Flaming June

色彩は光の行為である。行為であり、受苦である。

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色彩は光の行為である。行為であり、受苦である。

最近の記事

tokyo tower

江國香織の東京タワーを初めて読んだのは確かまだ10代の頃だった。歳を重ねれば重ねるほど、美しさだけでなく主人公ふたりの危うさ、人間としての不完全さ、恋愛の無常さについて考えが深まり、主題の神髄に迫っていくような感覚がある。原作も映画も、年に一度は必ず鑑賞していて、その時によって琴線に触れる箇所が異なるのが興味深い。人間は常に変容している。 おととしから去年にかけて家具の世界に傾倒しはじめ、それなりに知識がついてきたタイミングで久々に映画を見返したら、言わずと知れた数々の名作

    • explosion of emotion

      10月、ある雨の日の午後、私は表参道を彷徨っていた。恋人と落ち合うためだ。 正真正銘の方向音痴で、地方都市在住のため東京はそもそも土地勘がない。表参道駅の中心で私は立ち尽くした。最適解の出口がわからないため、改札すら出られない。経験則として、出口を間違うとまず目的地に辿り着けないというのがあった。その上足元が悪いことも踏まえて、できるだけ遠回りしたくなかった。 思えば初めて会った時もそうだった。東京駅の北乗り換え口改札で待ち合わせのはずが、当然のように南乗り換え口改札で行