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げらっぷグランドチャンピオンシップ2021ライブレポ

げらっぷとは

大阪なんばのzaza pocket’sという劇場(キャパ50~80)で、月数回、お笑いライブを企画運営している団体であり、出演芸人は学生社会人プロと多岐にわたり、大阪お笑いのすそ野を広げている。

げらっぷ


この度、3月27日に、毎月のバトルライブでの成績優秀者のみが出演可能な、1年の総決算ともいえる優勝賞金10万円の、げらっぷグランドチャンピオンシップ2021が開催された、本記事はそのライブレポである。
そもそもこの日はzaza house(キャパ100~150)を1日貸切って、げらっぷライブ3部構成となっており、1部2部で、東京から、虹の黄昏、忘れる。、ダウ90000を呼び寄せ、東西のフリー芸人の交流ライブが行われていて、3部のグランドチャンピオンシップで終演となる。私は、時間の都合上1,2部は行けなかったが3部を見終わったあとに無理をしてでも行けばよかったとひどく後悔した。

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18:30に開場が始まると、ぞろぞろと列をなして観客が入場し、開演10分前には満席になっていた。私は運よく最前席に座ることができた。開演すると、MCのにぼしいわしとダウ90000蓮見が登場。ライブの説明をする。バトル形式は、4組×3ブロックでブロック勝者を決め、3組で最終決戦を争う、ABCお笑いグランプリと同様のシステムで、得票はグーグルフォームを用いて完全に観客が決めるガチンコバトルだ。以下、前置きが長くなってしまったが各コンビのネタの感想を書いていく。

Aブロック


①涼風 「幸せなこと」(漫才)
新進気鋭の男女コンビ。ボケのかわい(女性)が、終始ローテンポでひとつのことがらを押し通す、ツッコミの松尾は彼女を突き放すことも迎合することもなく、ただ受け止める。次第に何か、聞いてはいけないことを聞いているような、世にも奇妙な物語のようなカリギュラ的世界観を持った漫才で、3分は短すぎた。5分でも10分でも聞いていたい漫才で、きっと私以外にも大勢彼らの虜になったことだろう。
②風穴あけるズ 「卒業生講話」(漫才)
大阪松竹の若手エース。ツッコミの飛び出せっ!安藤っ!が母校に卒業生として凱旋する漫才コントで、設定を聞いた瞬間「めちゃくちゃおもしろそう!」と思ったし、実際おもしろかったが、欲を言えばノブヨシ日本代表が大暴れして安藤がすごく困るところを見れると嬉しかった。途中の価値観のくだりが最高。
③Ms.ポストマン 「鐘」(漫才)
おそらく12組の中で1番若い学生芸人。何度かネタを見たことがあるが、その度に、きっと2人にしか考えつかない発想力に驚かされ、しゃべくりの心地よいテンポに包まれる。単純なボケとツッコミで形容しづらいその漫才を、10年後も見ていたい。今回のネタでも、仲良く楽しそうにやっている姿が印象的だった。
④ボニーボニー 「お笑い賭博」(漫才)
深紅のスーツがトレードマークの熱量型漫才師。つかみでMs.ポストマンのネタを引用し今日初の拍手笑い。平場やアドリブがとにかく強い。西のカナメストーン?お笑い賭博、というネタの内容も、もろお笑いファン好みで完全に客層とマッチ、熱と力技で大きなムーブメントを巻き起こした。

Aブロックからはボニーボニーが決勝進出となった。

Bブロック

①ハバネロ胡椒 「スポーツ嫌い」(漫才)
唯一の東京組。私を含め会場のほとんどが初見だったと思うが、第一声で会場を掴んだ、声がとにかくでかすぎてびっくりした。特徴的な見た目と大声で、キャラ漫才かと思ったが、丁寧な導入から様々なスポーツの曲解や偏見を言っていくという、まさかのシンプル大喜利漫才。ギャップに心打たれた。終盤のマラソンや競歩のくだりで拍手笑いを連発し、構成の妙もみてとれた。とにかくシンプルで強いあるあるを羅列する姿がかっこよかった。
②ベグBOG 「腕相撲大会」(漫才)
大学生M-1チャンピオン。シンプルなコント漫才で動きと展開どちらの質も一級品、常に沸々と笑いが発生していた。過去に1度見たことがあっただけだが、このネタは彼らの4年間の集大成なのかもしれないと勝手に感じて胸が熱くなっていた。ボケのよしもとは、来年からNSCに入学するそう、前聞いたときは働くと言ってたような気がするが、記憶違いか。どちらにせよ5年後が楽しみな芸人だ。
③魚雪2倍速 「モノマネ×モノマネ」(ピン・フリップ)
モノマネ狂人。TwitterとYoutubeで毎日若手芸人のモノマネをしている。ネタの内容も、名台詞のモノマネと芸人のモノマネを掛け合わせたもの。特にアムロ・レイ×もう中学生が最高で爆発的な笑いが起きていた。ただ、後半の音声が大きく少し聞き取りづらかった部分が、ネタはめちゃくちゃ面白いだけに悔やまれる。
④へべれけ 「漫才頑張っていこう」(漫才)
げらっぷのエースその1。勝手にそう思っている、げらっぷライブにて精力的に活動。いつも、次はどうなるんだろう?と思わせながらワクワクする漫才をみせてくれる。今回も、ボケの鳴瀬が唐突な告白をし、なみなみならぬ雰囲気になるも、ツッコミの新原が熱量で観客を沸かせ、さらなる展開が待ち受けていた。来年からNSCに行くようで、関西学生芸人の底力を見せつけてほしい。

BブロックからはベグBOGが決勝進出となった。

Cブロック


①ガーベラガーデン 「誘拐」(漫才)
M-1準々決勝常連の先生×塾講師漫才師。学校の先生と塾講師といういつものフォーマットはそのままだったが、あるあるの強度のみで拍手笑いを連発し、圧巻のステージだった。やはり実際の職務としてやっている分、よりいっそう面白く感じられるあるあるが多かった。警察官、居酒屋、教習所など、芸人が「ないない」を考えつくしてできた傑作漫才は多数あるが、本職の人の純あるある漫才も強烈に面白いのだなと感じた。
②単細胞 「間違い探し」(ピン・フリップ)
とにかく腰の低いピン芸人。つかみが面白かった。ネタも、そんなんありか?と思うような自由なネタで、何も考えずに楽しめた。ツイキャスで誰か1人でも見に来たら終了するライブ配信を行っているそうで、本当に意味がわからなくてただひたすらに面白い。
③ハノーバー 「結婚の挨拶」(コント)
恰幅のいい漫才師、全国ネット経験も。コント特有の、最初の設定のばらしの瞬間の大きな笑いは、何度聞いても心地よい。あほらしいドタバタコントで常に笑いに囲まれていた。コントもいいが、2本目で漫才をみたかった気持ちも捨てきれない。
④ボケボケマンボーズ 「見送り」(漫才)
げらっぷのエースその2。アマチュアではほんの数組の2021M-1 3回戦進出。オーソドックスな漫才コントだが、気持ちのいい展開と愛らしい動きで観客の心を鷲掴みにし、MCのにぼしいわし にぼし曰く「頭おかしくなるぐらいウケてた」12組のトリにして圧巻のパワーとウケ、後半はすべての展開で拍手笑い、軽く感動を覚え笑い疲れた。会場の熱量もここまでのピークに。

Cブロックからはボケボケマンボーズが決勝進出となった。

ダウ90000


得票数集計の間、MCによるネタコーナーが行われたが、ボケボケマンボーズで盛り上がり切ったと思われた会場を、ダウ90000が信じられないくらいのウケで本日のピークを更新した。ネタは「居酒屋」。新ネタだそうだ。これに関してはもうとやかく言うのも無粋なので(これまでのも相当野暮なのだが)とにかく今からでも配信を買ってみてほしい。私はこれまでのダウどのネタよりも好みだった。ダウ90000が好きで好きでたまらない人にとっては、優に1200円の価値はあるであろう、それくらい、らしさがこれでもかと詰め込まれていたコントだった。飛び出せっ!安藤っ!曰く「余韻にひたる時間ないの?感想会したい」。会場もおそらく同じ気持ちだったろう。それまでの熱気を帯びていたバトルライブが、ダウ90000の色に染まっていくような気がした。私もそのとき、ああ、今日はもうこれ以上はないな、それぐらい素晴らしいコントだ、と思ったがそれは浅はかな考えであったことを決勝戦で思い知らされた。

決勝の順番は抽選で決まり、①ベグBOG②ボケボケマンボーズ③ボニーボニーとなった。たった3組による、これまで以上の激戦の火蓋が切って落とされる。


決勝ブロック


①ベグBOG 「マッサージ」(漫才)
さっきの漫才よりもずっとツッコミのよもぎだが楽しそうだったのが印象的だった。顔を紅潮させ、ボケのよしもとを真正面から正し続ける、よもぎだはもうステージに立つことは無いのかもしれない。彼の気概が感じられた。ネタ内容が下ネタよりだったため、本人曰く「野太い声が聞こえてきた」そう。ただ直接的な表現は一切なかったうえ、純愛物語まで入れ込んでいたのでばかばかしすぎて私は爆笑してしまった。
②ボケボケマンボーズ 「ご近所付き合い」(漫才)
予選で跳ね上がった期待値を、彼らは優に飛び越えていった。ほんとうにかっこよかった。動きの面白さに全振りしたような漫才で、とにかくずっと面白く、マヂカルラブリー「つり革」が少し頭をよぎった。ダウ90000が更新した最大値を、ボケボケマンボーズがまた乗り越え、会場は今度こそ今日1番の盛り上がりをみせた。マイムの面白さだけでなく、ふとした瞬間にみえる関係性など、細かい部分も面白すぎる漫才だった。
③ボニーボニー 「やりたいシーンがある」(漫才)
ボケボケマンボーズが作った空気の、ちょうど真ん中をボニーボニーも突っ走っていった。彼らほど楽しい漫才師はいるだろうか、ふたりとも華があふれでていた。リズムと熱量で爆笑をかっさらった。

激戦に次ぐ激戦の末、得票数44で(来場は108)ボケボケマンボーズが優勝し、初代げらっぷグランドチャンピオンシップの座と賞金10万円を勝ち取った。1年間、げらっぷライブにてMCなど一角を担っていたボケボケマンボーズが並み居るプロ芸人をなぎ倒しての優勝は胸にくるものがあったらしく、ボケのとびたは目に涙を浮かべていた。ボケボケマンボーズの2人のお辞儀で幕が閉じ、終わった瞬間周りから「おもしろかったあ~」と聞こえてくるようなライブだった。今日きっと会場の誰もが、新たに好きな漫才師を覚え、今日きっと会場にいた誰かが、未来のお笑い界を引っ張ってくれるような、そんな素敵な空間だった。

最後に


ここまで長文を読んで頂いてありがとうございました!ライブに来ていた人はぜひクリアに思い出せたでしょうし、ライブは来なかったがなぜかここまで来てしまった人は、もう配信買いましょう笑!ここまで読んだ人は絶対損しないです笑!配信URL https://ssl.twitcasting.tv/butaisode_katoh/shopcart/142125

げらっぷのコンセプトは『ホンマにおもろい奴にスポットライトを!』です。そんな日々が来ることをみんなで夢見ましょう!出演者、スタッフ、関係者諸々、最高のライブをありがとうございました!


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