南ちゃんキャンセル事件
かつて麻雀というものがそれなりにブームだった
それなりにフリーよりもセットを囲み馴染みあるメンバーと毎日麻雀に明け暮れていた。
セットにはセットの良さがありその1番としてはルールとレートに自由度があるということだ
当時は今どきのピンフリーよりほんのちょっと高めだった
囲むメンバーも一定数いたんだが、ある程度長く打つと負けがこんでくる人がちらほら
そのメンバーのひとりで負け頭のEくんがいた
とあるバーのオーナーだったが収入以上に負けがこみあげくはヒモ同然だったから女から引っ張ったりちょっと怖い人からも借りたりして参加していた
そのちょっと怖い人というのが本職ですら手がつけられない暴れん坊で特技はケンカと金儲けというダブル役満みたいな破壊力のある地元の大先輩だった
もちろん知らなければ知らなくていいような部類の人だったが、E君はなにをトチ狂ったのかこの九州産のミナミの帝王から高利で金を借りたのだ
しかも借りた金でセット麻雀に誘ってきた上に、下手なのに一儲けしようとサシウマまで握っていた
もちろんだいたいは負けてたが、たまたまある日短時間でバカみたいにツキにツキまくって勝ってた日があった
これでラストにしようかという最終ゲームで事件は起きた
まずラストゲームの東2局が始まる前に勝った金で遊びたかったのだろうデリヘルをみんなの前で
「あーもしもし?今日ってミナミちゃん出勤ですよね?‥‥次は?はいはい、じゃあ夕方5時から90分コースでおねがいします」とニヤニヤしながらかけていた
正直いえばこのニヤけ面を見てイラッとした、しかもその金の出どころが俺の金も含まれている上に目の前でデリヘル頼んでたのと生理的にEの顔が嫌いだった
ちなみに
E君が借りていた先輩は俺らのグループにもはいっていたし、その人はE君が借りた金で麻雀しているのは知っていたしさらにいうならこのE君と打っていた日に大勝ちしてどこの雀荘で打っているかも知っていたのである
それを踏まえてこのあとの話を聞いていただきたい
話は戻るが、このE君がニヤニヤしながらデリヘルを呼んで通話終えた瞬間に俺たち3人はみんな「あ‥‥‥」と絶句した
なぜなら鬼の形相したその怖い先輩がいたからである
いきなり後ろからE君はゲンコツをもらい、イスから転げ落ちあまりの痛さにもだえ苦しんでた
間髪入れずに「てめぇ人から借りた金で麻雀して、勝ったらデリヘルか?いい度胸してんな!金かえせボケ」と言われめちゃめちゃ怒られていた
内心ざまぁみろって思いつつ、先輩のあまりのお怒り具合に静かに自分たちが悪くもないのに粛々と聞いていた
突然Eはその先輩に泣いて必死で謝りちょっと電話させてくださいと一言
E君「あのすいません‥5時から予約入れていたEですがみなみちゃんキャンセルでおねがいします」
と必死に言った
ちなみにEは九州で三本の指にはいる特級アホだから後でキャンセルすればいいのに怒られてる最中にキャンセルしたのだ
さすがにこれには俺等3人は今じゃねぇだろと大爆笑した
もちろん先輩は一切笑っておらず2発目のゲンコツがお見舞いしていた
結果E君の収支はカラス銭だったので返済にまわされマイナス、とさらにキャンセル料のおまけつき
これが後に語り継がれる全員収支マイナスの東場でミナミちゃんキャンセル事件である
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