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大分から熊本へ①          原風景を想う

 大分から熊本へ車で向かう途中、くじゅう連山の山間部を貫く山道を抜け、細い林道に入り、やがて山の裾野に広がる牧草地の小道を走る。
所々目眩く広大な風景が次から次へと現れる。
ここは阿蘇くじゅう国立公園のエリアだ。

 人影も車も民家もコンビニも高圧線も、人の気配というものが何もない。
聴こえてくるのは遠くに響く鳥の歌声。
風にそよぐ木の葉と足元の草。
時が止まるというよりも、ここでは時という概念そのものが消えてゆく。

 太古の時代には原生林が果てしなくどこまでも続いていたのかもしれない。そうだとしたなら当時は生い茂る樹々に隠れて地平線を見ることはできなかっただろう。
しかしこの透明な光と風と静寂は今でも不変。
目の前に広がる風景を眺めながら、しばし想像上の原風景に想いを馳せる。
原生林と荒野が明るい光の中で永遠のように輝いている光景を。





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