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『私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』開幕初日に行ってきた!

2023年10月18日。
待ちに待った「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」開幕初日。

行って本当によかった。現代アートに対する印象が大きく変わった展覧会だった。

正直現代アートは難しい、分からないというイメージがあった。しかし、今回は「エコロジー」がテーマでアーティストだけでなく、まさに私たち自身が当事者である。このテーマに対して、アーティスト・美術館はどう関わるのか。私たちはそれを体験し、何を思うのか。

「現代アートの楽しみ方を知る」そして「自分の生き方を見つめ直す」という2つの観点で楽しめる展覧会だった。では展示を振り返っていこう。


乃木坂駅で降りるとすぐに見えるのは
国立新美術館。(現在イヴ・サンローラン展開催中)

そして10分歩いて向かうは森美術館(六本木ヒルズ)。53階にある美術館というのが今だに信じられない。

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「第1章 全ては繋がっている」から「第4章 未来は私たちの中にある」まで、絵画、彫刻(?)、インスタレーション、映像など展示されている作品が本当に幅広い。展示の様子はこちら。

@design_figma_

私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために|森美術館 #アート #森美術館 #私たちのエコロジー

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特に印象に残ったのが「第3章 大いなる加速」で出会ったモニラ・アルカディリの《恨み言》(2023)という作品。青い展示室に入ると、5つの大きな真珠が浮かんでいる。現代アートをあまり知らない自分でも空間の異様さ、美しさから思わず写真を撮りたくなる展示だ。しかし、真珠の下でふと耳を澄ましてみると人の声が聞こえる。「呪い」「痛み」「破滅」・・という言葉。入口付近のカードを手に取ると、そこに書かれていたのでは「侵入」「搾取」「干渉」「劣化」「変貌」の5つの段階の恨みである。5つの真珠、そこから聞こえるのは「恨み言」だったのだ。心がぎゅっとなるような、体験したことない感覚に襲われた。

展示後参加したアーティストトークにアルカディリさんも登壇されており、そこで仰っていたのが、「違和感」というキーワードだ。私が感じたのはまさにそこだった。きれいな展示空間に「呪い」「痛み」「破滅」という言葉が響き続けること。今回の「エコロジー」というテーマのもと自然と人間の関係を問いかける作品が、高度経済成長という時代を経験した東京を一望できる六本木ヒルズ53階で展示されていること。複数の違和感の重なりが、私の心に強く残った。

もしこの展示を、誰かが投稿したSNSで動画や写真を通してみたならば気づかないだろう。ぜひ展覧会に足を運んでみてほしい。

もう一つ印象に残った作品を紹介したい。アサド・ラザの《木漏れ日》(2023)は六本木ヒルズタワーを生態系とみたてて、長年故障していた天窓のロールスクリーンを修理するプロセス(状況)自体が作品になっている。展示室に入ったときには、既に日が落ちていた。天窓から夜空が見える。人間と自然の関係が確かに存在することを、本展覧会の最後に出会えるこの作品が示し、問いかけているようだ。

アサド・ラザ《木漏れ日》(2023)

人工物に囲まれた都会の中でも、六本木ヒルズという象徴的な場所だ。「六本木ヒルズの53階でエコロジーを考える」。自然に囲まれた田舎で育った私にとって、私にとってはそれ自体が一つの違和感であり、この展覧会自体が私たちに問いかける大きな作品のように感じた。

現代アートは美しさだけでなく、同じ時代に生きているアーティストが何を表現するのか、そして私たちはどう反応するのかを現在進行形で楽しむことができる。私にとっての現代アートの楽しみ方が見つかった展覧会でもあった。

会期は2024年3月31日まで。この機会にぜひ。

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