君たちはどう生きるか、一人の男の妄執の、駄作。(ネタバレ無し)

君たちはどう生きるか、一人の男の妄執の、駄作。
宮崎駿監督、スタジオジブリ作品は常に人々のどう生きるか?に焦点を当てた名作を作っていた。だが今回の「君たちはどう生きるか」ははっきり言って今までのジブリ作品とは比べ物にならない程、駄作だ。映画作品として必要最低限な説明も、心情描写も無い、まるで別々の映画を切り合わせたかのような散文的な場面転換が始まりから終わりまで延々と続き、終わる。それがこの作品だ。
……まぁ落ち着いてほしい。私はこの作品を駄作とは言ったが面白くないとは一切言っていない。むしろ最高と言っても良い。これには二つの理由がある。
一つは異常な書き込みによる没入感。草木一本一本が己を主張し、命を叩きつけてくるのだ。本来ならば必要な情報の為に捨てられる映画的嘘を排した映像美は今までの作品と比べてもなんら遜色はないだろう。
二つ目は宮崎駿による「僕はこう生きた」という叫び、だ。この作品のあらすじや内容は宮崎駿の人生観に大きく依存していてそれを隠そうとすらしない。監督としての「作られた宮崎駿」象では無い、宮崎駿少年の原風景、それを嵐の如く叩きつける。剥き出しの愛が迫ってくるのだ。

以上が「君たちはどう生きるか」を見た私の感想である。
自伝か何か?と嘲笑する輩も出てくるであろうことを承知の上で作られた、宮崎駿という一人の男の妄執の傑作。それが「君たちはどう生きるか」だ。


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