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ホン雑記 Vol.144「芸は命を助く」

身を助けられてない経験をしてないし、他の人に聞いたこともないんで分からないが、本当に助けられている。

芸の話だ。
身どころか、心、飛躍して命まで助けられている。


冷静に考えたら、そうたいしたものではないにしても、自分の中で突出している特技は音楽だ。自分の中でですよ?

別に職業音楽家ではなくても、気づけばなんやかんやでそばにあった。特に大ファンのアーティストもいないし、ジムで汗を流す時も音楽が必須とかでもないし、最近の新譜の発売をチェックしてたりもしないんだけど、落ち込んだ時にはいつも、たまに祖母の作ってくれる、あのやわらかクッキーのように癒してくれた。
が、そんなクッキーが出てきたことは今まで1度たりともない。

高校は9kmほどの道のりを自転車で通っていた。ヒマなので歌いながら漕ぎ漕ぎしてたのだが、毎朝感極まって泣いていた。ウォークマンを聴いていた時も数回はあったと思うけど、自分で歌うのはタダだし、毎朝泣くぐらいだからそっちのがよっぽどいい。

作曲したり鍵盤弾いたりもするんだけど、それよりも毎回自分の歌で泣けることのほうがよっぽど特技だと気づいたのは、あとになってからだ。ちなみに歌の上手さや良さとは関係ない。歌詞の中の登場人物の感情をなぞって、感動している。映画を見てる感覚に近いのか。
自作の歌でも、自分の気持ちというよりは、その中の人間の気持ちになって泣いてるので、リーズナブルな趣味だなぁとも思う。


漫画の「修羅の門」の話ではないが、オレは最初の音楽の門をいつくぐったのだろう。
通う保育園のそばにあった、ヤマハ音楽教室でエレクトーンを始めたのがそれに当たるのかもしれない。自分の記憶にはまったくないが、自分でやってみたいと言い出したらしい。

親も教室の先生もヤマハの工場の人も含めて、大人たちがよってたかって、わざわざお金と時間を割いて、あの日音楽の扉を開けてくれた。

ただでさえ歪んだ性格で、直情型だった自分は、音楽に涙して心を浄化してこなければ悪人になっていたかもしれない。浄化し続けてやっと、人間になっているのかもしれない。


音楽の技術や、それに触れて感動できる心以上に、扉を開いてもらった奇跡を噛みしめられる才能だけは、誰よりも持っていたい。
ともすれば忘れがちになることであるしなぁ。



さて、そんな稀有な扉をいつまで半開きのままにしておくんだい。




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