「光」


私は名前を残したいと思わない

人々に自分の名前を覚えて欲しいとは思わない

自分の本を読んで欲しいとも思わない。

私は人類はあと40万年は存続すると思う。

多分、40万年後にはシェイクスピアもゲーテも誰にも読まれないだろう

だから、名を残すことそのものに興味はない

私が書いたものを40万年後も読んで欲しいなんて思わない

ただ、私は、私の瞳の中の光を、次の誰かに残したい

私の言葉は消え去るけれど、今、私の瞳で光っているもの。それは永遠に残るだろう。

私の名前は消え去るけれど、私の瞳の奥で光るものは、誰かの光となるだろう。

そこに私の面影がある。名前は消えても、言葉は消えても、私はそこにいる。

私の瞳の中の光は、母の、父の、祖母の、妹の、学校の先生の、シェイクスピアの、ゲーテの、ラッセルの、孔子の、ドストエフスキーの光である。

私はこの光に、自分の光を付け足して、他の誰かの光になる。

母も父も祖母も妹も学校の先生もシェイクスピアもゲーテも孔子もドストエフスキーも

みんなみんな消えるだろう

40万年後には誰も覚えてはくれないだろう

誰も読んではくれないだろう

しかし彼らの光は、私の光となったし、私の光も誰かの光になる

それが40万年続くのだ。

私は私の光をもっともっと輝かして

次の誰かに渡すだろう

これを読んでるあなたにも、かすかにかすかに私の光が宿っている。

あなたはあなたの光を磨いて、他の誰かに渡すのだ。

誰も読まず、名は消え去り、日本という国が滅びても

光だけは滅び得ない

もしかしたら、人類が滅びても、別の動物の目の奥に、人類たちの光があるかもしれない

そうしてずっと生きていく。

私は名を残したいとは思わない、読んで欲しいとも思わない。

私は私の光でもって世界を明るく照らしたい

プチ文学賞に使わせたいただきます。ご賛同ありがとうございます! 一緒に文学界を盛り上げましょう!