論評「さがみ人間未来フィルムフェスティバル」(1)
サニフちゃん絵

論評「さがみ人間未来フィルムフェスティバル」(1)

 今回の特集は、ドキュメンタリー映画についてです。

 ドキュメンタリー映画とはなにか。それは劇映画や商業映画とはどのように違うのか。逆にドキュメンタリー映画の醍醐味は何かなどについて、「MIZUTAMA」編集部の最も身近にあるドキュメンタリー映画祭「さがみ人間未来フイルムフェスティバル」を取材してお贈りしたいと思います。

 「さがみ人間未来フイルムフェスティバル」は能勢広氏、秋葉清功氏、村上浩康氏の映像カメラマンと作家らが中心になって開かれるドキュメンタリー映画祭です。ちなみにこの三人は、私のユーチューブ撮影のクルーでもあり、私としては恐れ多くもこのお三方に大変お世話になっている。

「さがみ人間未来フイルムフェスティバル」略してサニフは今年で二回目であり、昨年の回を私は見ることができなかった。しかし今回は周到にスケジュールを調整し、じっくりと見ることができた。その中で特に私がいいな~と思った三作について、体当たりで評論したいと思います。

傑作は「こどもこそミライ」

 傑作だと思ったのは「こどもこそミライ」(監督筒井勝彦 撮影秋葉清功 山口正芳 石崎俊一)です。

 この作品は、制作者をはじめ、映画に登場している大人たちすべてが、子供に裏切られている。つまり子供たちはそういう大人の意図などにはおかまいなく、自分たちの置かれている現実で、生命力に溢れながら逞しく生きていることが映像を通して力強く伝わってくる。
 
 映画はどうも理想の教育を実践しているということをアピールしたかったようだが、実際にはそれがあまりにも大人のきれいごとであり、幻想であることを、子供たちがどんどん裏切って、その欺瞞性を剥ぎ取っていく。子供だけは演技もしないし、ありのままの自分たちをさらけ出してくる。

 映画は理想的な保育、幼稚園教育を目指している三つの保育園(幼稚園)が舞台になっている。
『定められた既成のカリキュラムにとどまることなく、子供を主役にし、子供に寄り添う独自の幼児教育を実践しています。それは「人を育てる」というテーマに真摯に向きあった情熱にあふれ自信にみちた教育です。』(映画パンフレットより)

 もうこういう風に<理想.>を謳い文句にしているところからが、すでに映画がいわゆるプロパガンダ化しており、制作者たちが観客の感性や思惟に映画をゆだねることができないことを露呈してしまっている。しかし映像の中の子供たちは、そういう、制作者、大人の意図や思惑をはるかに超えて、自由に自在に逞しく、見ているものへ強烈なストライクを放り込んできた。

きっかけはまゆちゃんのささやき。


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論評「さがみ人間未来フィルムフェスティバル」(1)

田下啓子

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