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ホン雑記 Vol.191「スポーツの神様」

残念だなぁ。
「本気で競技やったことないんだろうな」
柔道の石井慧の、武井壮氏に対するツイートだ。
人の口に戸は立てられぬとは言うけど、これほど自分の口の前にすら立てられんもんか、戸ってやつは。


著名人の過去の過ちから、辞任・解任へという流れが目立ったオリンピックだったけど、よもやスポーツの頂点を極めた者の言葉がこれとは。
役を降ろされた人たちよりも、罪の匂いはしない言葉だろう。でもオレ個人的には、これはビックリするほどアウトな発言だ。

「柔の道のトップの精神ってこんなもんなの?」
柔道家をひと絡げにする気はもちろんないけど、いやまぁ、よく心ない技だけでたどり着いたもんだねと感心すらした。

この歳になると、アスリートたちが自分の想像をはるかに超える並々ならぬ人生を送ってきたことがなんとなく知れてくる。はたから見てたら、ただ単に才能のある人が、何回もオリンピックに出てるだけの話に思えてたんだけど、その紆余曲折も、すごい人がすごい人であるわけも、なんとなーくだけど知れてくる。
だからこそ「あぁ、アスリートってすごかったんだなぁ」と、大人になるにつれ感嘆の度合いも増していった。

だけど、いやぁ、こんなもんなのか。
そうかそうか。ひと絡げにしたくはないけど、そういうもんなのかぁ、とは思っちゃうんだよ、やっぱり。
こういう精神の持ち主も入ってる、入れるような境地なのかと。

見たくもないんだけど、彼の他のツイートを覗いてみたら、どこかのレベルの低いアルバイトが書いてるのかと思わされるような文面の羅列だった。
「彼らにはポアが必要かもしれません」なんてのもあって、もうゾッとした。
ムカつくできごとに、その立ち位置でそんな返答ができるのが、逆に感嘆に値する。一瞬でも想像したりしないものなんだろうか? メダルを獲っていても、アタマのほうは別に… まぁええか。

オッサンによくあるんだけど、悪気があるんじゃなくて、いやまぁそれも悪気なんだけど、何より本人が面白いと思ってる、言ってやったと思ってる類の失言はホントに怖すぎる。オレも家ん中では多々やってるだろうから、おちょけたオッサンは自分の口に開閉式のバリケードぐらいは設けといたほうがいいんだろうと思わされた。それか外ではしゃべらんようにするかね。


おそらく、武井氏がスポーツを利用してうまいことやってる、そんじょそこらの芸能人に見えてしまったんだろうなぁ。
でも、十種競技日本一になってる武井氏(それまで7連覇していた“絶対王者”を破っての記録。しかもその時陸上歴わずか2年半)に本気で競技してないなんて本気では思ってないんだろうけど、だからこそ逆に差を付けたくて「俺は金メダリストだから」の本音が思わず出てしまった。あまりにも舌禍が過ぎた。
理解不能な思考回路ではない。が、それにしても安目を売ってしまった。
いや、安目というか、もうこれは残念だけど元々の本質が表れただけなんだろう。

こういう人は、真っ白なコピー用紙をもらって、目を輝かせながら色鉛筆で描き殴る子供を見て「本気で絵を描いてないんだろうな」と言うんだろうか? 子供たちに柔道を教える時に…

はっ!
いかんいかん、オレもヤツの悪意にちゃんと当てられてしまっているじゃーないか(笑)
もちろん、そんなにひどい人物ではあるまい。だけどやっぱりどうしたって思考はそこへいっちゃうよね。「あぁ、この人は頂点以外の人を下に見てるんだなぁ」って。


オレはわりと本気で、武井壮が最もスポーツの神に愛された男だと思っている。逆に、よくいままでこんな人が現れなかったなぁとも思う。
彼ほどのスポーツの天才は地上にいない。それはカラダを動かす… もっといえば「物体を移動させる」という、言わばスポーツの最大公約数的なところを、誰よりも広く深く知っているからだ。
あるプロ野球選手の知人が、武井氏がその選手にアドバイス的発言をしてる動画を見て、それを本人に伝えたという。その選手は言われたことを実践してみたところ、成績が上がったなんて話もある。
スポーツにおいてやるべきこと、やる必要のないこと、やってはいけないことが、武井氏ほど明確に見えている人間も他にいないだろう。

突出した頭脳、突出した好奇心と行動力、突出した技術と知識、突出した肉体と精神、そして突出した慈愛。
彼なら、何をやったって世界レベルにたどり着いたと思っている。そんな男が二人分の人生を背負って、命がけでスポーツという分野をひたすらに芸能の世界から押し上げようとしている。
ハッキリ言っとくが、オレはスポーツにまっっったく興味がない。おそらく県内で五指には入るだろう。そのオレにここまで言わせるほどの男が武井壮だ。石井とは視点も視野も視座も、何もかもが違う。
武井壮っていう生き物についてちょっと知らなさすぎだったな。


最初この記事のタイトルは「中身はメッキ以下」だった。
だけどこんな記事を書いといて、そんな言い草はないよなぁと思って変えた。武井壮から何を学んでんだって話だもんな。



葛飾北斎は最期、「あと10年、いや5年だけでも生き永らえることができたなら、本物の絵描きになれたのに」と遺した。90歳であったという。

そういう本物にオレもなりたいなぁ…。




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