素人ナチュールワイン屋の戯言 〜タンニン〜
フェノール類という化合物は非常に複雑で数も多いです。
大きく非フラボノイドとフラボノイドに分別されます。
非フラボノイドは小さな分子構造で、ワインの香りや成分に与える影響は少ないです。
一方でポリフェノールの一種であるフラボノイドは比較的大きな分子構造を持ちます。
ブドウの果皮や果梗や種に多く存在します。
もっとも重要な働きは抗酸化作用です。
白ワインに比較して赤ワインが長期保存に向いているのは
マセレーションという醸造過程があるからです。
マセレーションとは、果汁と一緒に果皮や種も漬け込む醸しのことです。
つまりはフラボノイドを多く含むからです。
フラボノイドのうち、ブドウに多く含まれているのが
以下で説明するタンニンとアントシアニンです。
タンニン
タンニンは紅茶や赤ワイン、柿などに豊富に含まれる化合物の総称です。
ブドウの果皮の特に外層の硬い細胞に内在するタンニンが
赤ワインの味に大きく影響します。
ブドウを雑に扱ったり、搾汁を過度に行ったりすると
果皮の細胞壁が壊れてタンニンの持つ力強い渋みが過剰に抽出されてしまいます。
ただし、タンニンや果皮よりも果梗や種に多く含まれ
特にタネに存在するタンニンはブドウに含まれる
全ポリフェノールの50%にもなることがあります。
従って、赤ワインの場合、より多くのタンニンを抽出したければ
除梗をせず房ごと醸すなどすればいいわけです。
また、ブドウは気温が高く日射量も多くなると熟しやすいという性質上
気候の変化によってポリフェノールの化学組成にも変化があります。
タンニンも例外でなく、ブドウが未熟な時は尖った青さが際立ちますが
熟す過程で柔らかく、親しみやすい味わいになります。
このように産地の気候で大きく変化するタンニンは
赤ワインの個性や味わいに大きな影響を与えます。
例えば、ロワールやボルドーのような冷涼な地域では
熟すとはいえ硬さのあるタンニンとなり
オーストラリアやチリのような温暖な地域では丸みを帯びたタンニンとなります。
オルタナチュール。
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