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めぐり逢い


 薔薇のシーズンが始まった。毎日刻々と表情が変化していく中、できるだけ望ましい状態を撮りたい。どちらかと言うと満開より少し前、多くの花がまだ開き切っておらず、蕾もたくさんついて、これからが本番という頃がいい。できることなら雨上がりの午前中で光が柔らかく雨粒がキラキラ輝いているような時。

一昨日の夜から降り始めた雨は、昨日朝になっても降り止む気配がなかった。しかし信じられないことに天気予報では昼頃一時的に「晴れ」と出ている。
関東では桜のみならず薔薇の開花も早く、見頃は過ぎたというコメントを先日頂いたばかり。
ということは九州でも例年より早いかもしれない。
そして来週はずっと晴れの予想。
天気の日に薔薇を撮ると陰影が強く出てしまうので避けたい。
晴れが続くと開花が一気に進んでしまう。
となると天気予報の「昼頃一時晴れ」を信じて、行くなら今!
午前中の用事を慌ただしく済ませ、大雨の中車を走らせた。

バラフェアが開催されている公園の駐車場に車を停めたとき、本当に雨が止んだ。
それから1時間半の間だけ雨は降らなかった。
5分間だけ晴れ間も覗いた。
完璧な天気予報だった。



今年もたくさんの薔薇に出会う。
数十万いやそれ以上あるかもしれない花壇の中からどの花を選ぶか。
あたかも薔薇が微笑んでいたり涙しているように映る出会いの瞬間を私は撮りたい。人の涙が美しい時もあるように、薔薇にも美しい涙を浮かべているように見える時がある。

人が自らの心の深みに触れた瞬間とき、涙はこらえきれずに溢れ出る。その涙は心の奥に秘められた魂のエッセンスのようなものだと思う。

花もまたそれぞれにエッセンスを秘めている。
美しい薔薇をじっと見ていると、その中から涙が溢れているように見えてならない時がある。それは悲しみや儚さを憂う涙ではなく、花開くことの喜び、存在から溢れ出る愛ではないかと思う。

蕾からほんの数時間で開花し数日で散ってしまう薔薇の花。
その奇跡のようなめぐり逢いの瞬間。
人の心の奥に潜むものの写し絵のような花である。





北九州市 響灘グリーンパーク





























































































































ご覧いただきありがとうございます。



♪The Rose/Bette Midoler






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