第五夜 美斗能麻具波比 後編
「『古事記』に諾冊二尊が美斗能麻具波比(みとのまぐはい)を為し給へりと云ふ事あり。「美斗」は御所(みと)(寝室)にて、「麻」はうまく、「具波比」はくひあひ(交接)の意なりと云ふ」
神々がまぐわって、この国は生まれた。
太古、日本を造られたイザナギとイザナミが交わった時、まずイザナミの方から誘い、そのためにヒルコという異形の者が産まれたという。
私から誘うことで、二人の関係は、何か正しくないものを産んでしまうのかもしれない。
でも、私はもう我慢できなかった。
私のために打たれた、その体が愛おしかった。
幼いとばかり思っていた拾の体だが、その部分は、もう立派に男だった。
私の手が、その部分を撫でさすると、拾の口から、ため息ともあえぎともつかないものが洩れた。
私は、その先端を、すでに濡れそぼった私の入り口にあてがい、ゆっくりと腰を下ろした。
「わかる……? ……先端のふくらみを……呑み込んだ……」
「はい……」
私はゆっくりと腰を沈めた。
先端が、奥に届いた。
「わかる……? 根元まで呑み込んだのが……先が奥に……届いているのが……」
「はい……あっ、いけません!」
何が「いけない」のか、私にはすぐにわかった。
でも、構わなかった。
触れ合っている先端と奥を、さらに押しつけるようにした。
どくっ。どくどくっ。
拾の愛が、私の中を満たした。
確かな満足を得た私が、拾からいったん離れようとすると、拾の手が私の腰を押さえた。
それは、わたしの中でむくむくと、もう一度硬さをと大きさを取り戻しつつあった。
私は、固く拾を抱き締めた。
一塊となった二人は、横にくるりと転がり、今度は拾が私の上に乗った。
「いいわ……今度は……あなたが動いて……」
拾が、最初はゆっくりと、そして次第に激しく、腰を動かしはじめた。
肉と肉が擦れ、先端が奥を打つ。私はその度に声をあげた。
そして激しい白い塊が、再び私の奥を打つ。
私と拾は、夜が明けるまで、何度も何度も、愛し合った。