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夕暮れ町内散歩



 空梅雨が続いている。植物にとっては水道水よりも自然の方が恵みの雨。しかし庭には欠かせないので朝の水やりが日課となる。酸性雨は近年中国の環境対策によってやや改善されたようだが、まだ若干酸性の横ばい状態が続く。北九州は水不足になりがちなので、酸性雨でも歓迎だ。

最近の散歩時間は朝よりも夕方が長い。雨も降らないので毎晩歩ける。もっぱらカメラを持って当て所もなくぶらぶら彷徨い歩くのは、若い頃から続く放浪癖の名残りのようなものだが、涼しい風に吹かれる夕暮れ時の町内散歩が何とも心地よい。

この時期、日が暮れるとどこからともなく祭囃子の音が聴こえてくる。1か月後に開かれる「黒崎祇園山笠」の盛大な祭りに向けて、地元の子どもたちが400年続く伝統を守るための気合の籠もった練習が始まったのだ。

関ヶ原の合戦の陣太鼓の勇ましさを取り入れたと言われる祇園囃子は、大太鼓、小太鼓、そしてしょうと呼ばれる金属製の皿状の体鳴楽器の3つが主体で演奏される。祭りの時にはこれらにほら貝も加わる。
始めはゆっくりと穏やかに、途中からいきなり音量とテンポが格段に上がる。実際の祭りでは2.5トン(大型SUV並み)を超える巨大な山笠がこのアップテンポに合わせ、勇ましい掛け声と共に、その場で片方の木製車輪を軸に回転し始め、山笠に乗り移った神のエネルギーが炸裂し周囲を圧倒する。回転軸となった車輪の下のアスファルトが深く抉れるほど凄まじいパワーだ。

この山笠の製作は8つある町内会それぞれで準備が始まっている。今年の祇園山笠は7月21日 ~ 7月24日に開催予定。
夕方になると子供たちの囃子の練習も各々の町内会で行われているので、街のあちらこちらからドンドンという低い太鼓の音と、チャリンチャリンという鉦の軽やかな音色が心地よい独特なハーモニーを生み、涼し気な響灘から吹いてくる風に運ばれ響き渡っている。

また夕暮れの町内は至る所、アジサイが満開だ。花にもまた囃子の音と振動が伝わっていることだろう。夕焼けの赤く染まった空の色からやがて夜の闇へと移り変わる光の変化を忠実に反映し、その表情が微妙に変わっていくことを自らも楽しんでいるように見える。
花は此の世の実相を写し出す穢れなき鏡。
夕暮れ時は一層艶めかしく輝いている。























































囃子の練習をする地域の子どもたち。
練習場所となっているこのアーケード街や、飲み屋街も閑散としているが、
祭りの最中は巨大な山笠の通り道となり、山笠を引く人と見物客とで溢れる。



2022年7月撮影 黒崎祇園山笠













その他昨年撮影した黒崎祇園山笠はこちら☟



地域の小中学生による競演会の模様

黒崎祇園山笠太鼓競演会2022




アッシュさん
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