合気道 ベクトルの武道
少し前にNHKで放送していた武術の番組があって、たまたまザッピングで引っ掛かって、寝る前にボーッとしながら見ていたのですが、達人たちの技に切れに、思わず目が覚めてシャキーンとしました。
それ以来、暇な時には剣術や居合術、ジークンドーや合気道などの動画を視るようになりました。なかでも、合気道の動画には目を奪われました。合気道は格闘技と言うより護身術に近く、相手の力をうまく利用して相手を無力化する技です。
最近見た動画では、白川竜次先生の動画に釘付けになりました。白川先生は細身で華奢(に見える)外見をしていますが、自分の体重をはるかに超えるプロレスラーや元・力士などを軽々と投げ飛ばします。普通に考えれば、60キロくらいの体重の人が、120キロもある大男を投げ飛ばすのは不可能に思えますが、実際に実演しています。
白川先生は若手の中ではピカイチの達人ですが、上には上がいます。既に鬼籍に入っておられますが、塩田剛三さんという達人がいました。塩田さんは身長154cm、体重46kgと小柄な体格ながら”不世出の達人”と評されていました。達人の中の達人である塩田さんは、格闘マンガ『グラップラー刃牙』の登場人物である渋川剛気のモデルとも言われています。渋川剛気の設定が身長155cm、体重47kgなので、数字を1つだけ盛った設定にしているみたいです。
実在の達人である塩田剛三さんの生前の映像の一部は、YouTubeで見ることはできますが、「相手がわざと回ってるんじゃないの?」と思えるくらい、複数の弟子たちをゴロゴロと床に転がしています。
ここからは合気道の経験が全くない素人の解釈です。私には合気道は『ベクトルの武道』だと思いました。ベクトルとは、大きさと方向(向き)を持つ量のことで、高校の数学や物理に出てくる概念です。例えば、大きな力に対抗して、その力を押しのけようとすれば、相手の力以上の大きな力が必要になります。しかし、大きな力でも、正面から受けるのではなく、力の方向をずらしてやれば、大きな力を小さな力で受け流すことができます。合気道は、理に適った”合理的な武道”だと思いました。
柔道にも多少、”回転”というベクトルの要素が入っていますが、空手は直線的で回転とは無縁です。太極拳は健康体操のイメージが強いですが、合気道と同様に円(回転)を基本とした武術になっています。
動画を視ていると、体力も経験もないのに、自分が投げ飛ばしているような感覚になることができます。だから人気があるのかな?。
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