「主人公の友人」の演じ方。
映像の俳優の仕事で「主人公の友人A」とか「主人公の同僚B」の役ってありますよねー。
キャリアアップのためにすごく重要な仕事。 主人公の周りで主人公を立てつつ、相槌をうったり、たまに断片的な台詞を喋ったり・・・でもこれが意外と難しいんですよ。 まず自分のペースで演じられないし、どんな人物なのか脚本に詳しく書いてなかったりするし、主人公役の俳優さんが有名な方だったりすると緊張するし・・・結果ニコニコしてるしかできなくて「主人公の友人A」という動く大道具で終わってしまうことってよくあります。
これホント悔しいですよねー。
なんでそんなことになってしまうのでしょうか?
でものちに大活躍するような俳優って、そういう場面でも「お、いいね」という印象を残したりするんですよねー。それは一般視聴者でもわかるレベルで。 それはどこが違うんでしょうか?
それはたぶん「演技のボキャブラリーの豊かさ」と「大胆さ」です。
撮影現場で「友人役」を演じる時に俳優がやってしまいがちなのは、なんだかずっとニコニコしてることと、いちいちうなづくことですかね~w。 ボクも身に覚えありますがw。
またそれを演出側が求めたりすることも多々ありますからね。「もっと仲良さそうにして!」って・・・いやいや!現実世界で「仲良さそうに」するのは「本当は仲の良くない人達」ですから! 冷静に考えたら、やたら「ニコニコ」したり「うなづき」まくったりしてる関係は仲のいい人間関係じゃないでしょ?
あと「友人役」を演じる時に俳優がやってしまいがちな失敗は、
自分のキャラのことばっかり考えてしまうことです。
まじめそうに演じなきゃ!とか、活発そうに演じなきゃ!とか、性悪そうに演じなきゃ!とか・・・結果キャラを説明的に演じるのに手いっぱいになって、肝心の「友人関係を演じる」ことが疎かになってしまったりするんです。そう・・・
一番大切なのは「友人関係を演じる」ことなのです。
現実世界において、仲のいい人間同士ってどういうノリのコミュニケーションをとるっけ? そのことについて深く考えてみましょう。 深いですよー。
だって職場やバイト先の友達との仲の良さと、中学時代の友達との仲の良さはノリが違いますよね。 兄弟の仲の良さはさらにまた違うし、バンド仲間や劇団の仲間との仲の良さは共同作業を介したまた別の仲の良さです。 恋人同士との仲の良さは夫婦の仲の良さとはまた別物だし、元カレ元カノとの仲の良さはさらにまた別次元でしょうw。親子の仲の良さもある。飲み仲間・カラオケ仲間の仲の良さもある。
そう、ひとことに仲の良さと言っても仲の良さには無限の種類があり、それぞれが独特のノリを持っています。
では、いま演じるべき「主人公との仲の良さ」は、それらの内のどの仲の良さのノリに近いのか?
そのノリをどれだけ沢山の種類から選ぶことができるかが「演技のボキャブラリーの豊かさ」です。 そしてさらにその「これだ!」というノリで主人公役の俳優さん相手にガンガン仕掛けることができる「大胆さ」が必要です。
どうです?「ニコニコ」とか「うなづき」とかしてる場合じゃないですよね?w
不思議ですよねー。
人生においてこんなにも色々な種類の仲の良さを経験してきているのに、いざ演じなきゃと思うとそれらをすべて忘れてしまって、記号的な「ニコニコ」「うなづき」しか演じられなくなっちゃうんですよねーw。
よく俳優には人間観察が大切とか言われますが、ボクはそんなもんよりも実際に経験した感覚に勝るものはないと思います。
現実世界において経験した感覚は「演技のボキャブラリー」として「演技の引き出し」に蓄積されてゆきます。あとは演じる時にこの引き出しを開けるだけです・・・でも開けないんですよねー(笑)。 引き出しがあったことすらも忘れてしまうから。 引き出しは開けること!・・・重要ですw。
そして引き出しから取り出した「あの感じ」で相手役に接してみてください。きっとむこうもなにかを感じて返してきますから。
本当に友達だと思って、本当にバンド仲間だと思って、本当に元カレだと思って大胆に行動してみてください。
お、ひさびさに2ページ分の字数に収まった。
最近5ページとか長くなっちゃってたから・・・やっぱりこれくらいの分量が読みやすいですよねー。
そうそう、3月3日(日)のトクナガヒデカツさんとの7時間の合同演技ワークショップ
『演劇の演技 vs 映画の演技』、参加者あと若干名募集中ですー。
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小林でび <でびノート☆彡>
<2019/2/27追記>
ワークショップ、定員に達したため募集を終了しました。
多数のご応募ありがとうございました☆
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