子供の頃は、煮豆が大好きでした。しかし、いくら好きだからと言って、そんなに毎日食べられるわけではありません。正直に言うと、そんなに裕福ではない家庭では、煮豆のような副菜は優先順位が高くありませんでした。なので、給食で食べる以外、家では出てくることはありませんでした。
食べられないと食べたくなるのが人情です。小学生の頃は、頭の中が”煮豆”のことでいっぱいでした。そんなある日、母と少し離れたスーパーマーケットに買い物に行ったとき、お惣菜コーナーに煮豆が置かれているのが目に入りました。一般的な、金時豆やウズラ豆の煮豆のほかに、色鮮やかな複数の豆たちが輝いている”それまで見たことがない煮豆”を発見しました。その煮豆には、”五色豆”とかいてありました。小学生の私は、読み方を知らないので”ごしょくまめ?”と思い込んでいました。
その五色豆は汁気がなく、透明感のある五種類の煮豆が入っていました。それから、その五色豆には食感のアクセントだろう”半透明なスルメ?”のようなものも入っていた気がします。そのキラキラした五色豆に心を奪われましたが、母親に「買って!」と言う勇気もなく、その映像を記憶にとどめるだけでした。その後、何度かそのスーパーに入ったことがありますが、一度もその五色豆を買うことはなく、そのうちにスーパー自体が閉店してしまいました。
あの五色豆はどんな味だったんだろう?と、大人になった今でも気になります。そこでネットで検索してみたら、『五色豆』というのは、京都の和菓子屋・豆政が考案した銘菓だということを知りました。こちらの五色豆は、豆をいり、五彩色の砂糖の衣をかけたもので、色は白・青・赤・黄・黒です。しかし私の脳内にある”五色豆”は、これとは違います。
引き続き調べていたら、今度は五目豆に行きつきました。五目豆は、大豆に、ごぼう、れんこん、にんじん、くわいなどをまぜて煮た料理で、お正月の時などに食べるものです。「これじゃな~い!」。
諦めずに調べていたら、タイトル画のような煮豆を見つけました。その名も五色豆でした。こちらの五色豆は、白花豆・ひよこ豆・金時豆・えんどう豆・そら豆の5種類の豆で構成されています。「これだ~!」と思いましたが、よくよく考えてみると”半透明なスルメ?”は入っていませんでした。
私が思い描く五色豆は、もうどこにもないのでしょうか?。とりあえず、”90%の五色豆”で満足していますが、”100%五色豆”を探す旅は続きます。
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