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ホン雑記 Vol.242「幸せ根こそぎ野郎」

大人になって良いこともいっぱいあるけど、逆にあんまり良くないことも増えてくる。特に悪いことのひとつは「根こそがなくなった」ことだと思う。

「深堀らなくなった」と言ってもいいな。
子供のころはお金もなかったんで、特に根こそいだ。こそいでこそいでこそぎまくった。


小5の時に買ってもらった… いや、オカンのパチンコの戦利品に加えていただいた、「スクーン」というファミコンソフトがあった。
確か30本以上はソフトを持っていたけど、スクーンだけは手にした時のことをハッキリ覚えている。半田コロナのなんとも煌びやかな店内を覚えている。そう、ミリオンのほうではなかった。
スクーンだけ覚えてるってことは、サプライズで嬉しかったんだろうなぁ。

クソゲー… とまでは言わないが、ハッキリ言って他のシューティングゲームよりはイマイチな感じだった(「バルトロン」を除く)。
なんだけど、これも遊んでる時の記憶が結構ある。タイトル画面の音楽も、その時のツレとハモって遊んでいた。いまも唯一続いてるツレだ。

ネットも、攻略本を買うお金もなかったのに、少しずつスクーンの情報が増えていった記憶がうっすらと残っている。スーマリやドラクエならまだしも、あんなもん誰も持ってなかったソフトなのに…。
良い子も悪い子も、みんなファミキチ(鶏じゃない)だったから、どこかしらから誰かが聞きつけて情報が回ってきたんだろう。

当時のソフトは、30年以上も前なのに、あんなクオリティなのに、価格帯が現在と同じぐらいだった。
だからたとえクソゲーであっても、必死で良いところを見つけて遊び倒した。想像力が肝要とも言える世界だったんで、漫画「ファミコンロッキー」なんかで脳内補完した。「きっとこのゲームの世界はホントはこうなってるんだ!」と。なんとも幸せな時代だ。
ホントに24週目のシルビアは襲い掛かってくるんだと思っていたし、魔の2000機攻撃は存在するんだと思っていた。


おととい、なにげなく手持ちのシンセサイザー(30万ほどする)のマニュアルを読んでみた。その95%は未読で、実際の機能のほうも電子ピアノ代わりぐらいにしか使っていなかった。

自分のシンセと、オンラインマニュアル中の写真のタッチパネル画面の仕様が違うんで、「あれ?」と思っていたら、システムソフトウェアをバージョンアップできるという。そ、そんなバカな。
それに、音色数おんしょくを増やしたりできるらしい。そ、そんなバカな。
これは安価で新たなシンセを手に入れられるようなもので、知らなかった身からすれば、まぁすんごいことなのだ。

他にも、疲れたんで鍵盤にヒジを乗せていたら音色ねいろが途中で変わったんでクリビツてんぎょう。鍵盤を弾いたあとにさらに押し込むことで信号を送れる「アフタータッチ」という機能が付いていた。鍵盤の上に片ヒジを突きながら弾くというお行儀の悪いことをしなければ、一生気づかなかったかもしれない。

と、そんなことをしていて、あのころの「何が眠っているんだ!?」というワクワクを久々に思い出したわけです。



宝の山は、案外足元に眠っているのかもしれない。
目が見えたり、歩けたり、友人とくだを巻き合うことの稀有を、まだまだ根こそぎ有り難がれていないと思った。




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