桜が散ったあとには
我が家の庭
北九州ではだいぶ桜は散ってしまったけれど、いろいろな花がすでに咲き始めた。
毎日見ているはずの狭い庭だが、起こっている変化に気づかないことがよくある。昨年の春、庭の片隅に植えたブルーベリーもまた、冬を無事に越して、いつの間にか花を咲かせていた。
小さすぎて気づかなかった。
夢見のような眠りから覚めた赤子が、目をぱっと開けて辺りを見廻し、頬を染めて微笑んだような花だ。
すぐ隣にはブロッコリーの花。
苗が大きく育たなかったので放置していたら、それがいつの間にか花を咲かせた。普段何気なく食べていたブロッコリーは花芽の部分であり、それはやがて黄色い花になるということを初めて知った。
スノーフレークとチューリップのツーショット。
地中では離れ離れだったが、ようやく地上で出会い、親しげに寄り添い、触れ合い、互いの存在を確かめているようにも見える。
「やあ、こんにちは。隣にいたのは君たちだったんだね。
大っきい花だね。」
「君は小さいけど、すっごくかわいいよ。」
なんて言っているかも。
今週は雨の日が続いた。
雨に濡れた花には妙に惹かれるものがある。雨の日は厚い雲に覆われ、陽の光が白く柔らかに分散される。コントラストが弱まって、花びらの質感や色が瑞々しい。
雨粒をつけた花びらは、宝石を身に纏うように華やぐ。
この地上に生きているというリアリティがいっそう強調される。
夕方、まだ光が空に残っていたので傘を差して撮った。
市内の公園
モンシロチョウは桜の後に続く花を見に集まってきたわけではないが、気持ちよさそうに菜の花畑をあちこち飛び回っていた。あまりにも速い動きなので写真に撮ることはできなかったが、2匹の蝶がじゃれ合うように飛んでいた。
いつもの春の光景だ。
当たり前のような毎年の繰り返し。
だが、奇跡のように美しい。
野鳥の動きも活発だ。
水辺に憩うカワラヒワ。
いつもは群れで移動するが、この仔だけは珍しくポツンと単独行動。
暖かくなって気が緩んでいるのだろうか。
それとも群れから離れるのが好きなのか。
桜の樹に巣くう虫をひたすら探すコゲラ。
コゲラはメジロと違って花にはまったく見向きもしない。
この写真はまだ桜が満開の頃のもの。
ついこの間撮ったばかりだが、すでに懐かしい思い出のように遠く感じる。
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