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仕事がはかどらない Jazz の名盤 3

正月 3 日目。今日で正月休みも終わりという人も多いのではないでしょうか。そんな,の〜んびりした日にぴったりな Jazz のアルバムを紹介したいと思います。その前に,決まり文句。

仕事がはかどる Jazz って時々見かけます。それはそれで役立つんですが,音楽としてどうなんだろう。仕事をしていても思わず手を止めて曲に聴き入ってしまう,それが本当にいい音楽であるような気がします。もちろん,時と場合によりますが。

今日はこの 1 枚。

The Koeln Concert, Keith Jarrett

Koeln(ケルン)はドイツの地名で,そこでの奇跡のライブを収録したアルバムです。ちなみに,K の後の oe は,ドイツ語では o のウムラウトで,o の上に横に 2 つの点々を打ちます。発音は,o と e の中間の音で,この文字がない英語圏では oe と書きます(最近では,単に o と書く人も多いのですが)。そうです,Goethe(ゲーテ)と同じです。 

さて,その 1 では最高のセンスの Bill Evens,その 2 では帝王 Miles Davis を取り上げましたが,Keith Jarrett は,全く別のキャラです。バークリー音楽院出身の彼ですから,音楽理論はすげー知っているし,練習もめちゃくちゃやったと思います。ただ,彼の音楽を形容するのに「天才」はあまりふさわしくない。なぜなら,天才を超えた情念を感じるからです。

このアルバムには 4 つの曲(厳密には後の 3 つで 1 曲を構成しています)が収録されていますが,その全てが即興演奏です。決まったコード進行の上で 1 コーラスくらい即興で演奏するという,よくある Jazz の即興演奏とは全く違います。曲の構成から何から全て,その場で絞り出して作り上げています。そして,それが驚異の完成度なのです。和音がどうとかスケールがどうとかというレベルではなく,その時の彼の情念を絞り出している。なので,新しいモード奏法で敢えて 4 度の音を使うなんていうのはちょっとしたテクニックであって,彼の前では,関係がない。この 4 曲は,本当に奇跡です。

正月休みなので,周りもいつもよりも静かだと思います。とっておきのヘッドフォンで聴いてみて下さい。特に 1 曲目は,最初に雷に打たれたような感じから,しばらくしてなぜか涙が出てきます。

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