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未来の共食「生産者と消費者をつなぐ、新しい食事のUX」

こんにちは。デンソーデザイン部佐藤です。先日、とあるオンラインイベントに参加をしました。それは、生産者の方とZOOMで繋がりながらご飯を食べるという文化的に贅沢といえる体験であり、そこからオンライン共食が食のUXを変えること、それのもたらす可能性について考えたことをお話ししたいと思います。

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リモート○○、オンライン○○というものは以前からあり、1970年の大阪万博において、はぐれてしまった迷子と親との引き合わせにテレビ電話が使われたそうです。(日本経済新聞/古今東西万博考)それが進化し、特に昨今のコロナ禍により、窮地に追い込まれた様々な業界の方々が知恵を絞り、リモート○○のビジネスや文化を大きく一段階上に引き上げたと感じています。

KitchHikeさんは「食と文化を旅しよう」と題して、生産者の方や料理人の方等と消費者をZoomで繋ぐイベントを開催されています。

「旅行してその土地の文化に触れ、食材・料理を味わう」「お取り寄せや外食で○○産と謳われる食材を手軽に楽しむ」という常識では生み出せなかった、「家にいながら地方の文化に触れ、手軽に食材を楽しむ」というある意味で、いいとこ取りのシステムを提供しています。島根県大田市伝統の「一日漁」で獲った旨味たっぷりののどぐろを、郷土料理「へかやき」にして楽しもうという太田市とのコラボ企画など、応募開始して間もなくで満席の盛況ぶり。

私が参加した会は「こんなビール、できたらいいな」と考えたビールを試作・商品化してくれるHOPPIN'GARAGEさんとのコラボレーションで、おにぎりに合うビール「和musubi」と秋田県羽後町産のあきたこまちの新米を皆で味わいましょう、一緒におにぎりを作りましょう、という企画。

自然あふれる秋田県羽後町の紹介をして頂きながら、その土地で取れた新米のあきたこまちを楽しむ。それだけでなく、初対面の者同士が思い思いの具材でおにぎりをせーの!で作る、それをオンライン共食、コアなクラフトビールとおにぎりのペアリングを楽しむ、という企画盛り沢山の会でした。

我が家は鮭フレークを用意して、子供たちも画面をのぞき込むようにして参加。「ここどこ?ここでお米がとれたの?こんなに雪があるの?いいなぁ。」と興味津々。おにぎりも皆さんと一緒にニギニギ。

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普段何気なく食べているお米が遠く離れた北の国から来ていることを知り、他の参加者(大人)とせーの!でおにぎりを一緒に作ったことが楽しかったと言っていました。

「共食」と考えると、一緒に食事をする人と人との関係にフォーカスしがちでしたが、「リモート」「画面を介して何かできる」という技術が入ることで遠隔地の生産者の方や料理人の方にも会え、写真や映像も無理なく織り交ぜたコミュニケーションが実現でき、食事というUXが非常に文化的なものになる可能性が見えてきます。「リモート共食」は「食育」や「異文化交流」などとの相性が非常に良いように感じました。

知る楽しさとしてのトレサビ:Traceability as a FUN! 

例えば、学校給食で。実際に水揚げしてくれた漁師さんに、お米を作ってくれた農家の方に、オンラインで繋げて話を聞く。嬉しいことも、大変なことも聞きながら、食の有難みを学ぶ。生産者の方々も、自分たちが獲った・育てた物を子供たちがおいしく食べてくれている様を見る。そんなリモート共食って、いいんじゃないでしょうか?

従来、食品のトレーサビリティというと、オーガニックかどうか、産地や生産者が偽られていないか、などを確かめる趣が強かったと思います。その点、太田市さんも羽後町さんもリモート共食を通じてその土地の産業・文化を伝えること、更には土地の魅力を伝えることで、将来、その土地に訪れてもらえるポテンシャルを高めることができる。消費者の知的好奇心を駆り立て、文化的に裕福にしてくれる効果をもたらせる、知る楽しさのためのトレサビ、"Tracebility as a FUN"が成立するのでは・しているのでは?と感じました。

今回のnoteは以上です。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

※本投稿は株式会社デンソーデザイン部の自主研究活動であり、
弊社の開発案件や事業をご紹介するものではありません