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ラブレター代筆屋の僕が観た『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

僕が<ラブレター代筆屋>という看板を掲げてから、今年で7年目になるが、今日に至るまで、幾度となくこう訊かれてきた。

「『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の影響ですか?」

と。そう問いかけてくる彼ら、彼女たちの瞳は、皆一様に期待の色を浮かべていた。そして、「え?『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』って?」と答えると、これも皆一様に、なんだよ・・・、と不服そうな感情を隠そうとしなかった。

何度かそのようなことが繰り返された後、ネットで検索したことで、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が代筆屋を主人公としたアニメであることを知った。

彼らの反応を見る限り、面白いのだろう。いつか観てみよう・・・と思いつつ、なんとなくそのままとなり、月日は流れ、年は変わり、春になり、梅雨が明け、夏になり、ようやくNetflixで全話を観た。全13話、スペシャルver.も加えると、全14話を一気に観た。

観終えた直後、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のタペストリーを買った。キャンバスアートも買った。抱き枕までは買わなかったが、Tシャツはどうしようか検討中だ。

つまり、すごくよかった。すばらしかった。

この感情を自身の中だけでとどめておくことは到底できそうになく、誰かと共有したい。また、シンプルにできるだけ多くの人にこの作品を観てもらいため、3次元のラブレター代筆屋である僕が、2次元の代筆屋である『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』をどう観たか、どのような感想を抱いたか、書き記そうと思う。

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はじめに


Netflixで『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を探しながら、かっこいいとか、かわいいとか、おしゃれとか、そういうのだったら嫌だな、と思っていた。130通以上のラブレターを代筆してきた中で、代筆屋という仕事が、かっこよくも、かわいくも、ましてやおしゃれなんかでないことは身に沁みてわかっていた。そういった形で描かれた作品なら、感情移入はできそうにない、と思ったから。

だが、それは杞憂に終わった。僕が感じている代筆屋という仕事と、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』にて描かれている代筆屋――本作の中では、”自動手記人形”という言葉が使われているが、はすごく近かった。もちろん、置かれている時代や背景は随分と異なる。簡単に整理しておく。

▼ヴァイオレット
主人公であるヴァイオレットは両親を知ることなく育ち、戦時中、人間ではなく「戦う武器」として過ごす日々。そんな彼女が、ある日、ギルベルト少佐という軍人に預けられることとなる。少佐は、ヴァイオレットを武器ではなく、ひとりの人間として育てようとし、ヴァイオレットもそんな少佐に信頼を寄せるようになる。戦時中に訪れた束の間の平穏な時間。だが、最後の戦いとして少佐とともに赴いた戦場で、ヴァイオレットは両腕を、少佐は命を失うことに。

病院で目覚めたヴァイオレット。砲弾で吹き飛ばされた両腕は義手となっていた。その後、ヴァイオレットの目覚めを待っていたホッジンズ中佐の誘いに応じ、中佐が経営する民間企業で自動手記人形=代筆屋、として働くことになる。

▼僕
サラリーマンの父と、専業主婦のもと、すくすくと育つ。都内のIT企業で働くかたわら、ラブレター代筆屋として活動。


生い立ちや、置かれた環境においては、何ら共通項を見出すことはできない。昭和の終わり頃に生まれた僕は、戦争の空気を知らないし、幸いにして両腕もある。ヴァイオレットの瞳は青いが、僕のそれは黒い。

ただ、ポイントはそこではなく、代筆屋として成長してゆく過程や、仕事上における苦悩、葛藤。そして、人や愛に対峙する姿勢。そこにある。それらの点においては、すごく共感できたし、多くの共通項を見出すことができた。

以降、1つ1つ取り上げて、話をしていくこととする。

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「”愛してる”を知りたいのです」

少佐は、砲弾に見舞われ、息絶える間際、ヴァイオレットに告げる。
「心から、愛してる」、と。だが、少佐と出逢うまで、愛に触れることなく育ってきたヴァイオレットには、「愛してる」の意味がわからない。それでも、事切れんとする少佐を前にして、涙はとめどなく流れる。その涙こそが、愛だとはわからずに。

少佐を抱き上げるための両腕は失われた。血だらけで座り込む少佐の服を口で噛みしめ、なんとかその場から移動させようとするヴァイオレット。

耳をつんざく轟音と、身体が宙に浮くような衝撃。気付いた時には、ヴァイオレットは病院のベッドの上。そこに、少佐の姿はなかった。

蘇る少佐との最後の記憶。そして反芻する、「心から愛してる」。その意味を知りたい。「愛してる」を知りたい。それを動機として、ヴァイオレットは代筆屋として働くことを志願する。代筆屋として愛を綴る中で、その意味を理解できる日が来ることを願い。



ヴァイオレットとは違い、僕は両親の顔を知っている。また、十分な愛を注がれて育った。それでも、「愛ってなに?」と問われたら、的確に答えることはできそうにない。愛というものと正面から向き合うことを避けてきたから。その必要性を感じなかったし、照れくさくもあった。

僕の周りにいる人で、僕のことを愛深き人、と思っている人はきっといないだろう。むしろ、感情がない、情が薄いと思われているように思う。否定はしない。自分でも思い当たるふしはある。

それでも、代筆屋をはじめる前と、現在とでは、ずいぶんと違ってきている。代筆屋として、愛を前に見悶える依頼者と向き合い、愛の言葉を聴き、愛を綴り、時に成就し、時に破れることを繰り返す中で、愛の輪郭くらいはわかるようになってきた。

こぼれ落ちた愛を嘆く依頼者があれば、共に頭を垂れる。愛のはじまりに胸を躍らす依頼者があれば、共に頬を緩める。そういったことが自然にできる程度には、愛がわかってきた。それでも、まだまだ欠けたところの多い人間ではあるが。


僕は愛を熟知しているから代筆屋をしているのではない。他者に注ぐことができるほど豊潤な愛を持ち合わせているから代筆屋をしているわけでもない。それでも、愛を知りたいと思っているし、愛ある人間になりたいと思っている。だから、代筆屋をしている。

ヴァイオレットが1話から心ある人間で、愛に満ちた人物だったら、僕はそれ以上観るのを止めていたと思う。でも、違った。ヴァイオレットは愛を知らなかった。それでも、誰よりも、愛を知りたいと、「愛してる」を知りたいと願っていた。

全話、観ようと思った。

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「任務、いえ、課題です。いえ・・・手紙です」

僕が代筆屋として活動を始めたのは2014年からだが、「代筆屋です」と言えるようになったのは、わりと最近になってからのように思う。

何を持って代筆屋とするか?看板を掲げたら?名刺に印字したら?
答えは様々だろうが、僕はこう思う。手紙を書けるようになったら、と。


前述したように、ヴァイオレットは愛を知るために代筆屋となったわけだが、物心ついた時から武器として戦場に駆り出され、上官の命令にのみ沿って動いてきたヴァイオレットにとって、代筆屋も、手紙を書くという行為も、”任務”でしかなかった。おのずと、書く手紙も感情を排し、事実だけを列挙した報告書のようなものになり、クライアントから叱責を受けることになる。

僕もそうだった。代筆屋という仕事を、任務、ビジネスとして考えていた。そもそも代筆屋を始めたきっかけは、会社員として働く中で、言い知れない物足りなさを感じ、個人として何かビジネスを始めたいな、と思ったのがきっかけだ。

代筆屋を始めようと思ったのではない。ビジネスを始めようと思った。プレゼンテーション指導や面接指導など、いくつかあるサービスのうちのひとつとして、ラブレター代筆屋は始めたに過ぎない。そこには、使命も志も、心も、何もなかった。おもしろそう、というなんとなくの感覚だけ。

今振り返ると、むかしの僕が書いていたのは手紙ではなかった。心がない、という意味では僕が書いていたのもヴァイオレット同様、報告書だ。誰かの心に届けよう、だとか、誰かの心をあますことなく刻もうだとか、そんなことは考えもしなかった。

それっぽい表現で、それっぽい文章を書こう。そんな程度のことしか考えていなかったように思う。

それでも、そんな僕に、ある人は「死期の迫ったパートナーへの感謝の気持ち」を託し、ある人は「恋しい人への焦がれる想い」を託し、またある人は、「自分のもとを去っていった人への未練」を僕に託した。

数多の気持ちを託される中で、いつしか、感情を排除することなどできなくなった。気づくと、僕は"手紙"を書けるようになっていた。

代筆屋になれた。そう思った。

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「人が話している言葉の中から、伝えたい本当の心をすくいあげるものなのです」


「本をたくさん読まれるんですか?」だとか、「文章を書くのが得意なんですか」と問われることがままある。読むのは月に2~3冊だし、書くのが得意とも思わない。きっと、こういった質問が寄せられる背景としては、代筆屋=文章を書く人、と思われているからだろう。それが、間違いとは言わない。でも、正しいとも思わない。

とは言え、僕自身、代筆屋を始めた当初は、書く仕事、という認識でいた。頼りにすべきは文章力だとか、語彙力だとか、そういったものだと思っていた。でも、違った。

書くべき気持ちも、綴るべき言葉も、僕が考えるまでもなく、依頼者の胸の中に既にある。ただ、本当に告白していいのか?という迷いや、もし駄目だったら・・・という逡巡など、多くの想いが胸の内に渦巻いているがゆえに、自分の中にある言葉を見つけだせずにいる。気持ちが整理できずにいる。

代筆屋の仕事は、書くことではない。整理のつかない依頼者の思考の中に手を入れ、迷いや逡巡をふるいにかけ、最後の最後、手のひらの上に残った一途な想いやひとかけらの言葉を依頼者にそっと差し出す。そういった仕事だと思う。

ヴァイオレットは代筆屋になるため、代筆屋を養成するための学校に通い始める。そこの教師がヴァイオレットにこう告げる。

「手紙とは、人の心を伝えるもの。よきドール(=自動手記人形)とは、人が話している言葉の中から、伝えたい本当の心をすくいあげるものなのです」

依頼者の気持ちを代弁するではなく、代筆するではなく、まさに、すくいあげる、という感覚。すごく的を得た表現で、作者は代筆をしたことがあるのだろうか、とすら思った。

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「ひと言だけで、大切な気持ちを伝えることができるのです」


たまに、必要に駆られて過去に書いたラブレターを見返すことがある。気負い過ぎ。文章が固い。思うことは色々とあるのだが、そのうちのひとつとして、文章がとにかく長い、と感じる。2000文字、3000文字と平気で書いていたりする。文章の長さ、言葉の絢爛さが、愛の深さだといわんばかりに。

人が人に伝えたい感情は、文字数にすればとてもシンプル。好意を伝えたいのなら「あいしてる」の5文字。感謝も「ありがとう」の5文字。幸せであることを伝えたいなら「しあわせ」の4文字。それらを伝えるのに2000も3000も必要なわけがない。

人は嘘をつくとき、繕おうとして、つい多弁になる。手紙もそれと同じだ。偽りを書こうとするから、長くなってしまうのだ。その意味で、長々と愛の言葉を綴っていた頃の僕は、依頼者の代わりに書こうとしていただけであり、依頼者の想いを汲み取って書こうとはしていなかったのだと思う。自分の感情ではないから、誤魔化すように、文章が長くなってしまったのだ。


『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の第3話は、両親を戦争で失った兄と、その妹の話だ。兄であるスペンサーは、両親が亡くなったのは自分のせいだと自身を責め、酒に頼る自暴自棄な日々を過ごす。そんな兄を案じる妹のルクリア。ルクリアはヴァイオレットと同じく代筆屋であるものの、兄のことになると、どう手紙を書いていいかわからず、兄への感謝の気持ちを伝えられずにいた。

そんなルクリアの気持ちを知ったヴァイオレットは、手紙の代筆をさせてほしいとルクリアに伝える。ただ、この時点で、ヴァイオレットは感情を込めた手紙を書くことはできておらず、報告書のように乾いた文章しか書けていなかった。


物語の展開的に、ここでヴァイオレットが心揺さぶる手紙を代筆するだろうことは想像できた。ただ、僕は少し不安だった。ヴァイオレットの成長を見せるという意味では、ここは山場だ。どのような手紙を書くかは非常に重要になる。だからこそ、これでもかといわばかりの美辞麗句を並べ立てた手紙が出てくる気がしたのだ。

それでは興覚めになってしまう。せっかく、1話、2話とその世界観に入り込んできたのに。


結果からいえば、それは余計な心配だった。詳細は語らない。自身の目で、耳でたしかめてほしい。ひとつだけ伝えておくと、物語の終わりは、ルクリアのこのようなセリフで終わる。

「時に手紙は、たくさんの美しい言葉を並べるより、ひと言だけで、大切な気持ちを伝えることができるのです」

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「人の気持ちは繊細で、誰もがすべての想いを口にするわけではなく、うらはらだったり、嘘をつく場合もあり、正確に把握するのは、わたしにはとても困難なのです」

代筆屋をしていると、人の気持ちがわかる人、みたいに思われることがあるが、それは大いなる誤解だ。わからない。人が必ずしも本心を話しているとは限らないし、本心を話そうとしていてもそれが正確に言葉として吐き出されているかもわからない。もっと言えば、40年ほど生きてきて、自分のことすら完全には把握できていないのに、他人のことを「わかる」などと言えるはずもない。

それでも、わかろうとはする。代筆をする上で、まずは手紙を渡したい相手のことや、伝えたい想いなど、色々とヒアリングをさせてもらう。依頼者が都内近郊に住んでいれば、原則は、直接会って話を聞かせてもらうようにしている。人が人のことをわかることはできないと僕はわかっているから、少しでも、わかろうとする。言葉だけじゃなく、その人の息遣いや、口調、所作、服装、注文する飲み物や、食べ物。少しでも多くの情報に触れ、わかろうとする。


ヴァイオレットもそう。わかろうとする。代筆屋として経験を積む中で、人の気持ちを以前より理解できるようになったと思っていたものの、彼女は、壁にぶつかる。

「人の気持ちは繊細で、誰もがすべての想いを口にするわけではなく、うらはらだったり、嘘をつく場合もあり、正確に把握するのは、わたしにはとても困難なのです」

そう、こぼす。さりとて、放棄するわけではない。罵倒されようと、疎んじられようと、じっと依頼者のそばに立ち、寄り添い、わかろうとする。だから依頼者は、最終的に、ヴァイオレットに心開く。

今後、何年代筆屋を続け、何通のラブレターを書こうとも、僕が依頼者のことを正確にわかることはないだろう。でも、それでいいと思う。「僕は君の悲しみがわかるよ」とうそぶく男ほど信用ならないものはないのと同じく、「依頼者の気持ちがわかる」という代筆屋ほど疑わしいものはない。

わからないからこそ、依頼者と対面し、依頼者の話に耳を傾け、わかろうとする。その姿勢が大事なのではないだろうか。

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「愛してるはとても勇気のいる言葉なのですね。受け入れられないとそこにいたくなるくらいに」


僕が過去に書いてきたラブレターの中で、「愛してる」と書いたことは、片手で数えられる程度しかない。滅多なことでは、「愛してる」とは綴らない。

理由のひとつは、「愛してる」という言葉があまりにも安くなってしまったこと。J-POPの中で、テレビドラマの中で、LINEでのやり取りにおいて、いつしか、「愛してる」は「おはよう」くらいの軽さで使われるようになってしまった。それがゆえに、もはや、想いを伝える言葉として、そぐわないのではないかと思うから。

そしてもうひとつの理由は、代筆屋として何人もの依頼者と対峙する中で、「愛してる」の重さを知ったから。依頼者の中には、一、二年ではなく、十年、二十年と人知れず想いを寄せてきた相手に、「愛してる」を告げようとする人もいる。そんな時、僕の手は止まる。僕が「愛してる」と書くことで、二十年続いた想いに、シロなのかクロなのかは別として、結論が出る。正直なところ、こわい。まさに、人生を左右してしまう。

「愛してるはとても勇気のいる言葉なのですね。受け入れられないとそこにいたくなるくらいに」

ヴァイオレットの言うように、「愛してる」は勇気のいる言葉だ。少なくとも、軽快なリズムに乗せて、口笛交じりにつぶやけるような言葉ではない。もっと重くて、もっと尊い言葉だ。

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「人を結ぶ手紙を書くのか?多くの人を殺したその手で」


代筆屋として人の想いに触れる中で、ヴァイオレットは、かつて自分が殺めてきた人たちにも、愛した人、愛された人がいたことに気づく。そして、自分に手紙を書く資格があるのか、と苦悶する。

この葛藤はわかる。代筆屋を始めた頃は気にもしていなかったが、活動を通して、依頼者の純な心に触れる中で、僕はこの人の気持ちを代筆するにふさわいし人間なのだろうか、と思うことがある。

10年付き合ってきたパートナーへのプロポーズの手紙。20年想いを寄せてきた人への告白の手紙。30年連れ添ってきた伴侶への感謝の手紙。僕でいいのだろうか?依頼者が想いを重ねてきた年数を背負うに値するのか、と思うことが。

幸いにして、罰のない人生を過ごしてきた。それでも、罪がないわけじゃない。聖人君子として生きてきたわけではない。ヴァイオレットのように人を殺めたことはなくとも、人を傷つけたこと、人を裏切ったことはある。


「人を結ぶ手紙を書くのか?多くの人を殺したその手で」

代筆屋として軌道に乗ってきたヴァイオレットに向けられた言葉。開きかけたヴァイオレットの心は、再び、閉じかける。過去の業火に見舞われるヴァイオレット。それでもヴァイオレットは立ち上がり、代筆屋を続けることを決意する。

「してきたことは消せない」

この後に続く、自身の雇い主であるホッジンズ中佐の言葉で、ヴァイオレットは俯けていた顔を、前に向ける。

「でも、君が自動手記人形としてやってきたことも消えないんだよ」

業火が消えたわけではない。罪は消えない。それでも、自分を頼りにしてくれる依頼者が、そして、仲間がいるから。罰は消えない。それでも、代筆屋として刻んできた善行も消えないから。


ヴァイオレットも、僕も、代筆屋を続けてゆく。


最後に


京都アニメーション。昨年に起きた凄惨な事件はもちろん知っていた。日本のアニメーションを支えてきた偉大なる会社であるということも、事件時の報道で知った。でも、自身の肌感覚としてはわからなかった。京都アニメーションが制作したアニメがどれなのかを知らなかったし、アニメが身近にある人生でもなかった。

ただ、今回、知った。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が京都アニメーションの制作であることを。突き付けられた。京都アニメーションと、そこで働くクリエイターたちの偉大さを。

綿々と書いてきたように、すばらしい物語だった。だが、それ以上に、作画の美しさに圧倒された。星を湛える夜空。風に揺られる草花。滴る雫。薄暮に佇む街並み。たなびくヴァイオレットの髪、そして、はためくスカート。笑顔を浮かべる顔。怒りに震える拳。哀しみにそまる青い瞳。それらを前に、僕は息を呑んだ。


このすばらしき世界を創り上げたクリエイターたちに心からの敬意を。
そして、その身に起きた悲劇に、深い哀悼の意を。

ラブレター代筆屋。告白、プロポーズ、復縁、感謝、計100通以上のラブレターを代筆。「アウト×デラックス」「ABChanZoo」「おはよう日本」等出演。HP→http://dsworks.jp Twitter→@DenshinWorks