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著書の内容で国家試験を解説(1章~2章)

書籍を購入してくださった方に向けて、Twitterで書籍の内容をもとにした国家試験の解説を行いました。

書籍はこちら↓

改めてnoteにまとめたいと思います。
今回は1章~2章の内容です。

以下の総合フローチャートをもとに考えてみてください。

問題1

次の3つの紅斑を見たとき、まずどこに注目すればよいでしょうか。

答え:表面の性状に注目する

紅斑を見たとき、まず注目するのは表面の性状です。
表面がザラザラしている場合は病変が表皮にあり、ツルツルしている場合は病変が表皮にはなく真皮以下に存在しています。

ツルツルしている場合は、さらにその深さによって見え方が変わります。
真皮の場合は境界明瞭で、皮下組織の場合は境界不明瞭です。
以上のように紅斑は3つに分類することができます。

問題の3つの皮疹は
A:表面ザラザラ→病変は表皮
B:表面ツルツル+境界明瞭→病変は真皮
C:表面ツルツル+境界不明瞭→病変は皮下組織
となります。

このように皮疹の表面に注目することで、見た目一発診断ではなく論理的に診断を行うことができるのです。


問題2

以下のような皮疹をみたとき、まず何をすればよいでしょうか。

(110-C24)

答え:真菌検査

表面の変化がある紅斑なので、病変は表皮にあると分かります。
この場合、まず考えるのは湿疹と真菌症です。
湿疹と真菌症の鑑別は真菌検査(直接鏡検)で行うことができます。

そして真菌検査が陰性であれば、湿疹と考えてステロイドの外用を行います。

湿疹と言っても単一の疾患ではなく、分類される疾患は多岐にわたります。

原因物質がわかる→接触皮膚炎
原因物質が不明→病因、部位、年齢、特徴的な臨床像から分類

この皮疹は耳に限局しているので、接触皮膚炎を疑いますね。
ピアスなどの金属や、外用薬を使用していた既往がないかを確認するのがよいでしょう。


問題3

以下の皮疹をみたときに、まず何をすればよいでしょうか。

(112D-33)

答え:真菌検査

表面の変化がある紅斑なので、病変は表皮にあると分かります。
この場合、まず考えるのは湿疹と真菌症です。
湿疹と真菌症の鑑別は真菌検査(直接鏡検)で行うことができます。
この症例は脱毛斑を伴っているので真菌症の可能性が高そうですが、真菌検査なしで診断することはできません。

検査陽性を確認してから抗真菌薬で治療を行います。


問題4

以下の皮疹が真菌検査陰性でステロイド外用を行っても治癒しない場合、何をすればよいでしょうか。

(102-A34)

答え:悪性腫瘍を疑って皮膚生検

表面の変化がある紅斑なので、病変は表皮にあると分かります。
まず考える疾患は湿疹と真菌症です。
そして真菌検査が陰性であれば、湿疹と考えます。

ただし湿疹と見た目が似ている悪性腫瘍の可能性も念頭においておく必要があります。

とは言え悪性腫瘍の頻度は低いため、まず湿疹として治療を行うのがよいでしょう。
そしてステロイド外用で治らない場合は、皮膚生検を行って診断を確定する必要があります。

湿疹と見分けがつきづらい悪性腫瘍には、日光角化症、Bowen病、乳房外Paget病、菌状息肉症などがあります。
この症例は高齢者の露光部であり日光角化症の可能性が高そうです。

3~4章はこちら↓↓

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