大分から熊本へ② 森の水鏡
熊本県阿蘇郡産山村の、牧草地の細く曲がりくねった道を抜け、谷間の原生林を進んでゆくと、やがて「山吹水源」と呼ばれる小さな池に辿り着く。
7万年前の九重火山群火砕流によって形成された台地に浸透した雨水が、何年もの時を経てやっと地表に湧き出た泉である。この清らかな水を神が産湯にしたという伝説がこの地に残っている。
辿り着くまでの道はカーナビで表示されなかったため、幾度となく迷うことになる。たまたますれ違った小型ダンプカーを運転していた中年男性に道を尋ねる。すると満面の笑みを