英語学習におすすめの洋書:The Help(ヘルプ~心が繋ぐストーリー)
私は読書魔。大好きな場所は「本屋さん」です。
フィクションでもノンフィクションででも何でもジャンルを問わず読みます。でも、やはり英語力を維持し向上させたいという気持ちが強く、洋書優先です。海外の出版物で原書が英語のものであれば、原書で読むように心がけています。
そんな洋書好きの私が、書店の棚でたまたま手に取って「おもしろそう」と購入したのが今回ご紹介するキャサリン・ストケットさんのデビュー小説「The help」(2009年発表)です。まず、カバーデザインで思わずそそられました。エプロン姿の黒人のメイドさんが三輪車にのる白い赤ちゃんを見守っている写真。地味なのですが、とても素敵。私はジャズが大好きなことから、アメリカの黒人社会にも興味があり、アフリカ系の友人もたくさんいます。NYに行くと絶対にハーレムのAirBNBに泊まります。
なので、この本は内容以前にいわゆる「ジャケ買い」でした。蓋……じゃなく表紙を開けてみると面白かった!という展開です。
その後に映画化されたときは、「え?あの本の話?」とビックリしました。(私、見る目あるじゃん!と)
Amazonで検索すると上の表紙のものが出てきますが、私が購入したのは下のデザインのものです。(中身は同じ)
著者のキャサリン・ストケットさんは、アメリカ南部ミシシッピの出身でアラバマ大学を出ておられるそうで、どっぷり南部の人ですね。この作品が売れるまで出版社で働いていたそうですので、ジャーナリストを夢見る主人公の白人女性スキーターは、彼女自身の姿かもしれないなと感じます。
ちなみに世界中で大ベストセラーになったこの小説は、5年の歳月をかけて書かれたそうですが、実際に出版に至るまでには、60もの出版社に却下(turn down)されたそうです。(どういうこっちゃ?)
冒頭は以下のようにメイドのエイビリーンさんの語りで始まります。
Mae Mobley was born in early Sunday morning in August, 1960. A church baby we like to call it. Taking care a white babies that's what I do, along with all the cooking and the cleaning. I done raised seventeen kids in my lifetime. I know how to get them babies to sleep, stop crying, and go in the toilet bowl before they mamas even get out a bet in the morning.
メイ・モブリーは1960年の八月、日曜の朝早くに生まれました。教会っ子って呼ぶのよね。白人のお子さんのお世話、それが私の仕事。炊事や掃除ももちろんだけどね。私は今まで17人も育ててきた。赤ん坊をどうやって寝かしつけるか、知り尽くしてる。泣き止ませ方、それにママさんが起きてくる前にトイレを済ませさせる方法なんかもね。
But I ain't never seen a baby yell like Mae Mobley Leefolt. First day I walk in the door, there she be, red-hot and holloring with the colic, fighting that bottle like it's a rotten turnip. Miss Leefolt, she look terrified a her own child. " What am I doing wrong? Why can't I stop it?"
それにしても、メイ・モブリー・リーフォルトほど泣き叫ぶ赤ん坊は観たことが無かった。初日に家に着くなり、あの子はどこか痛いのか真っ赤になって泣き叫んでいて、まるで腐ったカブでも嫌がってるみたい哺乳瓶を拒否してた。リーフォルトの奥様は、自分の子供に恐れをなしてらした。
「一体何がよくないっていうの?これ、どうして泣き止まないの?」
It? That was my first hint; something is wrong with the situation.
これ?それが最初のヒントだった。その状況は何かが変だった。
エイビリーンさんはじめ、メイドさんたちの話し言葉でストーリが展開するので、少しスタンダードの標準英語とは違います。
Taking care a white babies→Taking care of white babies
I done raised seventeen kids→I have raised seventeen kids
there she be→there she is
こうった表現は黒人社会を描く小説などによく出てきます。日本語でも訛りを表現するのと同じですね。
本を朗読で聴けるAudibleでは、珍しく複数のナレーターで朗読されていて、それぞれのキャラクターに合わせて南部訛り、黒人英語がとてもいい感じで朗読されていました。
なんと、この作品の映画化作品に出演し、アカデミー賞助演女優賞を受賞したオクタビア・スペンサーさんも朗読しています。
なかなかハートウォーミングなストーリーですので、一旦入り込むと一気に読めると思います。映画を観てから読むのもよいかもしれません。
ひとつだけ、引っかかるところがあるとすると、やはり白人目線というところかなと思います。「虐げられている黒人を、偏見の目を持たない理解ある賢い白人が救う・・・」という、いわゆる「White Savior」(白い救世主)の構図で書かれています。
2020年のBlack Lives Matter運動で、素直にこの構図に感動するということが、ちょっと違うかな?少しナイーブなんじゃないのかな(裏に色々ある)と感じるようになった今日この頃です……。
音声で上記の冒頭部分の朗読もしています。
英語を習得したい、上手くなりたいというのは多くの人の普遍的な希望ですよね。こうすればいいよと言葉で表現することのむつかしさをかみしめています。楽しくて自然に英語が身に付いていくような、そんなコンテンツの発信を目指しています。