実戦型デザインスクールの構築と、高度デザイン人材ガイドライン活用の裏側
1.Designship Do概要
「実践型デザインスクールの構築 ガイドライン活用の裏側」ということで、Designship Do事業責任者である白鳥からお話しさせていただきます。よろしくお願いいたします。
Designship Doを初めて知る方もいらっしゃると思うのでまず概要をご説明します。
2021年の5月に第1期を開講してまだ立ち上げたばかりですが、デザイナーの育成やカリキュラム自体をつくることの難しさに直面しました。その難しさの原因はなんなのか?というような話も本日共有できたらと思います。
時系列に沿って、私たちが実際にどのように「高度デザイン人材ガイドライン」をたたき台として活用していったのかをお話ししたいと思います。
Designship Doは2021年の5月に第1期が開講しました。母体は一般社団法人デザインシップという団体で、Designshipというデザイナー向けの国内最大級のカンファレンスを開催しています。
私たちは、次世代の産業に貢献し担っていくようなデザイン人材の方々が物語を通してさまざまな知見を共有するという場をつくっています。
その活動を通じて、そのポジションやその立ち位置にどうやって人が育っていくのか、その姿を見た時に自分はどうやったらそのひとを追い掛けられるのか、という壁も感じてきました。
理想と実際の現実のギャップに困っているデザイナーが多いのではないか?という課題感を持ったことが「Designship Do」を立ち上げるきっかけとなりました。
「デザインを基軸にしてリーダーシップを持ってビジネスの中核に立てる人材を育成する」という目的のためにカリキュラムを設計しました。
この「デザインを基軸にして」というところがポイントで、現場でデザイナーとして活躍されている方々に向けて、リーダーシップやビジネスの中核に立っていけるようなエッセンスを凝縮してカリキュラムを組み立てました。
Designship Doは「デザイン・ビジネス・リーダーシップを学ぶオンライン完結の実戦型デザインスクール」を掲げ、デジタル業界を主軸にした現役のデザイナーを主な対象として、プロジェクト実践を中心とした現場目線のカリキュラムを提供しています。
特徴は、3カ月の集中講義、オンライン完結、デザインの人材像に特化した3つのコース です。デザイナー向けということで、かなり対象を絞ったかたちで「高度デザイン人材育成ガイドライン」を活用しました。
3つのコースについてご説明します。
「サービスデザインコース」は新規の価値創造などに特化して学ぶコース、「デザインマネジメントコース」はリードデザイナーやデザイン組織を立ち上げて実際に事業と組織を組み立てていくような立場の方に向けたコース、「デザイン経営コース」は事業や会社の経営に深く関わっていくためのコースです。
それに加えてオリジナル講義動画集(VOD講義)Do+とグロービス学び放題も同時に提供しています。
図を見ていただくとわかるように、デザインスクールと銘打っていますが、実はデザインのカリキュラムというのは一部だけです。プロダクトマネジメント、組織戦略、あるいは倫理、マーケティング、経営戦略など、デザイナーにプラスアルファのものを学んでいただくことに特化したカリキュラムとなっています。
2. 育成カリキュラムを難しくする原因
ここから実際に私たちが育成カリキュラムをつくっていったお話をしたいと思います。そもそも「育成は難しい」という悩みをお持ちの方は、今回のシンポジウムに参加されている方々の中にも多いのではないかと思います。
人を育てる、もしくは特定のジャンルを学ぶ、身に付けることの難しさにはたくさんの要因があると思いますが、私たちは大きく2つの原因があると思っています。
まず1つ目がデザイナーの多様化です。
いまはひとくちに「デザイナーです」と言ってもバックグラウンドが異なり領域もかなり幅広くなっています。たとえばアプリデザインとかグラフィックデザインとか、ビジネス分野やテック領域などなど、デザイナーが仕事をするさまざまな領域があります。
「私はデザイナーです」と名乗ったとしてもそれぞれの持っているスキルセットはかなりばらばらで、ひとつの職業としては多面的な要素が強いのではないかと思っています。
スキルアセットを書き出してみると、グラフィックデザインやプロダクト、デジタルというスキル、近年では経営の話やファイナンス、マーケティング、事業開発などのビジネス面、加えてエンジニアとの協業のような部分も必要性が強くなっています。
テクノロジー、アジャイル、運用保守、そしてチームや組織、デザイン組織を立ち上げるようなマネジメント、採用、それに伴うリーダーシップなどまさに「多様」です。
ふたつめが、これが私たちが一番つまずいた部分であり、今回のシンポジウムで一番お話したい「裏側」の部分なのですが、育成側、私たち自身でいうとカリキュラムをつくる側のメンバーのあいだの認識のずれというのも育成カリキュラムを難しくするかなり大きな原因ではないかと思います。
先ほどにも挙げたような育成領域の広さということもあり、運営メンバー同士で、例えばマネジメントを学んだほうがいいんじゃないか?とか、採用について詳しくなったほうがいいんじゃないか?とか、ファイナンスなんじゃないか?というようにさまざまな意見を交わしました。
この議論を通して、メンバーそれぞれが思っている各領域の全体像や領域についての解像度がかなり異なっているということが分かってきました。
育成者自身の経験のバイアスというのが強く働き、しかもそれが業界用語(特に片仮名ワードなど)で共通認識が取れていると錯覚してしまうこともあります。議論しているけどなかなかうまく進まないという状況に陥り、かなり認識のずれを感じました。
企業の中でも、研修やカリキュラムをつくる場合に、領域がかなり広く育成者側の認識のずれがある、共通言語がないということが課題なのではないかと思います。
このように、検討の過程で私たちは、議論すら難しいというぐらいのかなり煮詰まった状況になりました。
その煮詰まった時に「高度デザイン人材育成ガイドライン」(以下、ガイドライン)を活用させていただきました。
ガイドラインの用途は、共通認識をつくるたたき台です。まずメンバーの目線を合わせるために、同じ情報がないとどうにも話が進まないという状況を打開するために、「ガイドライン」をたたき台として使い倒させていただきました。
3. たたき台としてのガイドラインの活用
では、どのようにしてたたき台としてガイドラインを使い込んのだかという話をしたいと思います。以下がガイドライン活用までの流れです。
いま振り返ると、だいたいこの5つのステップで進んだ形です。
まずメンバーで現場課題をブレストしました。このときはまだガイドラインを活用していないので、個人の経験値であったり、考え方、思想というものを持ち寄って議論しました。それと併せて、どんなひとたちがどのようなスキルを身に付けるべきなのか?という議論をしていました。
そして、この3番が注目なのですが、正直ここで行き詰まりました。先ほど解像度の話もありましたが、どこまで教えるべきなのか、何を教えるべきなのかというのがすごく難しく、ここで行き詰まりを感じました。
そのときにちょうどあるメンバーから「高度デザイン人材育成ガイドラインに同じような記述があるので読み込んでみてディスカッションしてはどうか?」という意見が出て、ガイドラインを活用し、結果として共通認識の醸成ができたという流れになります。
この順番にしたがって時系列で裏側の話をしたいと思います。
まず、「高度デザイン人材とはどんな人材なのか?」という認識を揃えるために、自分たちなりの解釈をしていきました。
デザインビギナーつまりこれからデザインを始めたいという初学者が、デザインエキスパート人材として一人前になっていく過程を考えます。
事業・デザイン・クリエーティブを担えるような人材になり、そこからさらにビジネスやリーダーシップほかのビジネスに必要な素養を身に付けていき、デザインを主軸にしつつも越境していくような人材をイメージしました。
次に、高度デザイン人材に近い概念で高度ビジネス人材というものもありますが、その両者の違いを整理しました。
高度ビジネス人材はビジネスを基軸にデザインやテクノロジーへ越境していく人材であること、そして、私たちの中で定義したものとして「高度デザイン人材はデザインを軸足にしつつ、ビジネスやリーダーシップに踏み出していく」という定義をしました。
ここからがなかなか修羅場だったのですが、先ほどの前提条件を踏まえた上で、デザインというものを基軸にしながら、どうしたらビジネスやリーダーシップが身に付くのか?という項目や要件についてメンバー全員でブレストしていきました。
字が小さくて見にくい部分もありますが、粒度や範囲が膨大に膨れ上がりました。
マーケティングや心理学、人間工学など、学術的なレベルで広い定義のものもあれば、リサーチやエスノグラフィーなどの手法の話も入っています。どこまで何をどれぐらいの範囲で定義して伝えれば現場に持って帰っていただけるのか?というところがつかめず、この時点で混乱を極めました。
そして、ここで「ぜんぜんまとまらない」というリアルな壁にぶち当たることになります。
ここで先ほどお話しした共通認識が課題になるのですが、そもそも私たちの中に学ぶべき領域や教え方への期待値などについての共通認識がないのではないか?という課題観が生まれ、「高度デザイン人材ガイドライン」を紐解いていくことに繋がります。
ガイドラインの資料を数日掛けてみんなで読み込み、それを基にディスカッションを進めていきました。ガイドラインに沿って私たちは4つのステップでカテゴリの検討を進めていきました。
ガイドラインでは、5カテゴリ11項目のカリキュラムの土台となるような学習要件の提案があります。各項目を個人で読み込み、まず共通認識をつくるために、各項目について例えばプロジェクトマネジメントはどこまでを指していてどういう仕事なのか、これまでにその職種の人たちとどういう仕事をしてきたかお互いのバックグラウンドを共有しながら、自分たちの共通認識の言葉合わせをしていきました。
その上で共通認識をより強固にするために、カリキュラムの内容を自分たちの言葉に翻訳し直しました。最後は過不足の確認のため、これ以外に足したい要素や減らしたい要素はないかというすり合わせを行っていきました。
先ほどあげた5カテゴリ11項目がこちらですが、ご覧いただいてわかるとおりかなり広い範囲になっています。これを実際に全てメンバーで読み込んでいきました。
実際に読み込んだ作業の様子が次のスライドになります。
例えばこれはビジネスの領域ですが、このようにFigma上でガイドラインの図を貼り付け同じ画面で見ながらディスカッションしていきました。
拡大したものが次のスライドですが「事業戦略の要点を理解するビジネス知識と観点」というカリキュラム案の提示に対して、それぞれ気になったところに赤線を引いて、その用語に対する理解やイメージを確認し、この人はこういう行動ができる人だろうなどと、自分たちの中で翻訳を進めていきました。
そこからは、この講座を受講したときに何が学べるのか?ということで、端的に、ビジネスの仕組み、マーケティングというように文言を修正していき、カリキュラムの大項目を主に3つから4つほどのカテゴリに分けています。
例えば、財務諸表に関するビジネスリテラシーなら、財務諸表はなにか、ビジネスリテラシーとはなにかということメンバー間で議論してまとめ、共通認識を確立したということです。
さらに、もしこのカテゴリを教えるとしたらどんなバックグラウンドを持つ方がいいか?もし講師として立っていただけるのであればどんな方が適任か?と具体的に話すことでよりニュアンスがはっきりするのではないかと思います。
当時は(私たちの妄想ですけれど)講師の候補者もあげていて「こういうバックグラウンドを持つ方が講師をすることでデザイナーと化学反応が起きるんじゃないか?」というアイデアをたくさん出して議論していきました。
このような議論を11項目すべてについて行いました。
図にDAY3と書いてありますが合宿形式で1週間ぐらい掛けてこの項目を順番に議論しました。ここは正直めちゃくちゃ泥くさい部分で、ひとつひとつの言葉を丁寧にすり合わせていきました。関連する資料もここにすべてまとめています。
エピソードとしてはデザイン、アートの部分は特に議論が白熱した記憶があります。私自身はもともと現代アートを専攻していたので、社会的なものだったり、いわゆる現代的なものだったり定義がかなり広い言葉について、どこまでをアートと指すのかというような議論もしました。
こういう言葉の1つ1つの定義というのがすごく重要になってくるなというのを実感した機会でもありました。
1週間ほどかなり時間を掛けて、共通認識を無事に獲得できたので、ようやくここでカリキュラムをどうしようかという話になりました。やっとスタートラインに立ったということになります。
4. 対象とゴールの明確化
共通認識を持つまでかなり時間が掛かったのですが、ようやく、じゃあどうしよう?誰にどこまで学びを届けようか?という対象とゴールの明確化という話になっていきます。
全11項目のカリキュラム全図、議論した内容をまとめたのがこちらになります。さらにこれが見やすくなったのが次のスライドです。
項目がものすごく多いというのはみなん実感していただける部分ではないかと思います。とにかく量がすごいんです。
ガイドラインは有識者の方々の中で精査された内容ですので、自分たちで過不足も確認したのですが、やはりできることなら全てを盛り込みたいと思いました。
カリキュラムをここから具体的に組んでいったのですが、だいたい1カ月、3カ月、半年、1年という区切りで、もしこの11項目全てを盛り込むとしたらどのようなスケジュールになるかというのを表にして組んでみました。
まず1カ月はどう考えても無理ですと、3カ月もやはり無理ですとなりまして、6カ月でぎりぎり、1年以上、なんなら3年かかって学べるという量です。
先ほどの項目を、知って、実践して、繰り返し再現性のあるところまで身に付けようと思うとどう考えても5年必要になります。5年の実務経験と比べると教育としての現実感が薄いと感じました。
今回対象としているデザイナーの場合は現場の変化がかなり激しいという事情があり、スクールの期間が半年を超えると学びと実際の現場のニーズが乖離してしまうのではないか?という新しい課題が出てきました。
スピーディーに、変化に対応するような学びを提供したいと思い、この11項目全てを盛り込むということは考え直そうという結論に至りました。
ここからどのようにして絞り込みへ進んだかということですが、まず対象について考えました。
どれぐらいのキャリアやレベル感のデザイナーの方々に提供するのか、そういう方々がどのようなキャリアの壁を感じているのか、ということを可視化しながら、学びのゴールを「壁を超える」ための入り口に設定するという方針でカリキュラムを設計し直しました。
学習の長さや学びというものを方程式のようなものにすると、領域と深さが掛け合わされたときに期間がかなり膨大になってしまうため、この領域と深さの取捨選択を行うことになりました。
まず領域です。冒頭でも少しお話ししましたが、事業会社にいるような、いわゆるITを活用して事業を展開しているようなインハウスのデザイナーを中心にイメージしました。
そして、ガイドラインの中で提唱されていた5つの人材の中で、いま特に現場で求められているのではないかという私たちの仮設を基にして、サービスデザイナー、デザインマネジャー、デザインストラテジストという人材を育てるところにフォーカスすることにしました。
そのような会社で事業をされてる方々はどのような成長ステップを踏んでいくのか考えました(実際はもう少しグラデーションで多角的な成長の仕方があるのでこれはあくまで一例です)。
視点が徐々に広まっていくという意味で、デザイナーとしてものをつくるというところから始まり、ひとつめはサービス全体を見なければいけない壁、デザインの言語化やチームを意識するような壁に最初に当たり、次はデザインマネジャーやPdMなどの事業全体を見る領域に進むために壁に当たることになります。さらにその先に経営マインドの醸成、会社や経営レベルの視点を身につける必要があるという壁です。
ネクストキャリアに進むときの「壁」を取り払うようなカリキュラムに絞っていく方がよいのではないかと考えました。
こちらは役割別の視野のちがいを図示したものです。
デザイナーの視点では、まず目の前のプロダクト、ドットやクリエイティブが目に強く入ってくると思いますが、そのあとにデザインチーム全体を意識してのリードデザイナー、そしてひとつの事業全体を意識するようなデザインマネジャーやPdMのような役割になり、CXO、CDO、デザイン本部長、執行役員のような役割では会社全体や複数の事業を意識するような視野の確立が大事になってくると思っています。
これらの視野を獲得する入り口としてカリキュラム設計を絞り込むために、このような前提を設定しました。
これまでの話をまとめると、まず対象の絞り込みをしました。
デザイナーとしての実務経験があることを前提に先ほどの項目の中で言うとデザインの基礎に当たるような部分をかなりそぎ落としました。次にキャリアの壁を可視化して、壁と向き合う際のつまずきの原因となるものにフォーカスして優先度が高いものに絞っていきました。
最後に、ゴールを壁を越えるための「入り口」に設計しました。学んだことが完全に身に付くというのは3カ月では難しい部分もありますが、講座はコンパス(羅針盤)のようになります。
全体感が分かることによって、この辺りを押さえていけばこのキャリアまで進めるのかというように自分の現在地とギャップが理解できます。全体地図を持って現場に戻り実際に現場で実践したり、自分自身で独学も含めて学びを続けられる下地となるように、カリキュラムの整理を行っていきました。
先ほどの項目の中で(当時のアテではあるのですが)、11項目あったものからグレーの部分を一度ダイエットをして絞り込みました。
現場で活躍されてるデザイナーの方々が学びの時間としてぎりぎり確保できるのは3カ月という仮説を立て、この期間で学べる内容にもう一度仕立てようという方向で検討を進めました。
5. カリキュラムの具体化
ようやく項目が決まり、カリキュラムを具体化していこうという段階になりました。ただし、ひとつひとつの項目がかなり大きいので、自分たちの中でアテを持ちつつも、これ以上は自分たちの中だけで議論していてもしかたない(詳細化できない)というところがありました。
そこで、先ほどあげた3つの人材のモデルとなるようなキャリアや経験を積まれてる方々を監修として立てさせていただきました。さらにその監修と掛け合わせる形で、現場でその分野の専門性を持っている方々を講師にお招きするという方式を採用しました。
先ほどの人材像として現場経験がある方々に監修を依頼して、先ほど絞った項目を絞った過程も含めて共有しました。
さらに現場目線で本当にその人材像やポジションにいこうと思ったときに必要な項目は何か?ということを一緒にディスカッションして絞り込みを行っていきました。
最終的に絞り込んだ項目をもとに、適切な講師の方を探してお声掛けをしていきました。最前線の講師をと考えて、リアルな事業現場で活躍している現役のデザイナーの方やPMの方などをお呼びして、講義をご担当いただくことにしました。
先ほど全体感を押さえるということをお話ししましたが、押えておくべき勘所について講師の方々の視点をいただいて要点を凝縮し、1項目について2,3回の講義で完了するような形に設計をしました。
ワーク(実践)中心の講義は、具体的な例では新規事業のつくり方やマネジメント体制の構築、実際に事業戦略を組んだり、スプレッドシートでPL(損益計算書)を作成するような講義もあります。このようにして、実際に現場で必要なものの全体感や導入部分を幅広く学ぶというカリキュラム構成になりました。
最終的にできあがったコースの全体が最初に見ていただいたスライドのものになります。
カリキュラムができてしまったいまの時点で見ると、こうなりますよねという感じがありますが、これまでのプロセスを見ていただいてわかるとおり、このカリキュラムにたどり着くまでに共通認識をつくるだけでもかなり時間が掛かりました。
そこから取捨選択をしていくプロセスでは、ターゲットや実際の現場のニーズとすり合わせが必要で、私たち自身もかなり苦戦したところでした。
6.まとめ
かなり駆け足になりましたが最後にまとめということで、今回シンポジウム参加された方々のご興味ご関心でもある「ガイドラインをどう活用していくか」という話になります。
ルールのように守るという考え方もあると思いますが、私たちはガイドラインをたたき台として使い倒させていただいたということです。守るものとしてではなく、共通認識をつくるためのガイドとして使わせていただいたのがとても良かったので、本日その経験の共有をさせていただきました。
今回の私たちの流れをまとめると、ガイドラインの読み込みをして、それをベースにメンバー同士で読み込んだのちに、議論を通じて共通認識をまず醸成して、その上で過不足ーこのガイドラインにはこれが足りていないんじゃないか、もしくは逆に過剰なんじゃないかという議論をしました。
伝える側、教える相手によってかなり前提条件が変わると思いますので、そこも検討するとよいと思います。また育成やカリキュラムをつくる時に、期間とゴール設定はかなり大事だと思いますので、現実的な学習量や学びのゴールをしっかり検討するとよいと思います。
最後のカリキュラムの具体化というところでは講師のリストアップを行いますが、内容を絞っていくとどうしても現実的な案に落ち着きがちです。視座を上げるという意味でも、もういちどガイドラインに立ち戻って、削り過ぎていないか落とし過ぎていないか、視座の確認としてガイドラインに戻ってチェックする、このようにぐるぐるとサイクルを回していくのがよいのではないかと思っています。
共通認識をつくるたたき台としてのガイドラインの活用、ということでお話をさせていただきました。ということで、あらためましてみなさんのカリキュラムだったり育成のお役に立てれば幸いです。
ご清聴ありがとうございました。
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