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デザイン組織で働くエンジニアは何をやっているの?

この記事は、2017年8月25日にクラウドワークスデザイナーブログで執筆した記事です。

こんにちは。エンジニアの廣瀬です。最近、マツダのプレマシーという車を購入しました。子どもが2人いるのですが、両側電動スライドドアってほんと便利ですね。『ラ・ラ・ランド』のサントラを聴きながら運転するのが好きです。

エンジニアである僕がデザイナー中心のデザイン組織である「UXデザイングループ」に所属するようになって、気が付けば約半年が経ちました。そこで今回は、いわゆるデザイン(ビジュアルデザイン)ができるわけでもない僕が、デザイン組織で何をやっているのか、そんな話を書いてみたいと思います。

※ UXデザイングループの成り立ちや所属に至った経緯などについては、以前に書いた『デザイナーとデザイナーじゃない人でデザイン組織を作る(UX & Service Sketch #27 登壇レポート)』という記事をご覧ください。

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デザイナーとエンジニアの橋渡し

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『デザイナーとデザイナーじゃない人でデザイン組織を作る』より。

現在の主な業務というか、自分に最も求められている役割は「デザイナーとエンジニアの橋渡し」です(たぶん)。言い換えると「デザイナーとエンジニアの両方の視点を持っている人」といったところでしょうか。デザイナーでもエンジニアでもない第三者としての立場ではなく、両者の“あいだ”に立てるからこそ、以下のようなことができると思っています。

・技術上の制約やエンジニアの言葉を、デザイナーが理解できるように翻訳する。
・デザイナーの主張や意図を、エンジニア(非デザイナー)に伝わるよう翻訳する。
・両者のコミュニケーションを促進することで、より高い「落とし所」を実現する。

デザイナーが「こうあるべきだ!」と思っても、ウェブサービスというプロダクトにおいては様々な制約があります。ウェブやアプリでできることの仕様上の限界、実装にかかる工数、プロダクト特有の都合(技術的な計画や負債)……などなど。とはいえ、デザイナーが言うことにも、困難であっても実現するべきと考えるだけの根拠や信念があります。

そこで、両者が言っていることを「翻訳」することで、それぞれが考えていることをできる限り理解し合えるようにすれば、それぞれの理想をお互いが実現できるよう頭を使う状態、つまり解決策を一緒に考えられる状態を作れるのではないかと考えています。そして理解し合える部分が広がれば広がるほど、両者の「落とし所」はより良いものになるはずです。

加えて、制約についてばかりではなく、デザインと技術、それぞれが実現できることやそれらの可能性について、もっとお互いに共有できれば、お互いの選択肢が広がることで、「落とし所」は公約数的に妥協し合ったもの以上のものになるかもしれません。そこまで引き出せることを目指して、両者の価値を最大化していくことが自分の役割だと考えています。

具体的には何をやっているの?

上記のようなことを意識しながら、業務としては以下のようなことをやっています。

デザイン業務の依頼・相談窓口

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Slackの「#udg-相談」というチャンネルが窓口です。「#udg-深津貴之」は深津さんのTweetが流れるチャンネルです。

UXデザイングループはデザイナーを一つの組織に集めた横断型の組織です。開発・運営に携わる各チームから、UIデザインやクリエイティブの制作など、デザインに関する依頼や相談が次々に舞い込んできます。

その一次受けの窓口を僕が担当しています。デザインと技術(実装)、双方の都合を把握、理解しながら、必要な情報を集めたり、どのように対応するか、いつ対応するかといったところを調整しています。

デザイナーに対するサポート

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それっぽい写真。(『UXデザイングループの働き方に密着レポート!』より)

何かしらの機能のデザインに携わるとき、その仕様を理解しなければなりません。その際に、僕がコードを読んで調査したり、技術的な部分について説明したりすることで、デザイナーが必要とする情報を集める手助けをしています。

また、実装の進め方やアジャイルの考え方についての解説、デザインとエンジニアリングをどのように分担・連携していけばいいかについてのアドバイスなどを通して、デザイナーが各チームのエンジニアとスムーズに協働していけるよう支援しています。

デザイン観点からの施策等の立案・実施

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デフォルトのプロフィール画像の変更。

数値的な成果に直接は結びつかないけれども、ユーザー体験を向上させていくために必要な施策を立案・実施しています。横断型のデザイン組織ならではの施策だと思うのですが、エンジニアがいることで、その技術的な仕様や実装までを含めて検討することができます。

たとえば、過去にはこんな施策をリリースしました。

・プロフィール画像未設定時に表示されるデフォルト画像が、新しくなりました。
・クラウドワーカー向けのマイページが、新しくなりました

また、現在はUIコンポーネント集の整備を進めようとしています。こういったものは特に、デザインと実装それぞれの要請をうまくバランスさせることが重要であり、そしてそれがとても難しいわけですが、まさに僕のような存在が活かせる場面なのかなと思っています。

その他

その他にも、デザイナーとエンジニアがより良く協働できる仕組みを作っていくために、そして組織にデザイン文化を浸透させていくために、色々なことをやっています。

新しいデザインプロセスの開発・導入(いつかブログに書きます)
デザイナーを対象としたRuby on RailsやSQLの勉強会における先生役
UXデザイングループの組織運営方法の改善(タスク管理など)
ユーザーインタビューでインタビュアーをやったりもします。あと、たまに、コード書いています。

結局、僕は何がやりたいのか?

イベントなどでお会いする方に対してや、もしかしたら社内においても、伝えづらい、分かりにくい僕の仕事ですが、つまるところ、良いプロダクトを作るために必要だと思うことを何でもやっている、ということだと思います。プロダクトは実装だけでも表現だけでも成立するものではありません。ユーザーに提供されるのはそれらが切れ目なく合わさったもの、そしてそこから生まれる体験、経験です。

デザインも技術も全てをカバーできる人ばかりであればもっと話は簡単なのでしょうが、なかなかそうはいきません(むしろ個人的には、それぞれのプロフェッショナルが力を合わせた方がより良いアウトプットができるのではないかと考えています)。僕のようにデザインが分かるエンジニアであったり、あるいはコードが書けるデザイナーであったり、そういう人たちがプロダクト開発において果たせる役割はもっとあるのではないかと思っています。

最後に

最近ではデザインの重要性が認知されるようになってきて、デザイン文化を導入するための様々なアプローチやプロセスが生まれています。それらの発展と、今まで積み重ねられてきたソフトウェア開発手法の進化が合流・融合したとき、プロダクト開発はもっと面白いものになり、もっと新しいものが生みだせるようになるのではないかと予感しています。

長くなりましたが、クラウドワークスのデザイン組織にはこんなエンジニアがいるんだよ、ってことが少しでも伝えられたならば幸いです。それではまた!