「撃たれるのは、誰」

銃を握りしめていた。想像していた感覚より、ありきたりな握り心地だった。所詮、鉄は鉄でしかないのだ。獲物は私が来るのを待っている。狩られるのは奴らであって、私ではないのだ。もし狩られるのが、私の方、例えば、私や、私の叔父、叔父の奥さんや、いとこのメリーだったりすれば、私の方としては申し分ないのだが。狩るのは私、狩られるのは奴ら… 。なのだ。
おじさんの犬がバウバウと言って、獲物を追い詰めているようだ。私は叔父さんににらまれ、「撃て」と言われる。私としても、もちろん、撃ちたくないわけではない。しかし、私はむしろ、撃たれたかった。撃たれるのは無理でも、噛みつかれたかった。どうも、それは叶いそうにないので、仕方なく、引き金を引く。バァーンッと破裂音がした。次に聞こえたのは、女の悲鳴だ。叔父の奥さんと、いとこのメリーが叫んでいる。ああ、なるほど、私は犬を撃ったんだな。彼ら家族の一員である犬の一匹を撃ち殺したんだな。私の発した鉛玉が、犬の内臓を貫き、破壊したんだな。と、すると、やはり私はあの獲物に狩られたということもできるのだな。ならば、こんなにうれしいことはない… 。


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