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ホン雑記 Vol.269「お持ちなさいな」

最近よく聞くようになってきた「FIRE」。
Financial Independence Retire Earlyの頭文字で、ザックリいやぁ早よぉ仕事辞めたいって意味。

こちとら最初に就職した時からずっと思って来てたから、まるで気分はカンダタなのである。マネすんなハゲと。あとから登って来るヤツを丁寧に丁寧に蹴落としていきたい。

もちろん当時FIREなんて言葉はなかったけど、進路とか就職活動って言葉を初めて知った時… 中学ぐらい? から、自分の中で強い拒否反応を示す言葉だった。その箱の中には、政治家とか、選挙とか、広告とか、けじめって言葉も入っている。これ別にいまどーでもええな。

で、近ごろ猫も杓子もFIRE×2言い出して、本屋の平台に3冊ぐらいFIREの本が積まれているのを見て「なんだか世も末だなぁ」と嘆くんだけど、オレみたいなのを世に蔓延させていくと世は末になるのか、と納得もしたりした。

いや、でもオレは理由があるからなぁ。ただダラけたいのではないのだよ。家も車も酒もギャンブルも女(最近は(いやそんな遊んでないけど))も、興味がない。遊ぶ金が欲しいわけでもない。サボりたいわけでもない。むしろ節制のほうが楽しい(ダメ男の認識のせいか逆に)。ただ単純に働くのに異様に向いてないのだ。

そんなオレでも昔、会社辞めた時に心配になって「働く気にならんのだよなぁ」とツレにこぼしたことがある。
「心配せんでも半年でヒマに飽きる」と慰めの言葉を頂いたまま10年が過ぎた。焦りがないってことはないんだけど、働いてない状態のほうが明らかに精神というか魂にフィットしている。通常状態というか。これは人に聞いても意味のない問題なんだとその時悟った。
専門学校や就職したての時にスーツたちを見てゾゾ気したのもむべなるかな、なのである。


とは言うても、おじぇじぇのことがある。当たり前すぎるほど当たり前だわな。
個人的には暴力や悪さを働いて稼ぐこともまったく否定しないが、なんとも運の悪いことに個人的にそれがだいぶ向いてない。冷たい人間のわりに、根っこの部分はすこぶる暖かいヤツなのだ。いやいや、マジだってば。自分で言うこともあるってば。でも対応はほぼ冷たい人間なので、他者から見たら真に冷たい人間だわな。なんぼ本人が言い繕おうがな。うはははは。

だから「オレどーしよー」なんてよく思うわけさ。もう好きなことをやるしかないではないか、と。そしてそれが、遥けき頂を目指すような心持ちでしんどいのだ。
が、最近リベ大の両学長がすんごい良いことを言ってた。

それは、目標は小さく持てということ。

他の人にとってはそうでもないけど、自分はそれ自然とやれてる、なんてことがあるはずだと。
たとえば、モノを綺麗に並べるのが人一倍好きな人がいるとする。この人はどこに行っても幸せだろう。
事務仕事に行けば数字を綺麗にそろえて書くだけでも気持ちいいし、店舗業務だったら商品陳列してるだけでも気持ちいいし、清掃員になるだけでも気持ちいいかもしれない。しかも、そう、お金をもらいながら。
みんな大きいことを目標にしなきゃいかんと思い過ぎだと言うのだ。

なんかねー、これ聞いた時目から鱗がボタボタ落ちたんだよね。もういまはその8割ほどが目に戻って来てるんだけど、聞いた時には「アハーッ!」ってなった。
自分はサラリーマンに向いてないんで、好きなことを仕事にするしかない、イコール会社を興すしかない(人一倍メンドーサなのにだ)、っていうふうに囚われてたんだけど、一生そんな(実際には幻想の)荷物を背負いながら生きなきゃいかんのかーっ! と思うよりも、異様に好きなものを見つけるほうが、それもどんな作業の中にでもそれを見つけられる視点を持つほうが、よほど理に適ってると思ったのだ。
まぁ、これってこうやって口にしてみれば、ただの「いまの仕事を好きになりなさい」っていうよくあるヤツなんだけど、ちょっと自分には違う角度から刺さってきたわけさ。
で、さっき観た両学長の別の動画でまたたまたまこんなこと言ってた。

ミリオネアたちが口をそろえて言う言葉がある。
それは「資産形成とはプロセスそのものに充実感がある」と。金持ちはイヤなことを耐える力が強いわけでもないし、金持ちになってから幸せになったわけでもない。
遠足と同じで、目的地に着くまでの道中も楽しいはずだと。もし、いまの道のりがつら過ぎるなら、それは歩く道を間違えているのかもしれない、と。

「アハーッ!×3」だった。まさにそうだ。道も当然のことながら、歩き方もたぶんおかしいんだろう。後ろ向きで目隠ししてヒザで歩いているのかも知れない。それでいながら、次につまずくことばかりを憂いている。

たぶんFIREに取り憑かれた他の人たちも、同じような心理状況に陥っているんではないだろうか。裕福でなければ、安寧でなければ、幸福でないと思い込んでいる。
自分で気づかないと得られない幸福に、そんなことをしていて出会えるわけもないのに。



なんのことはない、蹴落とそうとしてたヤツらは同朋だった。




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