ふつうの皮膚科医

皮膚科専門医、アレルギー科専門医。現在はクリニック勤務。個人の勉強記録のまとめです。

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マガジン

最近の記事

皮膚病診療2024年4月号「リンパ浮腫を巡って」

・リンパ浮腫はnon-pitting edema ・浮腫をきたす疾患は心不全、腎不全、肝不全、低アルブミン血症、内分泌異常、薬剤性、深部静脈血栓症、静脈瘤、血管性浮腫、好酸球性血管性浮腫、リンパ浮腫、廃用性浮腫、肥満性浮腫など。 ・浮腫の精査は採血、心電図、胸部X線、CT、下肢静脈エコー、ABI(圧迫療法前に行う) ・蜂窩織炎のときにも圧迫療法を続けてよい。 ・圧迫療法た用手的ドレナージにはリンパ浮腫の予防効果はない。 ・高血圧により硬化性脂肪織炎が生じうる。 ・好酸球性筋膜

    • Guidelines of care for the management of acne vulgaris

      AAD(米国皮膚科学会)の尋常性痤瘡ガイドライン2016がアップデートされ,18のエビデンスに基づいた推奨と5の望ましい医療行為を挙げている。 過酸化ベンゾイル外用,レチノイド外用,抗菌薬外用,ドキシサイクリン内服は強く推奨される。イソトレチノイン内服は重症,心理社会的負荷,瘢痕のある痤瘡に強く推奨される。強く推奨される。クラスコテレン外用,サリチル酸外用,アゼライン酸外用,ミノサイクリン内服,サレサイクリン内服,経口避妊薬,スピロノラクトン内服は条件付きで推奨される。複数の

      • Guidelines of care for the management of atopic dermatitis in adults with phototherapy and systemic therapies

        AAD(米国皮膚科学会)による成人ADの治療ガイドライン2014がアップデートされた。ADの治療に関して光線療法,生物学的製剤,JAK阻害薬,その他の免疫抑制剤について12の推奨を挙げている。 成人ADに光線療法を推奨する。 成人の中等症~重症ADにデュピルマブを推奨する。 成人の中等症~重症ADにトラロキヌマブを推奨する。 成人の中等症~重症ADにウパダシチニブを推奨する。 成人の中等症~重症ADにアブロシチニブを推奨する。 成人の中等症~重症ADにバリシチニブ

        • Guidelines of care for the management of atopic dermatitis in adults with topical therapies

          AAD(米国皮膚科学会)による成人ADの治療ガイドライン2014がアップデートされた。ADの外用薬治療に関して非処方薬と処方薬のステロイド外用薬,カルシニューリン阻害薬,JAK阻害薬,PDE4阻害薬,抗菌薬,抗ヒスタミン薬について12の推奨を挙げている。 成人ADに保湿剤の使用を推奨する。 成人ADに治療,維持目的の入浴を条件付きで推奨する。 成人の中等症~重症ADの悪化に湿潤療法を条件付きで推奨する。 成人ADにタクロリムス軟膏の使用を推奨する。 成人の軽症~中等

        皮膚病診療2024年4月号「リンパ浮腫を巡って」

        マガジン

        • 皮膚病診療
          11本
        • Derma
          11本
        • 皮膚科の臨床
          15本

        記事

          日臨皮会誌Vol40No5

          ・トラロキヌマブ(アドトラーザ)は眼合併症の発症が比較的少ない ・乾癬の爪病変のうち,横溝,爪甲剥離,線状出血は関節病変に関連 ・爪甲肥厚と爪甲鉤彎症

          日臨皮会誌Vol40No6

          HAEの長期予防はオラデオ,タクザイロ,ベリナートのいずれか 壊死性筋膜炎の炎症の主座は浅筋膜 壊死性筋膜炎のエコー所見は4mm以上の液体貯留 性感染症が疑われる場合にHIVスクリーニング検査は保険診療で算定可。HIV検査を行う際に文書同意は必要でなく,口頭同意でよい。 大きなエクリン汗孔腫はエクリン汗孔癌の発生母地となる ネイリン治療開始24週間後の混濁比の減少率が55%未満では追加治療が必要 疥癬治癒後に小児肢端膿胞症

          目からウロコの疣贅診療ハンドブック

          ・扁平疣贅のダーモスコピー所見は淡い褐色の無構造領域、点状血管とその周囲の白色調ネットワーク構造 ・いぼ等冷凍凝固法の1ヵ所はおおむね500円玉程度の範囲 ・液体窒素凍結療法は1週ごとの治療がすぐれているとのエビデンスなし ・綿球法とスプレー法の有効性は同等 ・凍結療法は3ヵ月で治療方法を再検討 漫然と続けるべきではない ・角化の強い疣贅にサリチル酸 ・ビタミンDはタカルシトール,カルシポトリオール,マキサカルシトールの比較なし ・ビタミンDは6週間以内に効果 ・ヨクイニンの

          目からウロコの疣贅診療ハンドブック

          Derma2022年4月増刊号「間違えやすい皮膚疾患の見極め」

          ・感染症に伴う薬疹ではDLST多剤陽性になることあり,回復後に内服しても薬疹を発症しない ・COVID-19の皮膚症状は播種状紅斑丘疹型,凍瘡様皮疹,蕁麻疹,斑状皮疹,水疱様皮疹,網状皮疹 ・COVID-19では薬疹の発症頻度が増加 ・固定薬疹は単純ヘルペスに続発する? ・手足口病がSJSに近い臨床をとることあり  ・酒さは周期的に悪化する特徴的なパターンの顔面中央部の紅斑  ・酒さ様皮膚炎にはステロイド外用後の酒さ増悪が含まれる ・口囲皮膚炎はフソバクテリウムと関連 ・酒さ

          Derma2022年4月増刊号「間違えやすい皮膚疾患の見極め」

          皮膚科の臨床2022年5月号「ウイルス感染症」

          ・新生児ヘルペスは致死的,回復後も神経学的後遺症あり ・Ramsay-Hunt症候群は主に三叉神経第2、3枝 ・Bowen様丘疹症は自然消退もあるがベセルナ有効 ・果物由来GRPはモモ,ザクロ,ウメ,オレンジ ・スギヒノキのGRP感作によるアレルギー(シラカバBet v1感作によるPR-10,プロフィリンのように) ・てんかんに対しケトン食療法(脂質中心,炭水化物制限)中の色素性痒疹 ・胸腺腫の合併症として重症筋無力症,赤芽球癆,TAMA(Thymoma-associated

          皮膚科の臨床2022年5月号「ウイルス感染症」

          皮膚科の臨床2022年4月号「悪性上皮系腫瘍」

          ・脂漏性角化症にまれにBowen病など悪性腫瘍発生あり ・耳介や口唇のSCCにぺプロマイシン動注 ・造血幹細胞移植後の二次発癌にSCC,BCC ・皺襞のある部位にlinear BCC ・増殖性外毛根鞘腫(proliferating trichilemmal tumor)の悪性ではリンパ節転移に注意 ・尋常性乾癬の発症に病巣感染の関与 ・凍傷の初期治療は加温15~30分,マッサージは禁忌.深度や範囲の判定は3~4週間後 ・扁平苔癬様の類天疱瘡は水疱性扁平苔癬と鑑別 ・海綿状血管

          皮膚科の臨床2022年4月号「悪性上皮系腫瘍」

          皮膚科の臨床2022年3月号「間葉系腫瘍」

          ・類上皮肉腫は四肢末端に好発,上皮系と間葉系マーカー陽性 ・Aneurysmal fibrous histiocytomaは空隙に赤血球充満 ・Sclerotic fibroma(硬化性線維腫)は陳旧化した皮膚線維腫か ・血管芽細胞腫(中川)=tufted angiomaは良性,自然消退あり ・多発性若年性黄色肉芽腫では臓器合併症や神経線維腫症1型,白血病の合併あり ・ATLLでは紅斑型,局面型,多発丘疹型,結節腫瘤型,紅皮症型,紫斑型など多彩な皮疹(一般にT>B細胞リンパ腫

          皮膚科の臨床2022年3月号「間葉系腫瘍」

          Derma2022年2月号「オフィスダーマトロジー」

          ・抗TNFα抗体以外の生物学的製剤は基礎疾患なければ1年毎のフォローでよいかもしれない ・慢性蕁麻疹に対してオマリズマブ無効例では投与後のIgE上昇なし.IgGクラスの自己抗体が関与か ・集簇性ざ瘡に柴苓湯 ・タバコはニッケルを含む ・神経線維腫は圧するとヘルニア状に引っ込む.集簇することもあり ・skin tagは形成剪刀で摘除するのがよい ・顔の常色のほくろは皮膚面程度まで焼灼,黒色はパンチで開放療法 ・紫外線吸収材は接触皮膚炎や光接触皮膚炎あり.紫外線散乱剤(酸化亜鉛や

          Derma2022年2月号「オフィスダーマトロジー」

          皮膚科の臨床2022年2月号「COVID19」

          ・COVID19の皮疹は麻疹様発疹,凍瘡様末端病変,蕁麻疹,斑状紅斑,小水疱,丘疹性発疹,網状皮斑 ・COVID19ワクチン接種後に帯状疱疹 ・爪白癬のテルビナフィンは6ヶ月内服で効果不十分なら,3ヶ月ずつ延長,最長で18ヶ月まで ・壊死性遊走性紅斑はグルカゴノーマのデルマドロームだけでなく,アミノ酸・亜鉛・必須脂肪酸の複合障害.基礎疾患に肝障害・慢性膵炎・アルコール多飲・摂食障害など  ・イミキモドは欧米では表在性基底細胞癌,軟属腫,Bowen様丘疹症,乳房外Paget病,

          皮膚科の臨床2022年2月号「COVID19」

          皮膚科の臨床2022年1月号「水疱症」

          ・紅皮症をみたら天疱瘡を鑑別に考える.臨床は乾癬に似ることも ・薬剤性天疱瘡はDぺニシラミン,ブシラミン(リマチル),カプトプリルなど ・抗PD-1製剤によるBPは原疾患の治療奏効率の高さを反映する可能性あり ・粘膜類天疱瘡は皮膚や眼以外の粘膜症状あれば重症 ・後天性表皮水疱症はBPよりもステロイド抵抗性,IVIGは有効.蛍光抗体直接法(split skin法)は真皮側に陽性 ・皮膚アミロイドーシスのうち結節性は免染で免疫グロブリンL鎖(κ,λ)が沈着.全身性アミロイドーシス

          皮膚科の臨床2022年1月号「水疱症」

          皮膚科の臨床2021年12月号「付属器疾患」

          ・電撃性ざ瘡:PSL0.5~1mg/kgとイソトレチノイン0.1mg/kg併用で2~4週 ・薬剤性脱毛症:ヘパリン,インターフェロンα,エトレチナート,バルプロ酸,カルバマゼピン,スタチン,アロプリノール ・Temporal Triamgular Alopecia:生下時や生後数年から前側頭部の脱毛斑,改善しない ・特発性後天性全身性無汗症:ステロイドパルスやピロカルピンが有効,CEAが病勢マーカーになる ・黄色爪症候群:黄色爪,リンパ浮腫,肺病変(胸水,気管支拡張症,慢性気

          皮膚科の臨床2021年12月号「付属器疾患」

          皮膚科の臨床2021年11月号「薬疹と皮膚障害」

          ・重症薬疹はp-iコンセプトにより発症する(感作の過程を経ない) ・SJS/TENに対して欧米ではエンブレル(エタネルセプト)使用 ・DIHSの治療方針にDDSスコアが有用 ・β遮断薬,リチウム,TNF阻害薬は乾癬の誘発や悪化のエビデンス高い ・医薬品副作用救済制度は入院治療程度の患者が対象 ・EGFR阻害薬による紫斑・血管炎 ・インフルエンザワクチンはチメロサール含有するが皮膚テスト陽性でも禁忌ではない ・オレンシア(アバタセプト):T細胞共刺激調節剤で乾癬型薬疹 ・水疱性

          皮膚科の臨床2021年11月号「薬疹と皮膚障害」