THE イナズマ戦隊で泣いた話
私はメンタルを壊したことがあります。
新卒で入社した会社でうつ病を患ってしまったんです。別にブラック企業ではない……というか全体で見るとホワイト企業だったと思います。他の部署はわからないけれど、私の平均残業時間は80時間程度(もうちょっと短かったかも)で、極端にメンタルを病むレベルではなかったと思います。
ただ、とにかく業務があいませんでした。主に社内向けの業務だったのですがのです、仕事が溜まりまくっていて常にクレームの内線が鳴り止まない状況、精神的な負荷は高かったです。
そんな状況で、今思うとすでに異常をきたし始めていたのだと思うけど、ひたすらにアルコールに溺れていきました。といっても1人でストロングゼロをキメるようなスタイルではなく、先輩や後輩を誘って飲みまくっていました。「得意技は『アルコール』」なんて意味不明なことを言って誤魔化しながら飲んでいましたね。
そんな限界の精神状態の時にずっと聞いていたのが「THE イナズマ戦隊」でした。キャッチーなサウンド、情熱的なボーカル、ストレートな歌詞……魅力は色々あるけれど、難しいことを抜きにパワーをくれるバンドでした。
細かいジャンル分けはわからないけど、いわゆる青春パンクというジャンルだと思います。
青春パンクはめちゃくちゃ流行ったらしいです。微妙に世代がズレていたのと、中高生を中心に流行っていたらしく、20歳過ぎの新卒会社員がハマるにはちょっと遅かったと思います。
でも当時の私はこのバンドの楽曲に支えられ、毎朝聞きながら、カンフル剤のようにしてギリギリのラインで自分を奮い立たせていました。結局限界が来てしまってメンタルを壊してしまったのだけど。
そして約10年後、「ARABAKI ROCK FEST.」というフェスにイナズマ戦隊が出演することがわかりました。元々このフェスには参加する予定だったし、別に今は病んでないので「ひさびさに聞いてみようかな」という軽い気持ちでした。
ですが、パフォーマンスが始まると、気がついたら涙が止まりませんでした。周りは超盛り上がっているのに、1人で最後まで泣いてました。
懐かしさとか、辛かったあの時を思い出したとか、そういうことじゃなくて、シンプルに心を揺らすパワーがあったんです。
最初から最後まで泣いていたんだけど、限界だったのが「33歳」という曲で、ボーカルの上中丈弥さんが、33歳で亡くなった父親に向けた楽曲です。
この曲に色々な思いを重ねてしまいました。
1つは私の父親に対してです。私の父親も結構無茶な人で、いろんな人に色々迷惑かけてたみたい。子供から見てもクレイジーな考え方をしているところもあったけど、父親らしく接してくれた。そんな父親の姿を思い出しました。
私には子供はいないけれど、誰かからそう思われるような人間になれたのかなって、私が死んだ時に葬式で誰かが思ってくれるのかなって、そんな感情や思いが一気に重なったんです。
他の曲も含めて10年ぶりに聴いたイナズマ戦隊は、年は取っていたけれどやっぱり変わらずに青春で、一緒に過ごした数十分は最高の時間でした。ずっと泣いてたけど。
そして2020年、あらゆるフェスが中止・延期に追い込まれた(オンラインでやってくれたフェスもあるけどね)。来年こそは何事もなかったように夏フェスが開催されて、思い切り笑って泣いて騒げるような、そんな夏が来てほしいなって。
最後にこれを書きながらまた泣いた曲を貼っておきます。
ライター:咲文でんこ
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