「DESIGN CAMP @奥大和 2019」開催レポート
2019年8月21日(水)〜8月29日(木)、「DESIGN CAMP @奥大和 2019」を開催。
4年目となる今回は、インドネシア・シンガポール・台湾のアジア各国で活躍する3名に加え、全国から3名のデザイナーが参加。
2名1組+通訳コーディネーターによって3社の地元事業者に受け入れてもらいました。
参加デザイナー
それぞれのプロフィールは、後述するプレゼンテーションのブロックに記載しています。
受け入れ事業者
「株式会社廣箸」、「吉野銘木製造販売株式会社」、「嘉兵衛本舗」の3社です。
全9日間のプログラム
初日のオリエンテーションを終えると、翌日から「事業者研修/ホームステイ」がスタート。2〜4日目まで、デザイナーはそれぞれが担当する事業者のもとで過ごし、商品や会社、地域のことを深く理解しました。
その3日間の経験を踏まえて、5〜7日目でデザインを制作。
8日目にはその成果を事業者に向けてプレゼンテーションしました。
DAY2〜7を終えて
今回は、インドネシア・シンガポール・台湾からのデザイナーに加え、国内デザイナーは奥大和地域外からの公募という形で実施。大阪や東京など都市部から応募があり、選考を重ねて3名に絞り込みました。
都市部で誠実にデザインの仕事に向き合われてきた方ばかりで、今回のプログラムに全力で取り組んでくれました。
シンガポールから参加したTillyさんはインテリアデザイン、東京から参加の植木さんは建築家。このペアは吉野銘木製造販売が求める提案に対して最適な組み合わせになったと思います。
終了から2週間後には吉野銘木製造販売の貝本社長はすでに提案された商品のサンプルをつくっていました。
廣箸も、嘉兵衛本舗も、この出会いをしっかり形にしていきたいと言って動いています。
今回もコーディネートスキルの高い人材を選定して、通訳コーディネーターとして各チームに入ってもらいました。
彼らに求められるのは、ただ言葉を翻訳するのではなく、互いの気持ちに寄り添って心と心をつなぐためのコミュニケーションを作り出すというもの。
これはスキルとして顕在化させづらいものですが、非常に重要なものだと感じました。
奥大和地域外の国内デザイナー、海外デザイナーだからこそ新鮮な目線で切り取り、編集し、直感的に理解できる“デザイン”に落とし込まれていることで、事業者自らの可能性や大きな気づきを与えることができました。
さらにそれがただの提案ではなく、真の共感と共に歩んでいきたいというメッセージがこもっていたことで、事業者も実際に踏み出そうという気持ちになってもらえたように思います。
県のみならず、国を越えても理解し合える仲間がいるということがなによりの力になるのだということも再確認できました。
「デザインキャンプ奥大和」は、この4年間で、のべ12名のアジアのクリエイターやデザイナーを招聘してきました。
彼らが奈良・奥大和地域の人とつながり、土地を深く理解してくれたことは、これから必ずや大きな力になるでしょう。
このつながりを生かして、よりよい未来を共に作り出していけるような取り組みにしていきたいと考えています。
プレゼンテーション①/株式会社廣箸
株式会社廣箸(奈良県下市町)
奈良県下市町で、吉野杉・桧を使った高級箸を製造。吉野杉は特に年輪が細かいため、美しい外観に加えて強度もあり、昔から高級品とされてきました。今でも全国の高級料亭やホテルなどで多く使用されている。
<デザイナー>
Jordan Marzuki
ジャカルタで活躍するグラフィックデザイナー。
スイス・バーゼルの「College of Art and Design (FHNW)」にてビジュアルコミュニケーションを学ぶ。エディトリアルデザインを得意とし、自身の出版レーベル「Jordan Edition」で実験的なデザインの出版物を多く手がける。2010年にアイデンティティ・デザインの作品でTDCアワードを、2017年に子供向けの本でインドネシア・グラフィックデザイン・アワードを受賞。
中島 寛文 / Hisofumi Nakajima
1974年静岡生まれ。「CAP」「TBWA HAKUHODO」を経て、2018年「EVERY DAY IS THE DAY」に参加。
主な仕事に、adidas、NISSAN、Chacott、OAKLEY 、G-SHOCK、ANGFA,Red Bull,渋谷区など。カンヌ広告賞ゴールドをはじめ、国内外で受賞多数。メディアの常識を超えたプロジェクトを数々手がける。アスリートを撮影するフォトディレクションや、ディティールにこだわったアートディレクションを得意とする。
★プレゼンテーション資料は下記よりご覧いただけます。
プレゼンテーション②/吉野銘木製造販売株式会社
吉野銘木製造販売株式会社(奈良県下市町)
奈良県下市町で銘木屋として創業し、時代とともに求められる部分を増やしていき、現在は山の育林〜製材〜建築の施工までを手がける。明治神宮の鳥居の木材などもおさめている。
<デザイナー>
Tilly Mathilde Gaucher
シンガポールとフランスの国籍をもつデザイナー。
シンガポールを拠点とし、インテリアデザイン会社「Takenouchi Webb」に勤務。実験的なプロダクトや空間デザインを通して、人々の夢や想像力・ファンタジーをサポートし、ときに疑問を提起する。
植木 優行 / Masayuki Ue
1990年広島生まれ。都内建築設計事務所を経て、2017年に独立。自然環境、周辺環境を取り込んだ建築デザインで、既存の形式にとらわれない空間を想像し、シンプルかつダイナミックなデザインを得意としている。これまでに住宅・店舗・温浴施設・チャペル・公衆トイレ・郵便局などの設計を手がける。
★プレゼンテーション資料は下記よりご覧いただけます。
プレゼンテーション③/嘉兵衛本舗
嘉兵衛本舗(奈良県大淀町)
奈良県大淀町で170年前に森本嘉兵衛さんがはじめたお茶づくりを継承。“かへえさん”でおなじみの番茶をはじめ、緑茶、紅茶にも取り組む。茶葉を育てる農業〜製造〜販売まで一貫して行っている。
<デザイナー>
Ho Wan Chun
台北在住のグラフィックデザイナー。台湾の台北になるクリエイティブスタジオ「HOUTH」共同運営社。クリエイティビティ、戦略、デザインとリソースを柔軟に組み合わせ、クライアントに新しいブランディングソリューションを提案する。
松本 麗 / Urara Matsumoto
グラフィックデザイナー、アートディレクター。デザインは単なる意匠を考えるだけではなく、コミュニケーションをつなぐことを目的として、人と人、人ともの、のつながりが楽しくなったり、明るくなったりしたらいいなと思いながら活動を続けてる。
★プレゼンテーション資料は下記よりご覧いただけます。