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冬薔薇


 年の瀬も迫り、今年も残すところあとわずか。久しぶりにいい天気だったので、春と秋のフェアに幾度となく出かけた地元のばら園に冬薔薇ふゆさうびを見に行った。フェア開催中はあれほど混雑していた広い園内も、さすがにこの時期は他に誰一人として見物客はいない。

先週は雪や雨の日が多かったせいなのか、花びらの痛んでいるものが多い。それでも寒さの中で予想外にたくさん咲いていたのには驚いた。蕾もまだまだ多い。寒いからといって休まずに、開花に向けて成長し続けるのが薔薇の逞しさなのだろう。

園内では管理者の方たち数人が、来シーズンに向けての準備に励んでいた。その中の若い男性作業員の一人がカメラを構えている私に声をかけてきた。

「冬薔薇は色が濃くて最も綺麗だと自分では思います。」

確かに花の大きさや数では見劣りするものの、色合いに深みがあるように感じる。九州は緯度が比較的低いので、冬の日差しはより赤味が増す。そのため暖色系の色が鮮やかになり、赤や橙の冬薔薇が華やぐ。反対に北海道は紫色に偏る光のため夏のラベンダーの色が深く美しい。
つまり日本列島全体には常に虹色の光が降り注いでいるということになる。

このばら園の来シーズンはアプローチの階段両サイドが白い薔薇で埋め尽くされ、今年とはガラッと違ったイメージになるとのこと。そう言えば今年は赤い薔薇が多かった。どんなばら園になるのか、来春が楽しみだ。
因みに作業をしていた人たちのリーダーはとても若い男性だったのが意外だった。しかしよくよく考えてみると成程と思うところでもある。何故ならこのばら園全体の雰囲気がとても若々しい感性に溢れた設計になっているからだ。
これまでにもここで撮った写真をネットで紹介してきて、たくさんの方に見て頂いたと伝えると、すごく励みになると満面の笑みを浮かべて喜んでくれた。

結局ずっと一人きりで園内を歩きまわって小一時間が経った。うっすらと漂う薔薇の香りが暖かな冬の光に溶けて消えた。
育てる人も見る人もみんなが仕合わせな気持ちになれる薔薇の存在ってやっぱり凄いなと思う。 





北九州市立響灘グリーンパーク

















































































今年一年大変お世話になりました。
スキマークやコメントを頂いたことが励みとなり、
何とか毎週投稿することもできました。
これもひとえに皆様のおかげと感謝しています。
ありがとうございました。
よいお年をお迎えください。





Kristina Reiko Cooper
"Emanuel"


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