「ある娼婦の運命」ショートショート
ホテル行く?と彼がいうと、彼女は目をまん丸くした。憤りと幻滅。彼に対する憎しみは彼女を活動的にし、彼から逃げると言う選択をとらせた。彼女は終始彼に対して無言を貫き通した。それは賢い選択だった。彼と会話をすれば言葉のアヘンで中毒になってしまうことを、彼女は知っていたのだ。白痴の女でも経験からか、このような知恵を編み出したことは、彼をほんの少しだけ驚かせた。
彼女の怒りと悲しみは彼が引き起こしたものだが、彼は彼女を本当に憐れに思った。体を売り、行きずりの男に金を蕩尽し、人生で初め