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あの日の象使いたちは今何をしてるのか

※デイリーポータルZの自由ポータルZでもう一息を頂きました!


2018年8月15日。僕は象使いになった。
ラオスの国家資格(※諸説あり)なので履歴書に書けたら面白いなーくらいの気持ちだったが、象乗りがめちゃくちゃ楽しかった。

あれから3年...僕はまだ象使いを活かした仕事には就いていない(履歴書の資格欄に書いたことはある)。
同じように晴れて象使いとなり日本へ戻った人は今どうしているのだろう。
市原ぞうの国でバリバリ働いてるのかな?

今回は未来の象使いたちに向けて、免許取得の流れを振り返りつつ、象使いたちの今を聞いてみた。

どうやって象使いになるの?

象使い免許はルアンパバーンの奥地にあるエレファントビレッジで取ることができる。
ちなみにルアンパバーンはラオスの北部に位置し、自然豊か。

ルアンパバーン国際空港上空。大自然〜!!
流れているのは有名なメコン川。

ツアーは現地での申込がオススメだ。日本からも申込できるが、現地のツアー会社が断然安い。
浮いたお金でうまい料理を腹いっぱい食べてほしい。

ラオビールとチャーハン。うまい、安い、早い、量多いとNEO吉野家みたいなお店がラオスにはたくさん。


象使いの朝は早い

申込を終えたら、いざ当日。

朝7:00、象使いを目指す者たちはルアンパバーン中心部から1時間ほどバスに揺られ、エレファントビレッジを目指す。

マリオカートでこんなコースあったよな...みたいな道をドコドコ走る。

到着後、午前中は観光客に混じって象乗り体験。ここでは専用の椅子が用意されており、象に直接座ることはない。

みんなで集合して

象にご飯上げつつ、

スリルある坂を下りながら山道をぐるっと1周して午前中は終了。

ここで象乗り体験の一行は帰路につき、象使いを目指す者たちはランチ休憩となる。

本家・象使い(若いお兄ちゃん)と象さん

午後。ここから本家・象使いの若いお兄ちゃんたちがビシビシ指導してくる。

その厳しさはさながら仮入部期間が終わったあとの中2の先輩のよう。
「お客様扱いはここまでだ!遊びじゃねーんだよ、遊びじゃ!」と言われていた気がしなくもない。

まずは15分で象と意思疎通を図るための単語暗記を命じられる。
頻出単語断トツNo.1は進めのパイパイ。

ホワイトボードの単語一覧をメモに転記していく。手を動かして、とにかく書いて覚えます。

最終的には単語メモを防水テープで手にぐるぐる巻いた。お中元でもらうハムもこんなにギューって巻かれていないだろうな。

ここからは象の背中に直接座らせてもらう。
象使い見習い1人に本家・象使いがマンツーマンで教えてくれる。手厚いOJTだ。

僕の先輩はお調子者で気の良い人だった。
レギュラーじゃないけど、後輩にも優しく、面白い...そんな感じ。

僕が日本人だと分かると先輩は時おりなんの脈絡もなく「あじぃのもとぉぉ」と叫んでいた。
味の素ってやっぱり凄いなと象に揺られながら思った。

肝心の乗り心地は...そんなに良くはない。
夜行バスで自分のベストポジションがなかなか決まらないあの感じに似てるかも。

でもそんな乗り心地を上回る高揚感。自分より何倍も大きい象に身をあずけ、自然のなかをどっしりどっしり歩いていく。
この感覚って日本では絶対味わえない。楽しかったなぁ。
象の毛がちくちくするのはご愛嬌。

メコン川を渡る象使い見習いの一行

そして象使い見習いたちに与えられる1番の試練...それがメコン川での象乗りだ。
皆さん知ってます…?
象って水遊び大好きなんですよ…テンション上がっちゃうんですよ。
テンション上がると暴れちゃうじゃないですか?

中にはそのまま振り落とされちゃう象使い見習いもいました。
メコン川の水なんて飲んだら絶対にお腹壊してしまう...とお腹よわよわU30神奈川県代表の僕は落とされぬよう必死でした。

大学受験のとき以上に落ちたくなかったかもしれません。

グリコのカフェオーレと同じ色味

こうして最終試練の川渡りを終えると、象たちを山まで送り、象使いのトレーニングは終了。

1日相棒となった象に感謝を告げ、晴れて象使いとなる。

これが免許証。一時期はちょっといい額縁を買って飾ってました。

象使いたちの今

ここからはそんな感動と共に免許を取得し帰国した象使いたちの今に迫っていきたい。

そう考え、こんなアンケートを作成した。

聞いたのは以下の5項目
・現在、象使いとして生計を立てているか?
・象使いになろうと思ったきっかけ
・象使いとして働くならどの動物園?
・象使いの免許を取って良かったこと
・これから象使いを目指す人へ一言


このアンケートを同じツアーの参加者3名と弟にお願いした。
さりげなく書いたが、我が家は僕と弟がともに象使い。
象使いの兄弟って令和の時代にウーパールーパー買っている人くらい珍しいのでは?

では1項目ずつ見ていこう。

残念ながら、象使いとして働いている人はいなかった。
そもそも動物園でどうやったら働けるの…?
調べると、資格や免許が必要なわけではなくそれぞれの動物園の採用試験を受けて合格することが条件らしい。
ということは我々もいつでもチャンスがある。むしろ象使いはかなりアピールになるのでは?

アンケート結果から分かるように象使いにはノリでなります
ちなみに探偵ナイトスクープを見ては僕の回答です…。象使いになった女の子2人が日本でもその能力を試してみたい…!という依頼。
そんな免許があるんだ!?と衝撃を受け、いつかは自分も...と思っていました。

象使いとしての希望就職先は上記の通り。
僕はパンダより象の人気を上げたいと思い上野動物園を選びました。
しかし、大本命市原ぞうの国を誰も選んでいないあたり、象使いたちのクセの強さが伺えます。

メリット多い…!そしてみんなの回答には同意しかない。
象使いは相手との円滑なコミュニケーションに大いに役立つ
クルマに乗れなくても象は乗れるって良いフレーズだな。
上記以外に僕はガタイの良い先輩から仕事で理不尽に怒られたとき、「体大きいってことはあんたは象だろ...?こっちは象使いだぞ!」と思い、その場をやり過ごせたことがある。
精神的にも強くなれるのだ。

最後は先輩象使いたちからのアドバイス。
未来の後輩たち、このアドバイス刮目せよ。

アンケートから

象使いたちは帰国後、みなそれぞれの道で頑張っていた。
象使いの免許を取ったのは無駄だったのか…?いや決してそんなことはない。
象使いであることは象の鼻のように長い長い僕らの人生をプラスの方向に動かしていた

みんなもぜひ象使いになってほしいゾウ。

象たちが山へ戻るので僕もそろそろ筆を置きます

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