ホン雑記 Vol.486「すんごく逆に言えば希望の胎盤の時代」

あ～、小室哲哉氏がとうとう言うてしもたなぁ。
「今はペットボトルの水より1曲の方が安い」って。

加えて「馬鹿馬鹿しい…とまでは言わないが（言いたいのだね）、5分の曲どーせ最後まで聴かないでしょ？　とハナから思って作ってる。最初の1分半、もしかしたら15秒までで良い物じゃないとダメ、ってところまで落ちてる…というのか、人類が適応してるというのか………」

言うてしもた言うても、ま、よく言ってくれたってのもある。言ってしまうと余計にものごとはそちらに傾くけど、ま、黙っててもしょうがないしね。

ここからは、何者にもなれてない人間の、壮大な、最もレベルの低いグチになるけど、ホントにクソみたいなエセ音楽マンが増えてきて、ホンモノが人に発見されなくなってきた。
今「お前の音楽はホンモノなのかよ」っていう自己妄想攻撃が当然脳内を駈け廻っているが、ホンモノかどうかは本人には一生わからん。とはいえ、ニセモノを作ってるつもりはない。

自分の精神を賭けて（魂とまでは言わん。そこまではわてホンマによう言わんわ）、なるべく自分の主張からズレない言葉で、世の中の流行りのほうがカブってきそうだったらちょいとズラし、まだ誰もやってないだろうことを小さいオツムながらも考え、そのうえ「誰もやってないことをやること」を主目的とすることだけは避け、何よりも個人的エモみを追いかける、みたいなことは考えてる。

特に「世の中の流行りのほうがカブってきそうだったらちょいとズラし」は、ツクリテの見極めには肝要だと思ってる。歌詞でもメロディーでもそうだけど、どこに発表することなくとも、パクリという発想が有り得ない。というか、パクリに利点があるという発想がまるでオレにはない。そんなことは…というか、そんなことが一番イヤなことなんだから、ツクリテなんじゃないの？

『聖闘士星矢』が流行った時に、「星矢」という男子の名前が増えたらしいが、それを知って「あぁ、だからパクりというしょーもない疑いが存在するのか」と納得した。自分がパクるから人もパクると思うんだな。
みんな人と同じはイヤだと思ってると思ってたんで、バレるバレない関係なしにハナからパクリたくない、とみんな思ってると思ってた。
それが崩れてる人には「お金なのかな？」と思ってたけど、どうもそれだけじゃないみたいね。承認欲求自体が非常にインスタントなんだ。車、時計、バッグ持ってる、なんてのと同じレイヤーなんだろうな。

作曲の概念自体が薄れている。「チョップ」という手法をよく聞くようになった。他音源の一部を切り張りすることだ。
で、「最近はスマホひとつで誰でも作曲できるようになってきた」とか抜かしやがる。ふざけんなよオイ。そんなもん作曲ではない。

やってることはよくてDJ…ひどめに言やぁ、カセットに好きな歌だけ詰め込んでる（パクってるやん）のと一緒だよ。作曲じゃーない。それは絵を描いてんじゃない。ぬり絵。

オレも5分ちょいのインスト曲を作ったことあるけど、50時間ぐらいは掛かった。これはちょっと掛かりすぎだけど。
ちょうど、女子の三つ編み…ならぬ四つ編み五つ編みを編んでる気分で一音一音を丹精込めて置いていく。ウソ。あぁ、丹精からウソ。言いたかっただけ。
鳴っているすべての音の中で、自分が意識していない音高・音量・音色（音の立ち上がり、減衰などなども含め）はひとつとしてない。アニメ映画の背景の雑草のように、鳴ってる音のすべてに制作者の意図がある。
もちろんその中でもウマいヘタあるし、自分もこの曲を全力中の全力で作ったわけでもなかったんで（本気出してないって意味ではなく「イーッ！」となってくるんで全力でやり切れてないという意味で）、大袈裟に言ってる部分もあるけどね。とにかくコピペじゃーないんだよ。

アマチュア女子のボーカルの傾向は特に偏るなぁアレ。みんな同じ歌い方なんだよ。個性埋もれる埋もれる。メイクと同じ傾向があるんかな。メイクってかファッション性なのか。

ファッション、かぁ…。うーん、なぜツクリテなら流行りを追いかけるのか。ツクリテじゃないのになぜ作るのか。秋元（誰だよ）は頭はいいんだけど罪なヤツだよな～。あー、いや、別にヤツのせいじゃないか。

自分に子供できたら、美男美女の顔で出て来て欲しいかねぇ？　そんなことよりも、自分か相手に似てて欲しくないか。

永い先行者利益はここにもあるんだな。
50年前の作曲者と同程度のスキル・情感を持った人でも、今は見向きもされない。
さらに遡って数百年前のクラシック曲は、今でも聴かれている。古いものほど、逆に未来まで届きやすいんだろうか。
せつない。

でもねぇ。
「生まれてきた時代を間違えた」なんてことだけは言いたくないんよねぇ。

德ちゃんもそう言うてはるわ。