人生がいきなり変わってしまった時のことの話25

フリーランスになって自由な時間を取れるようになると生活が一変してしまった。
電波塔自身が他者との接触が極端に減ってしまったが為に、三次元よりも彼方の世界に引っ張られがちになった。

それだけじゃない。研究員のちょっかいはコントロールできなかった。

研究員の彼らには別の宇宙人(同じ星の系統の人)からフォローが入ったみたいでたまに電波塔が全然知らない辻褄が合わないことを聞かれた。
ちょいちょいちょっかいをだされるけど、理屈で話せば最終的にはなんとかなる。
ただの質問攻め、イメージ、弁論対決など。
強制イベントのように発信されてくるから相手をせざるを得ないと言う方が正しい。
とにかく見下してるし、負けず嫌いだし、死ぬほど疲れる。
あと、こちら側への恐怖感も多少はあったと思う。
ほとんどただの攻略対象だったけど。

科学者の中に「俺たちは未開の人だから多少の無理や無茶失敗は許される!」と思っている人間がいた。

彼らは共感力が低く、サイコパス気質ではあるのだろうけど頭が良かったので基本的には反社会的態度は取らないし「理屈」がわかれば納得する。
恐ろしく勉強熱心なので育てる見込みがあると思われているんだろう。

とにかく失礼で、私を自分と対等な生物だと思ってなかった。

それでも彼らは科学の進歩と人類の発展を目指している。
なので破壊的で破滅的では無かった。
また、研究結果よりも個人の勝利を優先してしまうような人物たちでも無かった。
例えて言うと、毒の研究のために自分で毒を飲むような人間たちだ。
個人で足を引っ張りあうことの効率の悪さをよくよく知っているのだと思う。

研究結果が何より最優先なのだときちんと貫ける貪欲さが宇宙人的に良かったんだろう。

電波塔が忙しい脳内の抱えたまま、駅の連絡通路で「仕事させて!」ど脳内で怒鳴っていた時。
また全然別のところから「アンシャーリー」と何度も呼ぶ声が聞こえた。
アン・シャーリーは多分アンチシャーリーの事だと思う。
彼らはシャーリーではないものを呼んでいた。

それから電波塔は後頭部を殴られるような衝撃が走って何かがバリンと割れた。

まともに看板の文字が読めない。
方向も分からない。
歩いている距離も掴めない。
慣れている駅で3時間も迷ってしまい、打ち合わせに行けず私は取引先を逃した。


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