードを残し、なんのカードを手に入れたかが見えるので、プロセスを通じて、自然と相互の価値観を理解できる

・一枚のカードに複数の手が上がるなど、共通の価値観になりえる項目を可視化できる

また、この「自己紹介ワーク」は、自己紹介シートの項目を工夫することで、同じメンバーであっても、定点で、継続的に行うこともできると考えています。

チームのフェーズが進んだり、相互理解が深まったり、メンバー内に変化が生じたり、チームに新メンバーが加わったりと、チーム・組織内の関係性は絶えず変化しています

その都度、「その時点での自己紹介(=自己開示)」を行うことは、チーム状態の可視化、対話のきっかけを作る意味でも有効ではないかと思います。

事程左様に、必要に応じて、適切な対話空間を作ることができるのが、ワークショップのメリットだと思います。

この「自己紹介ワーク」は、チーミングや、採用要件の検討など、様々な場所でアレンジできます。DONGURIでは、こうしたワークの設計・実施・体験もやっておりますので、興味があればぜひお声がけください〜〜!


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