見出し画像

コロナその後

薬の処方も良かったのか瞬く間に症状が改善されて今はほぼ平常である。が、職場の判断は土曜日まで出動停止なので日曜まで合わせるとたっぷりの時間がある。それで他人の目汚しのこんなものまで書いているわけだ。平積みのままだった本を開く。
『国籍と遺書、兄への手紙』安田菜津紀 図書出版ヘウレーカ 1900円+税。前著『あなたのルーツを教えてください』の流れで求めたのだが、内容はより一層父の出自に深く入り込んでゆくものだ(まだ1/3ほど未読)ある種謎解きのような側面もあるのだがそれが自らのアイデンティティと絡むとなるとお話しの次元ではない。事あるごとにに尽く壁になるのが「国家」である。得体の知れない暗闇にしか思えない。
『ウクライナ戦争』小泉悠 ちくま新書 860円+税。戦争勃発の2022年2月24日に至るまでの露宇の近過去から現在に至るまでを専ら軍事戦略の側面から解きほぐしている1冊(これも1/5ほど未読)単純な未来予測はできないものの戦時水面下においても外交政治レベルでの相当な情報戦、実務交渉などが行われているだろうことが想像できるテキストである。また一方で日本の大手マスコミがほとんど情報らしい情報(ロシア側とかウクライナ含む支援の西側のフィルターを通さない)を提供してないのだなと感じられる1冊でもある。
『たましいの場所』早川義夫 ちくま文庫 780円+税。帯がクドカンだったんでつい買ってしまった(まま放っておいた)ジャンルは「随筆」でいいのかな?
こういうタイプの人物に直接会うとしたらかなりしんどいような気がするけど「本」で出会うのは悪くない。自分もたぶんに要素は持ち合わせているからだ。歌うとか文章書くとかの才能のことではない。それぞれの文章が独立しつつでもどこかそっこの方で手を取り合っている。一言で言えばありきたりだが「シャイ」だろうか。「チャーミング」でもいいかな。ふと行き過ぎて「狂気」めく時もないわけではないがそこがまた、いい。確かに帯に曰く「誰かに悩みを相談するくらいなら、この本を繰り返し読んだ方がいいとさえ思っています…」とある通り深い癒しがあり答えにならない答えがある。私は他人に悩みを相談したことがない(金を貸してくれという相談はよくした)どうしてかと言えばやっぱり「本」があったからだろうと思う。逃避先であり避難所であり医院であり教会であり家のようであった。別にそれで悩みが解決したわけでもないだろうけど、どだい他人の悩みは未解決なものなので本人にとっても未解決のまま進むしかないものなわけだ。
あの名曲「サルビアの花」の作詞・作曲が早川義夫だと知ったことも大きな収穫だった。
コロナ休日が産んでくれたささやかな読書報告でした♪