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ホン雑記 Vol.496「燃え尽きないまま症候群」

テロ・紛争解決スペシャリストである永井陽右氏をついさっき知った。

紛争やテロにより世界で最も危険な場所とされているソマリアで、隣国のケニアで難民として暮らすソマリア人ギャング・テロリストを更生させ治安改善を目指す活動に取り組んでいる。
防弾チョッキ以外は丸腰。言葉も不自由なまま現地に飛んだ。学生時分から始めたその活動で、今まで約500人に武装を解除させた。


彼が雷に打たれたそもそもの原因は、高校時代に地球温暖化の影響でツバルが海に沈んでしまうというニュースに衝撃を受けた経験から、他者を意識するようになったことだった。
後日、別のニュースでソマリアで年間26万人が戦闘行為によって亡くなっていることを知った彼は「自分の行く場所はここだ」と決意する。
次の日から活動を始めようとするが、右も左もわからぬ一学生に過ぎない。相談しに行った人たちにもことごとく「危険すぎる」「ムリだ」「もう少し安全なところで最低でも10年は経験を積まないとダメ」と返される。

ソマリアのテロリストたちは若い。何もわからないまま下は7歳から兵士にされる。20歳前後が一番兵士の層が厚い。
彼らはある日突然、銃を持った大人たちに囲まれ自由を奪われる。兵士の卵として身柄を拘束される。村の長たちがそれを断れば皆に死を与えられる。
武装した見知らぬ大人たちはまさに死神だ。村に訪れたが最後、戦闘マシンとなること以外若者たちが生きる術はない。

活動当初の永井氏もまた20歳。現地の状況を訊いてタメ年じゃないかと驚く。子供のうちから洗脳されるテロリストたちにも、自分たち学生なら話ができるんじゃないかと思ったという。若さとはすごいものだ。


そんなことができるのか、と思った。
言葉もなんのスキルも持たない学生が、因縁深き彼の地の兵の銃を下ろさせるなどということが、というのはもちろんのこと、自分の祖国を守る、もしくは半分ソマリア人の血が入っている、というわけでもないのに自分事として命を賭けられるということに対して。

崇高すぎて泣いてしまった…つもりだったが、半分以上は悔しさであることに数秒経ったあとに気づいた。
「自分にはなぜこの天性の熱がないのだ」
と。
そして、同時にその藻掻き自体が途轍もなく不遜に思えた。

天性の熱のある人なら、こんな部外者的問い掛けが浮かぶことすらなく、居ても立ってもおれずに飛び出してるだろう。
どうせ熱のない人なら、「そんな問いが浮かぶことすらやめてくれオレの脳ミソよ。いつまでもしつこい。やらないクセにみっともない」と思ってしまう。

ということで、この記事を書くかどうかだいぶ迷った。公の場に残すことは「なんにもできないクセに世を儚む情熱だけはまだあるんですよ、僕は何かしたいと思ってるんですよ、何もしないんですけどね」という、条件が整ったら人間でしかないことを公言してるようなものだからだ。そのダサさはなんとなく感じている。感じた上で書いている。

なので結構迷った。けど、逆に誰もここを見ていないとしたら? と考えたらすぐに決まった。やっぱり書いておこう。

世の総量的には、ひとり増えるなら偽悪よりも偽善のほうがいい。誰も見てないとしたら、オレの今日のわずかな熱がなくなり切るよりも、残る可能性のほうがいい。こういうのは自分でも忘れるし、ビックリするぐらい早く醒めてしまうんだから。

いつか大きなヒマが出来た時に(今もだが)noteを読み返す自分に、今日の内容はマイナスにはならないと思うのだ。なったとしても「また、しょうもない言い訳してらぁ」ぐらいのもんだろうし。



右にも左にも中庸にもなれないのでハンパモノが出来上がりました。




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