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病院に住んでた

どうも、電飾の月書房の店主のんです。ちょうど10年前のこと、母を看取ったのは、ある急性期病院の中の緩和ケア病棟でした。病院の中でも特殊な場所で、不思議な空間でした。

病院の中の異空間。病院本体とも繋がっているけれど、そことは別に玄関があり、24時間出入りが自由。ホールにはグランドピアノがあり、毎日花が飾られている。全室完全個室のちょっとしたホテルみたいだった。

ただし、24時間自由に出入りする患者さんはもちろんいないし、ホールに出てくる患者さんもごく少数である。立派なグランドピアノが鳴る時なはい。多分もなにも、その時を待っている患者さんしかいない場所だから。

母の病室に泊まり込んでは、母が眠った深夜に病院をうろうろしていた。電気が消えて、無機質な廊下が、がらんとしている。エレベーターの音がやけに大きくて、昼間の病院とは大違い。毎晩、病院内を徘徊していた。外来受付、トイレ、廊下。誰にも会わなかったし、とがめられることもなかった。

2か月半くらい、そういう生活。病院に住んでいた。

母とは、確執があったけれど、最期を看取った。なんというか、人の最期を見せてもらったことは、感謝している。きちんと見送った自分にも誇りを持った。

最後まで和解するどころか、いろいろ言われたけれど。まあ、まあ。そういうところも見せてもらって、傷ついたけれど、おもしろいよね。人って。

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