マガジンのカバー画像

古代エジプトの数学を学ぶ

12
古代エジプトにはピラミッドをはじめ多くの巨石建造物や彫像が残されています。また世界最古の文字の一つである神聖文字(ヒエログリフ)があり、高い文明を誇っていたことがわかります。最近…
運営しているクリエイター

#分数

『ホルスの目』から古代エジプトの2分法を学ぶ…1より小さい数の計算方法は?

 どんな古代の言語にも、1より小さい数を表す「半分( half )」とか「四半分( quarter )」という単語があります。古代エジプトでは、これに加えさらに 八分、十六分、三十二分、六十四分までありました。今ではあまり使われませんが、日本語にも「八分」や「十六分」という表現があり、「八分の一」「十六分の一」という意味で使われます。日本語では「八分」のように「数詞+分」の形で表ますが、古代エジプトではこれらは単一の概念で、それぞれが一つの記号で表されていました。  図1は「

古代エジプトではどのような方法で5個のパンを8人に分けていたか? 〜エジプト分数の考え方〜

エジプト分数とは? 古代エジプト数学の特徴の一つは、エジプト分数と呼ばれている数を用いていることです。「エジプト分数は、幼稚で制限の多い方法だ」などいう意見をこれまでよく聞きました。“数”は一度習得して慣れてしまうと異質のものはなかなか受け入れがたいものです。現代人の私たちから見れば、原始的で奇妙な方法に見えるかもしれませんが、先入観を持たずにまずよく理解することが必要です。エジプト分数はとても理にかなった記数法ですし、アルキメデスのようなヘレニズム期の数学者たちや、フィボナ