第七夜 とりかへばや 後編

「とりかへばや物語」とは、平安後期に成立した物語である。女性的な性格の男児と、男性的な性格の女児がいた。どちらが兄か姉かについての記述はないから、双子だったのかもしれない。
 彼らはその性格のまま成長し、男児は女房として宮廷に出仕、女児も若君として宮廷に出仕する。そしてそれぞれ、正体を知った相手と恋に落ち、女児はついに身ごもってしまい、男児も正体がバレそうになって、窮地に陥る。
 結局彼らは、互いに入れ替わって、男児は若君として、女児は姫君として、それぞれ栄達と幸せをつかむという物語である。
 生まれ持った性格よりも、生まれ持った性別の方が勝利するというこの結末は、ジェンダーが多様化した現代においては、物足りなくも感じられる。しかし、物語が今の形にまとめられるまでには、幾度もの改変を経ているので、あるいは二人が、それぞれ内面の性別に従って幸せをつかむエンディングも、存在したかもしれない。


 私は、侍女の装束に身を包んだ拾をじっと見る。
 恥ずかしげな拾が、本当に可愛い。
「とても男の子には見えないわ」
 私が言うと、
「私は男の子にございます」
 口を尖らせる拾が、本当に可愛い。
 私は、拾の背中に回り込むと、そっと拾を抱き締め、その男性自身に手を伸ばした。
「そうね。ここは確かに男の子だわ」
 そこは、私の手の中でむくむくと大きさと硬さを増していった。
「ああ、奥方さま……」
「女の子の格好をして、ここをこんなにしているなんて、なんていけない子かしら」
 私がちょっと強めに彼自身を握りしめると、拾の全身がびくっと震えた。
 竿を握り、ゆっくりと上下に動かす。先端からにじみ出た汁を手のひらにつけ、亀頭を撫でさする。
「いけません、奥方さま、このままでは……」
「そうね。このままだと、袴が汚れてしまうわね。だけど……」
 私は、彼の耳たぶを、軽く噛みながら囁く。
「汚しておしまいなさい。そして、あの、何も知らない女に、洗わせてやりましょうよ」
「あっ!!」
 ほとばしったものは、私の手と、拾の袴を濡らした。
 私は、拾に見せつけるようにして、指に粘り付く拾の情熱のほとばしりを、舐めて見せた。

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