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散文日誌「種々雑多」2021/11/05

我が街で30年間営業してきた、大型スーパーが、来年1/16で閉店する。さてどこで買い物をすれば良かろうぞ…と一瞬考えてしまう。

この店が開店した時は、私はまだ高校生だった。良いものが安く手に入ったので、電車を乗り越して、いろいろ買いに行った。靴、カバン、化粧品…。あの頃はバブル期末期だったから、高校生でもそれなりの物が買えた。

近くに大きな店があるということは、食料品だけでなく、その他のものも買えるので、便利ではある。だが、後に、ユニクロやGUなどのファストファッションの店やニトリなどの雑貨が安く買える店が進出してくると、途端に窮地に立たされることになる。

最近できた郊外倉庫型の大型店がそれに拍車を掛ける。食料品はまとめ買いができる。今の冷蔵庫は冷凍庫が大型化しているので、その日の夕飯の分をいちいち買っていくことなど、ほとんどないに等しい。

そうやって弱体化していくうちに、専門店街として造られた建物は、テナントはほぼいなくなり、今は、メディカルセンターとして機能している。また、本館の品揃えも徐々に中年よりも上の世代向けのものを多くおくようになってしまう。ユニクロさんに似たようなデザインで素敵だなぁ…と思っても、値札を見ると、うーん、この値段では微妙なんだよなぁ…となる。あと500円くらい安ければ。サイズも合うし、文句なしに買うんだろうが、その500円の差が、どんどん積み重なって、他の衣料品店に水を開けられてしまうのだ。

自社開発とはいえ、製造委託された業者にとっては、なるべく不良を出さず、委託業者の仕入れ値が高くなるように委託元に納品したいものである。だが、この価格競争の時代、そうはうまくいかない。だから、結局は微妙な値段で買うべきか買わざるべきか迷う商品ばかりが増えていくのである。

消費者のニーズを掴みきれていない歯痒さ。そして同じ値段で材質も少々落ちるのでというなんだか、うーん、惜しい商品ばかり。買いたい、でもこんなやつなら買わない…。消費者の心情はそこに尽きると思う。

今回は、大型スーパーだけがごっそり抜けるので、あとはいったい何ができるのかは、商店街とスーパー側、あとは商工会議所などとの話し合いになるのだろう。

我が町は大企業創業の地として、長い間、その地位を保ってきたが、バブル崩壊から、リーマンショックでその大企業が揺れ始める。追い討ちをかけるように、2011年3月11日の東日本大震災。青森から千葉にかけての太平洋側に大きな災害をもたらし、東京は都市機能が停止した。

ただでさえ中心街も寂れていく地方都市。それにコロナ禍。第5波が収束したのではないかとは言われているけれど、間もなく、インフルエンザの季節。インフルエンザがインフルエンサーになる前に今年はワクチンを打っておくべきだ。第6の波に飲まれる前に、対策は万全にしておくのがよいだろう。もし、今度のCOVID -19の感染性が、今までのものを凌ぐものであるならば、用心に越したことはないし、下手をすれは、一つのまちを潰す事にだってなりかねない。

そんな小さな地方都市で、またひとつ、シンボルが消えていく。寂しさついでに、私は、店の入り口の花屋に鎮座まします、大きなクマさんを記念に買って帰った。汚したくないので、しばらくビニールカバーは取らずにおこう。-だって記念だからさ。

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