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ちょっとした夏の風物詩。

仕事を休んだ。どうやら熱中症っぽい。
医者に行き、眩暈、頭痛、吐き気、肩凝り、神経過敏があると告げた。日焼けに行きだしてから顕著になってきた症状なので「これ熱中症ですよね?」と付け加えたら、その通りの処置をされた。

点滴を打ちましょうということになったが、1時間ほどかかるというので、半分にしてくれ、さらには速めに落としてくれ、と言ったら快く承諾してくれた。オレは忙しいのだ。1時間も処置室で寝てられない。眠れるなら時間の無駄ではないが。

で、何を急いでいるのかと言えば、帰りに公園に寄って日焼けをしなきゃいけないからだ。脳ミソが膿んでいるとしか思えない。点滴あとに貼ってもらった小さな四角の絆創膏と日焼けのミスマッチ感はなかなか趣がある。

保育園の頃から色白だね色白だねと、大人からクソみたいな言葉を投げかけられ続けたせいで、当時ではひ弱なイメージだった色白を嫌うようになった。そんな心無い大人たちのレッテルが、こんなにも頭の悪い大人を作り上げてしまうのだ。舌禍にはくれぐれも気をつけられますよう…。
あ、ここは話4分の1ぐらいで聞いておいてもらうと助かります。


1番好きな季節は夏。だからこその日焼け…だとホントは思う。レッテルは関係ない。閑散とした海辺の芝生に寝ござを敷いて、読書に勤しみながらの日焼け。これがなんとも幸せなことだと最近になって気づいた。
普段小説などはほとんど読まないのだが、盆休み×日焼けが重なると、意図せずして小説をセレクトしていた。

一昨年の盆休みは社長に借りて読んだ、湯本香樹実 著「夏の庭」。
今調べてみると、十数カ国で翻訳出版されているらしい。大雑把に言ってしまえば日本版スタンドバイミーといったところか。スタンドバイミー好きなら読んだほうがいい。
著者は女性だが、小6のやんちゃな男子たちの性癖の細かい描写を読んで驚いた覚えがある。この人の中に小6の男子の分子(ややこしい)がちゃんとあるんだなぁと感じた。

去年はドリアン助川 著「あん」。
3年ぐらい前にNHKのドキュメンタリー番組で初めて著者のことを知った。ロックバンド「叫ぶ詩人の会」のボーカルでもあった。その番組を見て彼自身に惚れてしまい、調べてみたら小説も書いているということなので、Amazonでいくつかある小説のうちから「あん」を選んで注文していた。
それをしばらく放置して、去年の盆休み日焼けイベントで読んだのだが、まさにその時の自分の仕事や人生のあり方に悩んでいたことを解決するかのような内容に、号泣してしまった。汗だくで。
本が届いてすぐに読んでいたらそれほどタイムリーな悩みでもなく、あれほど印象深い経験はできなかっただろう。

そして今年は「中島らも エッセイ・コレクション」。
割とアウトローな彼は、初めて見た時からオレにとってのスキとキライの分水嶺に鎮座し続けているような男だった。いや、今思ってもちょっとだけスキの匂いはしてた。
このエッセイ集を読んで完全にスキ側に来てしまった。松花堂弁当を食べる時のあのほっこり感を味わわせてくれるような、いろんなものがちょっとずつ入っていてなんとも幸せな本だった。中3の時にハマった谷川俊太郎の詩集を読んでいる時のようのほっこり感を彷彿とさせた。彷彿とさせると言ってもそのほっこり感はオレしか知らないので、彷彿では何も伝わらないだろうが、とにかくほっこり感が凄まじいのだ。
そして個人的には、途轍もなく常識人だと思った。じゃあ普段は傾いて見せてるのかと言うとそうでもない。まっすぐな人なんだろうなぁと映った。
ただ、まっすぐと言っても、オレとことごとく合う意見だからこその感想であって、オレが歪んでいたらそれは目も当てられない。

夏。海辺。蝉の声。日焼け……
それらの風物詩と共に進めていくストーリーは、部屋でするそれよりも、強いイマジネーションを掻き立ててくれるからおススメだ。




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