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アフリカの人口問題×商社

中学の頃だったか。

世界の人口は「55億人」と習っていた。

あっという間に、22億人も増えて「77億人」になっている。

「人口爆発」という言葉も、その頃に教わったが今になっては大爆発の勢いだ。

サブサハラ(サハラ砂漠以南)の人口増加が顕著で、2050年を超えた頃には世界の人口の4人に1人がアフリカ人であり、2055年には人口が100億人を突破。

翌日の朝には世界中で22万人の赤ん坊が「オギャー」産声をあげる計算で、高齢化社会もあいまって、人口はどんどん増えるばかりだ。

これからの人口が増えた世界は「資源の枯渇」を考えなければならない。

全ての人類が、先進国並みの生活を送ればエネルギー、水、食料など全てのものが不足するとの予測がある。

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総合商社のうちの一社。伊藤忠商事は「豊かさを担う責任」という企業理念を掲げおり、「変化する社会からの要請に応え、商いの先に広がる豊かさを提供し続ける」ことをコーポレートメッセージの前段に据えている。(後述するが、同社は来年度よりこの企業理念を変更する。)

現実と課題を簡単に整理をすれば、次の通りかと思う。

今後、人口は増える。(現実:人口増加)
結果、資源は枯渇する。(課題:資源枯渇)
社会からの要請に応え、商いをする。(解決:資源の安定供給)

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「人口増加」はGDPを拡大する。

労働力は増え、消費者も増える。市場拡大の見込みがたてば、企業は資金を投入する。規模の拡大が「経済の成長」に繋がり、「豊かさ」に繋がる。

「戦後の混乱期や飢餓からの脱却という社会全体の抱える課題」と「経済成長」が直接的に繋がりをもてるならば、「豊かさを担う責任」を旗印に商いはできる。

アフリカが「最後のフロンティア」と呼ばれる所以も、そこにある。

「経済成長」は飢餓や貧困の課題の解決のドリブンになる。

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しかし、日本をはじめとした先進国の多くは人口が減少している。

今になって言われている話ではないが、「豊かさ」の価値観も変わった。

暉峻淑子さんは、モノとカネが溢れる1980年代後半に「豊かさとは何か」という著作の中で、経済至上主義が生み出す「環境破壊、過労死、受験競争etc・・」に対して疑問を投げかけている。

それらの問題は約30年かけても解決しておらず、「豊かさ」をめぐる議論は日本のみならず世界に拡大している。果たして、人々は経済成長によって「幸せ」になれるのか?

「経済成長」は「豊かさ」とイコールではない。

先にも触れたが、伊藤忠は「豊かさを担う責任」という企業理念を来年度より「三方よし」に変更する。これは、「豊かさ」が商売になる時代の終焉を意味するのではないか。

冒頭にアフリカの人口増加について、書いたが「豊かさ」を切り口とした経済成長の「仕掛け」に対する限界を肌感としてもったからではないだろうか。同社に限らず、他の商社もその流れには追随するだろう。

「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」

それに加えて、「未来よし」とも言っている。

世界でSDG's(持続可能な開発目標)に沿った経営をする企業が増えてきたが、「豊かさ」の多様性と密接な関わりがあるように感じている。

ここ数十年で世界中が「経済成長」=「豊かさ」に対する違和感を感じ始めているのではないだろうか。商売の近未来も変化していくことが予測される。

僕ら商社マンはその商いの潮流をしっかりと感じ取っていく必要がある。

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