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百貨店の存在意義

2008年4月1日。百貨店の「三越」と「伊勢丹」は「三越伊勢丹ホールディングス」となった。かかる経営統合の立役者は武藤信一さんであり、僕は経営者として大ファンだ。

2010年にお亡くなりになるが、武藤さんの経営者としてのマインドは今でも僕の心に生き残っている。

大ファンになったきっかけは、三越伊勢丹HDが2009年に発行したCSRレポートだ。日本がリーマンショックの不景気に泣かされていた当時の状況を踏まえて書かれた「巻頭言」は、武藤さんの百貨店マンとしての世界観を垣間見ることができる。

百貨店の存在意義は、お客さまのご要望を把握し、次の品揃えやサービスに反映させ、新たな顧客価値を創造し続けることです。

あらゆる仕事に精通すると思うが、「世界観」を持つことは大切だ。

この巻頭言を読んだ、入社して間もない僕にとっては示唆に富んだ内容であり「百貨店」という単語を自分の業界「商社」に置き換えて読んでも全く可笑しくないと感じていた。

大切なお客さまとの接点を自分たちで築いてこなかったために、お客さまのご要望を自分たちで聞き取ることができず、お取組先に自信をもって、お客さまが何を求めていらっしゃるか伝えられない。結果、お取組先任せになり、どの百貨店にも同じ商品が並ぶことになる。すると魅力的な商品を集められず売上が上がりません。売上・ 利益が上がらないと店頭の要員も増やせず、新たな投資や店舗の改装もできません。ここに大きな問題点である「百貨店の同質化」が起きているのです。

百貨店がアマゾンなどの台頭により、苦境に立たされていることと同様に、我々商社も存在意義を問われている。(引用:三越伊勢丹ホールディングスの2009年 CSRレポートより)

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日経新聞を読んでいると、老舗百貨店「大沼」が先月末自己破産を申請したこと。山形県は日本百貨店協会に加盟するデパートのない、唯一の空白県になったことを伝える記事を読み、ふと武藤さんのことを思い出した。

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